「イルカ先生の代わり?」

「どうしてもイルカを国外任務にやらなくてはならなくてな」

「ふ〜ん、イルカ先生をねぇ…?」

「あ…あぁ…この里で最も優秀な教師を貸して欲しいという任務でな…

忍びとしても教師としても優秀なイルカを送る事になったんだ…(;゜∇゜)」

「へぇ…ま、理由はそれでいいとして、なんでオレなわけ?

別にオレがやんなくても、アカデミーには先生がいっぱいいると思うんだけど(¬、¬)」

「いやぁ〜それがどいつもこいつもその時間は丁度手が開いとらんのだ」

「ふ〜ん。でもさ、それならオレよりシカの方がいいんじゃねぇの?」

「わ、私もそう思ったんだが…」

「思ったんだが?」

「シ、シカマルは…山に芝刈りに行くと言って、それ以来姿が見えんのだ」

「…バアちゃん、一回死んどく?」

「……ま、待て待て待て〜〜〜〜〜私を殺したら次の火影はお前だぞ?!」←詳しくは3-3-2綱手にて

「あ…忘れてた…じゃぁ、半分くらいでvv」

「……Σ(; ̄□ ̄)」

「冗談だって(笑) で、イルカ先生の代わりやったら何かくれるの?」

「お前の冗談は冗談に見えん…ε-(;ーωーA お前の欲しい物はわかっている」

 

綱手は徐に胸の間から一本の巻物を取り出す。

それを見た瞬間にナルトの目はキラキラと輝き始め、即座にその任務を快諾した。

 

 

 

 

* 講師 - INSTRUCTOR -

 

 

 

 

当日。

 

ガヤガヤ…ガヤガヤ…

 

「今日はイルカ先生の代わりに新しい先生が来るらしいぜ」

「あっ、聞いた聞いた!確かうずまきナルトっていう変わった名前の先生でぇ、結構若いらしいわよ!!」

「え…その人ってさぁ、うちの親が言ってたけど…なんかヤバい人らしいよ?」

「それ俺も聞いた事ある!俺のかあちゃんが近付いちゃダメだって言ってた」

『マジかよ…』

「え〜でも私話したことあるけど、優しくて、カッコよくて、とってもいい人だったょ?」

「うん、私もイルカ先生と一緒にいるとこよく見るけど、そんな人には全然見えないよ!」

「これだから女子はダメなんだよなぁ〜」

「そうそう、すぐ顔に騙されるんだもんなぁ〜」

「何よ!!そういうアンタたち男だって、ムチムチボインにすぐ騙されるくせにぃ〜」

『なんだとぉ!』

『なによぉ!』

 

「は〜い、喧嘩はそこまで」

 

睨みあう女子と男子の間にスルリと伸ばされた手…その長い指からゆっくりと辿って顔を上げると、

目の前には争いの元凶であるナルトが立っていた。

アカデミーの中で最も優秀なクラスの生徒たちであり、気配だってそこそこ読める自分たちの中に

自然に立っているその人物に皆が呆気に取られていた。

 

「嘘だろ…いつの間に…」

 

驚く少年にニッコリと極上の笑みを溢すと席に戻るようにナルトは促した。

その笑みに何も言えずこくんと頷くと少年は席に着き、それにつられる様に他の生徒も席に着いた。

一瞬で静かになった教室には緊張の色が浮かんでいる。

それは初めて会う相手に対する警戒もあるし、当然さっきの話の影響もあるだろう。

 

「やっぱ断れば良かった…」

 

さっきの話を聞いていた事もあって、ナルトの中では複雑な心境が渦巻いていた。

ふぅ…と嘆息し、イルカ先生が帰ってくるまでの辛抱だと自分を促し、

顔を上げたナルトは妙な違和感を感じて首を傾げる。

 

「なんか……聞いてた人数より多い…っていうか、このギャラリー何?!( ̄Д ̄;;」

 

綱手に聞いていた人数は25人…にも拘らず、教室には所狭しと生徒生徒生徒…

それに今日は授業参観の日だとは聞いていないのに、妙に大人のギャラリーが…

考えられる事はただ一つだった。

今日何度目かの溜息を吐き、ナルトはニッコリと美しい笑みを浮かべる。

生徒たちだけでなく、教室の外に蠢くギャラリーたちもメロメロだ!!

 

「オレの名前はうずまきナルトです。海野イルカ先生の代わりにちょっとの間このクラスを担当します。

よろしくね(*´∇`*)」

「きゃーーーーーーっ、ナルトカッコイイvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv」

「ちょ、ちょっといの!ダメだよ…」

「はい、そこの二人退出ね〜と、その二人の後ろのシカマルくん?バレてないとでも思ったのかなぁ(=´▽`=)

それと最後尾のヒゲ、エロおやじ、クソおやじ、ジジイにババア、それから爪楊枝に病人…

あと脱走兵1、2、他の国からのお客さんたち、お前ら全員退出(*´∇`*)」

『え゙…やっぱバレてた…って…え゙っ?!ちょ…ちょっと待てナルト…ここでそんな大技やったら…』

「大丈夫vv手加減するからvvvvv」

『いや…手加減って…Σっていうか、もう打ってるしーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!』

 

ぎゃぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁああ!!

 

「ったく…暇ならお前らが代わりにやれよな…お前ら、あんな大人になるんじゃねぇぞ?」

 

さっき吹っ飛ばされていったのは悉く里内の有名人・・・

突然の来訪に喜ぶ間もなく目の前から消えた自分たちの目標に子供たちは呆気に取られた。

 

「さっきナルト先生がエロおやじって呼んだの確か三忍の自来也様…じゃなかったか?」

「なんか旧家、名家の人たちだらけだったよな…里抜けした筈のうちはの人までいた気がするし…」

「火影様まで…っていうか、死んだ筈の歴代火影様まで居なかった?!」

「でもさ…そんな人たちを一撃って……」

『一体どうなってんだよ(のよ)!!』

 

より一層濃くなった子供たちの警戒にナルトは苦笑いを浮かべると、

軽く印を組み、ポンッという音と共に教科書を取り出した。

 

「何、今の?!」

「教科書、どっから出てきたんだよ…」

「知りたい?」

『知りたい!!』

「んじゃ、今日はこの術について勉強しようか」

「え、でも…教科書はやらないんですか?」

「教科書なんて覚えたってちっとも役にたたねぇから、問題ないよ☆

現にオレは教科書の内容なんざこれっぽっちも覚えてないし(*´∇`*) と、その前に…」

 

出張中の熱血教師が聞いたら卒倒しそうな事をサラリと述べると、ナルトはふぅと嘆息し、

教室の内部に強力な結界を張った。

それまで教室の外で騒いでいたギャラリーが消え、一瞬だけ教室を静寂が包んだ。

 

『すっげぇえぇぇぇぇぇ!!』

『先生、今何したの??この結界なんなんですか?』

『ナルト先生カッコイイvv』

『これ中忍レベルじゃねぇだろ、絶対!先生、マジで何者なんだよ?』

『ナルト先生は彼氏いるんですか〜vvvvv』

 

……。

一瞬にしてナルトの顔は引き攣り、眉間をピクピクさせながら最後の一言を言った少年に近付く。

 

「…ちっ……自然すぎて全然気付かなかったぜ、カカシ」

「え〜何言ってるんですかぁ?( ̄Д ̄;;)

僕があの有名でカッコイイカカシさんな訳ないじゃないですかぁ、アハハ〜」

「誰がカッコイイって?バカで有名なだけだろうが、バカカシ」

「ナルト〜それちょっと酷過ぎじゃない??( ┰_┰)」

 

ポコンとへっぽこな音を立てて変化が解けると、

机にしがみ付いて「の」の字を書いているのはやっぱりカカシで…

天才忍者が一介の中忍に虐められて拗ねているなんて…と子供たちの間では一瞬にして人気ダウンした。

ナルトによってカカシがつまみ出されると、漸く授業が開始された。

この後、数時間に亘りナルトの異次元に関する講義が行われ、

その講義後、行方不明になる子供が続発し、それを探しに行くナルトの姿に

ナルト先生素敵☆と全ての原因がナルトであるにも拘らず

メロメロ〜ンになってしまう女子生徒と奥方が続出したことを追記しておく。