「どうされたんですか?四代目」

「まさか、あの時からもう一度やり直すチャンスが来るなんて考えてもみなかったから…なんかね…」

 

目の前の赤ン坊に手を伸ばすでもなく、四代目はただただジッと見つめていた。

自分が請うて請うて仕方がなかった現実が今彼の目の前にあった。

 

 

 

 

一ヶ月。// 壱:0歳

 

 

 

 

『可愛いなぁ〜///』

「ヒゲないねぇ」

『うん』

「ナ〜ルトvvこっち向いて?」

『カカシ先生、邪魔です!!』

「え〜〜なんでぇ(ノД`)シクシク」

「っていうかさぁ、これがあのナルトだなんて信じられないわね…」

『うん……』

「可愛いのは変わらねぇけどな…」

『うんうん……って、シカマル?!』

「えっ…アッ…なんでもねぇよ!ったく、めんどくせぇ///」

「キャ///(*/∇\*)ねぇ、みんな見て見て!ナルトくんが…」

 

ヒナタの声にみんなが一斉にナルトに目を向けると、

あふ…と小さな口を一生懸命開けて空気を吸い込むところだった。

 

『あ、欠伸した〜〜〜〜vvv』

 

思わず全員が歓喜の声を張り上げた。

と、

 

「うぇ…」

『あ、』

「うああぁぁぁん!」

 

大声に驚いたのか愛らしいクリンとした藍い瞳から透明な雫が零れ落ち、

ナルトは声を大にして驚きを訴えた。

 

「お前らがでかい声出すから泣いちまったじゃねぇかよ…」

「何よ、自分だってだらーんと鼻の下伸ばしてたくせにっ!」

「なっ…伸ばしてねぇよ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」

『シカマルっ!!』

「俺の所為かよっ?!」

「ちょっと退いて?」

 

あたふたと慌てる子供たちの間からひょっこり顔を出すと、

ナルトと同じ笑顔を浮かべて四代目はよいしょとナルトを持ち上げた。

 

「よしよし。ちょっとびっくりしちゃったねぇ?もう大丈夫だよ〜

ほら、泣かない泣かない。パパに笑った顔見せて、ナ〜ルくんvv」

 

あやしながら、チュッとナルトのおでこにキスをすると、ナルトはくすぐったそうにくすくすと笑った。

 

『やっぱり父親なんですねっ、四代目!!』

「なんか、その言い方棘があるね…それにしても、可愛いなぁ〜僕に似てvv」

『……まぁ、否定はしないけどさ…なんかなぁ〜』

 

呆れた空気漂う中、ナルトが嬉しそうに手をバタバタさせてアーアーと声を上げる。

 

『カ〜ワイイvvvvvv』

 

と、四代目の後方からクスクスと笑い声が聞こえ、四代目はクルリと振り返り、

子供たちも一斉に顔を上げた。

 

『凱亜!!』

 

白銀の長い髪にゆらゆらと揺れる九つの尾、ふさふさの耳…

尾が揺れるたびにナルトは嬉しそうにアーアーと声を出す。

 

「パパより、凱亜の方がいいの?心外だなぁ〜」

 

そう言いつつも、四代目はどことなく嬉しそうに凱亜にナルトを渡す。

最初は遠慮していた凱亜も、四代目の笑顔に負けておずおずとナルトを受取った。

鋭い爪で傷つけないように細心の注意を払いながら、やんわりと抱き上げると、

ナルトは本当に嬉しそうに笑った。

 

「我のことを覚えていてくれるのか?ナルト」

 

その言葉に答えるようにキャッキャとナルトは声を上げて笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやら、記憶も同時に失っているようじゃのう…」

「そのようだな」

「ということは!僕の思い通りのナルくんに育てられるってこと?!ね、そうだよね〜凱亜!!」

「……( ̄Д ̄;;)あ、ああ…」

「よ〜っし!今度は愛情たっぷり注いであげるからねぇ、ナルくんvv

そしてパパだ〜い好き、キャハvvって言わせてみせるっ!!p(´∇`)q ファイトォ〜♪」

『……四代目…(多分それ無理です…)』

「さっそく調教開始といきたいとこだけど…」

『調教っ?!Σ(; ̄□ ̄)』

「僕これから出掛けなきゃいけないんだよね…どうしよう…」

「あ!俺、預かります!!」

「カカシくんか…(o¬ω¬o)」

「なんですか、その目は!!任せて下さいよ、これでも俺はナルトの担当上忍なんですから!」

「そうだよね…カカシくんももう立派な大人だし…じゃ、ナルくんのことよろしくね?」

 

その場に居た全員がカカシはちっとも立派な大人なんてもんじゃアリマセン、と

思ったが、いろいろな事情により口を紡ぐ事にした。

 

「勿論ですっ(鼻息荒)さ、ナルト〜先生と一緒に行こうねぇvv

とりあえず、おうちに着いたらお風呂かな?やっぱりスキンシップはお風呂からだよねぇ☆」

「うぇ…うぁぁああああああん…」

「……カカシくん、やっぱりダメ」

「えーーーーーーーーーーーーーーなんで( ┰_┰)」

「イルカ先生、悪いけどお願いしてもいいかな?キミが一番良さそうな気がする」

「そうですね…アカデミーに連れて行くのは気が引けますが、ナルトの為なら止むを得ませんね。

それに子供たちにとっても、赤ちゃんの世話なんていい勉強になりますし」

「大変だろうけど、お願いね。仕事終わったらすぐ帰るから〜」

 

ナルトの額にチュッとキスを落としてからイルカの手に名残惜しげに渡すと、

そういい残して四代目は木ノ葉と共にその場を後にした。

 

キャハキャハ

 

イルカの腕の中で、ナルトは嬉しそうに笑う。

そんなナルトを連れてイルカはアカデミーへと向かう為、退出した。

それに続いてぞろぞろと皆が退出していく…若干一名を残して…

 

「なんで…なんで俺じゃダメなの、ナルト…( ┰_┰)」