「なんだ白狐、今日は機嫌が悪いな」

「なんでもない」

「ま、お前がなんでもないって言うなら聞かねぇけど…ホントに辛くなったら言えよ?」

「……なあ…朱寂」

「なんだよ?」

「キス…しよっか」

「はあ?!お…お前何言ってんだよ!!///」

「…普通そうだよな…ったく訳わかんねぇ」

「訳わかんねぇのは俺の方だ!」

「悪ぃ…忘れてくれ。報告書はオレが出しとくから」

 

そう言って森の中に消えていく同僚に朱寂は盛大な溜息を吐く。

 

「なんなんだよ一体…マジで焦ったじゃねぇか///あ〜でも惜しいことしたかもな…」

 

 

 

 

 

//恋愛2//

 

 

 

 

 

オレはどうかしてる…それもこれも全部あの男の所為だ…

木々の隙間から漏れる朝日が目に染みた。

 

「今日の任務は休もう」

 

 

 

 

 

 

 

 

朝いつもの集合場所にいる筈の子供の姿がなかった。

ナルトが任務を休むことなど今まで一度もなかった。

そもそも九尾を体に宿しているナルトが病気になどなるわけがないのだから…

そのナルトが風邪で休み…

イルカ先生はそれが仮病だと分かっていた筈だ…にも拘らずいけしゃあしゃあと報告に来た。

担当上忍になった今もイルカ先生には勝てないらしい…

俺はククッと冷笑する。きっと今の俺は酷く醜い顔をしている筈だ。

理由はなんとなく理解できた。

昨日の愚行にナルトは気付いていたんだろう…でもそうならばどうして目を開けてくれなかったんだろう…

そしたらこの溢れ出さんばかりの感情を伝える事が出来たのに…

俺にはその機会すら与える価値がないのだろうか…お前のことを何も知らない俺には。

 

 

 

 

 

 

 

 

任務を終えた俺は大量の野菜と消化の良さそうな食べ物を購入し、ナルトの家へ向かった。

ナルトの部屋は真っ暗だ…眠っているのだろうか?

俺は慣れた手つきでナルトの部屋の窓から室内へ侵入する。

買い物袋を机の上に置き、ベッドに近付く。

そこで丸まるように眠っているナルトにホッと安心したように嘆息し、

ナルトを起こさないようにゆっくりとベッドに腰掛けた。

 

「ナ〜ルト?ナルトってば…ねぇ、ホントに眠ってるの?」

 

ナルトから返事はない。

俺はそっとナルトの顔を覗き込んでみる。

目はしっかりと閉じられていて、長い金色の睫毛が月の光でキラキラ光っていた。

吸い寄せられる様に俺はいつものようにナルトの唇にふんわりと触れた。

唇を離した瞬間、俺は余りにもキレイな藍い瞳に捕らえられ動きを止めた。

 

「ナ…ルト…」

「……」

 

ナルトは起き上がると、キュッと自分の腕で唇を拭う。

その行為を見ていられなくて俺は目をそむける。

 

「もう…いい加減にしてよ」

「?!」

「冗談が過ぎる」

 

そう言うナルトの声はいつもと違って酷く落ち着いた声だった。

まるで別人のように…否、別人なのだろう。

 

「冗談でこんなことすると思うの?」

「冗談じゃなかったらなんなんだよ!大体男同士でキスなんておかしいだろ?!」

 

俺はナルトをベッドの上に押し倒し、自分の腰辺りをナルトに摺り寄せる。

 

「これでも冗談なんていうの?」

「なっ…」

「ナルトを見てるだけで俺はいつも欲情してる。いつもこうして口付けたいと思ってる」

 

ゆっくりと顔を近付けるとナルトは予想通り顔をそむけた。

そのナルトの頬に手を寄せ、無理矢理口付ける。

 

「やめっ…」

 

組み敷いてしまえば所詮は子供の力…大人の俺に敵う訳がない。

既にナルトは俺の手中だった。

無理矢理唇を抉じ開け舌を差し込み、逃れようとするナルトの舌を絡め取る。

ナルトの唇の端から飲み込みきれなかった唾液が滴り落ちていく。

唇を離した俺はその雫を舐め取り、パジャマのボタンに手を掛けた。

 

「なんでこんなこと…」

「俺のものになってよ、ナルト…俺にナルトの全部見せて?」

「……アッ…や…」

 

月光に照らされたキレイな肌を俺の舌で汚していく。

舌の動きに併せて漏れる甘い吐息…俺の欲望は既に止めることなど出来ない。

俺は一晩かけてナルトの身体を弄び、そして愛し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身体中が痛い…朝、起き上がろうとしたオレは余りの激痛に再びベッドに突っ伏した。

 

「なんなんだよ…」

 

朝起きるとカカシは既に居なくなっていて、まるで昨晩の事は夢だったみたいに思えた。

しかし身体の至る所に付いている赤い印が夢ではなかったことを証明している。

一晩中激しく突き立てられ続けた身体は、九尾の力でも回復速度が間に合わないほど壊れているらしい…

一瞬僅かな殺意が芽生えたが、すぐにそれも消えた。

オレはカカシのなすがままに、いつしか快楽へと変わっていった痛みを愉しんだ。

カカシは何度も何度も苦しくなるほど辛そうな声でオレを好きだと囁いた。

余りにもそれが辛そうな声だったからカカシに口付けてやると、カカシは嬉しそうに微笑んでいた。

オレは自分のその愚行を思い出し苦笑する。

 

「これは同情だ…恋愛感情なんかじゃない」

 

自分に言い聞かせるように紡ぎだした言葉は酷く滑稽に思えた…