--まさか、自来也様までこんな所で一緒になるとは…難儀な事になった… 一旦引いて大蛇丸様に報告を…それにしてもナルトくん…キミまでここにいるとはね…
シズネを殺しておくよう指示されたカブトは、目の前の状況にどう対応すべきか頭を働かせていた。 三忍である自来也だけならばこんなに焦る事はなかったであろう… 問題はナルトだ…木ノ葉暗部の要−総隊長である白狐が居る今、 もしも綱手が里を裏切らなかった場合、綱手抹殺は非常に難しい… 綱手が承諾するか否かはフィフティーフィフティーだ…つまり、二分の一の確立で計画は失敗する。 計画の変更を余儀なくされたカブトは軽く舌打ちすると、その場を離れた。
弐 * 冑 - KABUTO -
案の定、綱手は里を裏切らなかった。 木ノ葉創設者−初代火影の孫であり、里をこよなく愛する綱手は確かに火影に相応しい。 しかし、自分も一度決めてしまったこと…彼らと、そして三代目と約束した事をなんとしてもやり遂げたい! その為にはどうしても彼女が邪魔なのだ。 彼女が一言拒否をすれば良い…だがナルトが動いている今、その確立は1%にも満たない。 ならば…ナルトくんが来る前に!! 綱手とカブトによる激しい攻防が続く中、流石に三忍…高齢にも関わらずその実力は相当なものだった。 こうなれば…と、カブトは綱手が恐れる血液をぶちまける事で弱らせることを考えた。 しかし、その目論見は呆気なく砕かれる。
「…ナルトくん…」 「カブトさん」
綱手の前に立ちはだかるようにナルト、自来也、シズネの三人は現れた。 自分が居る事など百も承知だったのだろう…ナルトはニコリと邪気のない笑みを浮かべた。
--お久しぶりです。その節は狸ジジイとバカどもが大変お世話になりまして。 --いえいえ、こちらは好きでやった事ですからvv --へ〜じゃぁ、確信犯だったんですかぁ〜〜(*´∇`*) --僕もキミの火影姿が見たいですからねぇ〜 --ん〜残念だけどオレは火影にはならないよヽ(´∇`)ノ ♪火影になるのは綱手だから☆ --ええ、勿論知ってますよ(*´∇`*)だから今からならなきゃいけない状況を作ってあげるんです★ --ほぅ…オレに敵うとでも思ってんの? --キミには絶対に無理ですけど、後ろの婆さんならいけますからね。 それに…今のキミは下忍でしょ?バレちゃっていいんですか〜?下手すると蛇にも狙われますよ?? --クッ… --安心してください。全力で阻止させて頂きます!!
「私の才能を見抜く力は誰よりも確か。あの子は凡庸そのものよ」 「甘いな…」 「何よ…嘗ての自分に重ねて、あの子が自分のように強くなれるとでも思ってるの? 忍者は忍術を扱う者…忍の才能は世にあるどれだけの術を使えるかで決まるのよ」 「忍者とは忍び堪える者のことじゃよ…お前にもすぐ分かる」
下忍のフリをして殴られ続けるのも楽じゃねぇ…ナルトは少し飽きてきた… 蛇の上で化物染みた戦いをする二人の会話を聞きながら、ナルトは詰まらなそうに 目の前の戦いを見ていた。 自来也の言葉−忍び堪える者…それがすぐ分かるということは自分が動いてもいい ということだろう…と判断し、ナルトはムクッと起き上がった。 ゆっくりと立ち上がると、カブトが綱手に向けて放った拳の前に立ちはだかる。
「ナルトくん…」 「ったく…いいかげんにしやがれ!!こんな茶番一瞬で終わらせてやる!」 『?!』
カブトの腕を引っ掴むと、右手にチャクラを集中させる。
「ナルト!お前では敵わない!!早く逃げろ!!!私なんか庇うな…」 「大丈夫。オレは死なないから(*´∇`*)それにアンタを殺される訳にはいかないんだよね〜」 「ナルト?!まさか…」
螺旋丸!!
高密度に圧縮されたチャクラの塊をカブトに打ち込む…知り合いだとて容赦なく… カブトは呆気なく数メートル先の岩に叩きつけられた。 綱手はゾクリとした身体を己の手で抱き締め、ドキドキと胸は高鳴り、頬は紅潮していた。
「あの子、よろしくないわね…」 「やっと自分の置かれた立場がわかったかのぉ…ちなみにさっきの会話は丸聞こえじゃからのぉ〜( ̄ー ̄)」 「そうじゃないわよ!あんな凄くて美形な子を暁になんて取られて堪るもんですか!!」 「え…?( ̄Д ̄;;)」
物っ凄い勢いで蛇はナルト目掛けて飛んでいった。 しかし、綱手の妨害によりナルトに辿り着く事は叶わなかった。
「綱手、邪魔しないでくれる?諸々の事情により、あの子を奪うには今しかないのよ」 「この子だけは絶対守る!アンタにはあげないよ!!」 「そうじゃな…ナルトをお前なんかにやる訳にはいかんのぉ…」 「いいじゃない!こんな下忍一人くらいくれたって!!こうなったら…」
口寄せの術!!x3
「あいつらバカだろ…」 「だな…」 「ねぇ兄ちゃん、オヤツは〜?」 「ああ、そうだったな。悪い悪い」
ナルトはポケットの中から次々とお菓子を出す。 そのお菓子の数にガマ竜だけでなくガマ吉も目をキラキラさせる。
「ガキだな、おめぇら(笑)」 「ナルトくん…君は一体…」
そんなナルトにシズネはゆっくりと近付き、隣に座った。
「ん〜帰ったら分かるよ☆それよりさぁ〜綱手のバアちゃんに火影になるように説得してよ…」 「?」 「オレ、火影になりたくないんだよね。だからさぁ、バアちゃんになって貰おうと思って此処まで来たんだ」 「君が火影に?…でも、なんでそんなに綱手様に拘るんですか?別に自来也様でもいいと思うんですが…」 「自来也とは協定結んじゃったからな〜それにさ、初代の孫で里に対する愛情いっぱい持ってる 人のほうがいいじゃん、あんなエロいだけの仙人よりさ(o^∇^o)ノ」
その台詞にシズネはさっきまでの暗い顔など消えて、可愛らしい笑みを浮かべた。
「そうやっていつも笑ってなよ。里に帰ればすぐにいい人見つかるんじゃねぇの?」 「…///もしかしてあの時の大蛇丸との話聞いてたんですか?!」 「まぁね」 「もう…早く君の事が知りたいですね。それにしても…」
シズネは不思議そうに後ろを振り返る。 そこには今大蛇丸の腕となって働いている筈のカブト…
「あなたは一体…」 「カブトさんはれっきとした木ノ葉の忍。蛇のとこに潜入させてるってじいちゃんが言ってた」 「そうなんですか。ということは仲間…なんですよね?」 「そうなりますね」 「じゃぁ、どうして…」 「僕にもいろいろと訳がありましてね。どうしても綱手さんに火影になられては困るんですよ」 「だからもう諦めろよ…ばあちゃんもやる気になった訳だし。オレ全力で阻止するし(*´∇`*)」 「…キミには敵いませんね。ま、これで終わりではないですからね」 「オレにも手はあるからな」
ニヤリと笑うカブトに同じ様にニヤリと笑い返すと、ナルトは一つ嘆息する。
「それにしても…なぁ〜あんな蛇のとこよりこっちに帰って来いよ」 「そうしたいのはやまやまなんですがね、こっちもやることがあってね」 「残念!ま、気長に待つかな…」 「キミが火影になったら帰ります、と言ったら?」 「そんな手には乗らねぇよ」 「でしょうね」
アホな戦いなどそっちのけでここには和やかな雰囲気が流れていた。
それから数日後…
「マジで?」 「ああ」 「ホントに五代目火影になってくれるの?!」 「そうだ」 「やりぃ☆これで火影にならないで済む(*´∇`*)」 「フッ…だが、一つだけ条件がある」 「条件?」
綱手の言葉にナルトの顔はピクリと引きつり、自来也は面白そうに笑っている。
「私の次の火影には下忍のナルトとしてお前がなると約束してくれるなら五代目になろう」 「え゙…」 「まぁ…もしくは、私の旦那様になるという選択もあるのだが?」 「……遠慮します…( ̄Д ̄;;)」 「まったく…相変わらず失礼なガキだね…まぁいい。ということは次の火影になってくれるのだな?」 「契約の巻物とか出て来ねぇよな?」 「ああ、それは逃げようという魂胆だな?安心しろ、しっかり契約の巻物は用意してあるぞ(*´∇`*) なぁ、お前ら?」 『勿論』
素早く三人の暗部が綱手の後ろに立つ。 その三人を面倒臭そうに見遣ると、ナルトは大きく嘆息した。
「なんか居るなぁとは思ったけど、お前らグルかよ…」 「で、どうなんだ?」 「綱手様が五代目に就任しないと、ナルトが五代目よ?」 「一代分得するじゃん☆」 「そういうもんか…?」 『そいうもん(*´∇`*)』 「っつーかさぁ〜バカナルトでなるのって無理じゃねぇ?」 「私たちは別にどっちでもいいんだけど、綱手様のたっての希望でね〜」 「それにその方が火影になる時期遅らせる事も出来るでしょ?」 「正直お前の火影姿を見れる時期が遅くなるのは残念だがな…」 『それは確かに…』 「ったく…じゃぁ、自来也が五代目という事で(*´∇`*)」 『なんでそうなる?!Σ(; ̄□ ̄)』 「え゙…いやワシは…ほら、大蛇丸を追わねばならんしのぉ…(-_-;)」 「ああ、愛する蛇をストーカーかぁ〜」 「ちがーーう!!」 「しょうがねぇなぁ〜んじゃ、蛇連れ戻してやるからなれよ(*´∇`*)」 「い…いや…(コイツなら本気でやりかねん…( ̄Д ̄;;))」 「なんなら特別に強制的に婚姻を結ばせてもいいぞ?」 「だから何故そうなる…気色悪い…それにワシらには協定があるだろ?旅に供する代わりに ワシには火影になれって言わないって、約束したんじゃのぉ…」 「あ〜そうだったな、忘れてた(チッ…誤魔化そうと思ってたのに…)」 『ということで、ナルト?(=´▽`=)』 「わかったよ!!バアちゃんが五代目になるなら、オレが六代目になってやる」
ナルトはサラサラと巻物にサインし、拇印を押す。 前例もある為、朱寂はそれを念入りにチェックし、確認し終わると契約の印を結ぶ。 ポンと音を立てて巻物が消えた場所を見ながら、綱手はニッコリと微笑んだ。
「これで縄樹とダンも報われるよ…ちなみに旦那の件は別に随時ウェルカムだからねヽ(*^・゜)ノ」 「……なんか巧く丸め込まれた気がする…。ま、どうとでもなるか…(いざとなれば六代目通り越して 七代目火影を作ってしまえばいいしぃ(*´∇`*))そんなことより、例の不吉な首飾り頂戴?」 「不吉なって…ほら、つけてやる。こっちに来い」 「おう」
綱手はナルトの首の後ろに手を回し首飾りをつけると、ナルトの額に口付ける。
「絶対死ぬんじゃないよ、ナルト」 「胸でけぇ…///」←聞いちゃいねぇ… 「……せっかく人がいい雰囲気で終わらせようとしてるのに…まぁ、そこも可愛いんだけどね///」 「んじゃ、きっちりシメたところで帰るぞ〜!!」 「おう!この為に里完全にほったらかしてきたからな〜」 「ほったらかしてくんなよ…」 「心配すんな。めんどくせぇが、少なくとも任務関係は問題ねぇ」 「?」 「俺らの任務は全てカカシに回してきた。鍛え方が足りないみたいだからな」 「だな」 「ホントに…ナルトくん君は一体何者なんです?」 「そうだ。私もそれが聞きたかったんだ。お前が本当は強い事はわかったが、何故暗部までもが お前を火影に、なんて言うんだい?」 「なんだ、言ってなかったのか?」 「必要最低限のことしか言ってねぇよ、めんどくせぇ」 「だってぇ〜勝手に言うとナルトが怒るかと思ってさ」 「こういうの楽しみにしてるんでしょ?」 「よく分かってらっしゃる事で…」
ナルトはニヤリと笑みを浮かべると、意気揚々と木ノ葉へと足を進めた。 綱手とシズネは今日一日で一体何度の驚きを味わう事になるのだろうか… 楽しい木ノ葉までの旅路は始まったばかりだ。
|