「みんなわかったね?」

『はい!!』

「では、これより計画を発動する!!皆、心して掛かるように!」

『御意!』

 

 

 

 

* 策謀 - STRATAGEM -

 

 

 

 

ナルト 二十歳

数年を経た今…ナルトは表向き中忍として暮らしていた。

中忍といえど、その実力は上忍並と噂されるほどナルトは強かった。

それもその筈、ナルトは既に実力を隠す事などしていないのだから…

その為中忍という身分にも拘らず、本来上忍に与えられるべきA級任務が偶に割り振られるが、

それをなんなくこなしてしまうナルトに尊敬の念を抱くものすら居る。

更に、四代目が梃子摺った九尾の力をも従えているとの誉れも高い。

ナルトを上忍にという声も至る所から上がっているのも事実である。

しかし、ナルトは上忍にはならない…否、なる必要がないというのが正しいか。

ナルトは相変わらず暗部の長であり、木ノ葉最強の忍である。

当然、暗部の任務もこなしている訳で…これで上忍にでもなったら、シカマルでなくともメンドクサイ。

それに風影とも親しい為、砂との交流は全て一任されているなどナルトには表でも裏でもやる事が

大量にあるのだ。

偶に与えられるA級任務ですら面倒なのに、これ以上増えて溜まるかということらしい。

 

 

 

また近年、教育改革の最終調整の為にイルカを訪ねる機会も多く、

相変わらず子供と仲のいいナルトは子供たちから兄の様に慕われている。

ナルトは子供たちに会う度に、戦場で生き残る上で必要な知識を子供たちに与え、

次第に以前の木ノ葉丸の様な弟子も増加していた。

勿論、子供たちの親からは依然として風が冷たいが、子供たちはそんなことなど全く気に留めず、

早くナルトと共に戦えるように…と必死でナルトから知識を吸収していった。

これもイルカの教育改革の賜物だろう。

 

 

 

更に年を経るにつれて子供の頃の煩さが消え、四代目によく似た柔らかい雰囲気で微笑む

美青年になったものだから、一部では人気高騰中である。

落ち着いてきたせいか、また腹に巣食う九尾のせいか…どことなく威厳のある顔立ちに、

男性の間でも信仰者は増加傾向にある。

まあ…長年にわたって暗部の長などしており、更に暗部の間で神同様に崇められているナルトだから

威厳などありまくりだろうが…

 

 

 

ナルトは現在里の中で確固たる立場を確立しつつあった。

その事実は嘗ての上司たち、上忍や特上となった旧友たち、既に上層部まで入り込んでいる

旧友たち、そして里外に居る友人たちにとってとても喜ばしいことだった。

そして今…

この男を陥れる為の…もとい…里の命運、仲間たちの未来を賭けた…

前代未聞の壮大なプロジェクトがここに始まろうとしていた。