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「こんな狭い部屋に住んでるの?!」 『ここは…』 「そう…ここは表向きのオレの家」 「表向き?じゃあ、本当の家は別にあるの?」 「まあね」 「ふ〜ん。っていうか、そっちの方がいいんじゃない?この部屋じゃこの人数は入れないよ?」 「うん、だからそっちに行くんだけど?」 『え?!』
肆 * 驚喜 - DELIGHT -
下忍のナルトの部屋から森に繋がっていることを知っているのは朱寂一人。 それ以外の人物の驚きは多種多様だった。 納得している者もいれば、信じられないと目を見開く者…キラキラ目を輝かせて 喜んでいる男も若干一名。
『マジですか?!』 「亜空間忍術でくっつけたんだってよ…俺も初めて見た時は頭おかしくなりそうだったぜ…」 「朱寂知ってたの?!」 「あー前にちょっとな」 「悔しぃーーー!!…ナルトのことはホント私でも全然わからないことだらけなのに、 なんでアンタばっかりいつも知ってるのよ!」 「んなこと言われてもなぁ…」 「いつもどこから現れるのか謎でしたが、これで納得ですね…」 「やっぱ総隊長はすげぇな…」 「すごいねぇvvさすが僕のナルくん☆こんなの僕でも知らないよ!! 一体誰に教えてもらったの??」 「アレ」
ナルトの指差す方向に全員が興味津々と言った目を向ける。 そこには…
『狐?』
主人の帰りを待つように草叢の中にちょこんと座る白銀の子狐と黄金色の狐。 その内の白銀の子狐−正確にはその狐の尻尾に全員の目は釘付けになった。
「……なんか気のせいかなぁ〜尻尾が九本に見えるんだけど…(ノ_-;)」 「やだなぁ〜四代目〜そんなわけないじゃないっすかぁ〜( ̄Д ̄;;)」 「ハハハ…そんなわけないわよね…ねぇ、朱寂?」 「ん?あれ、知らなかったのか?カナリ前から居たんだけどな…凱亜どこに隠れてたんだ?」 「あの狐、凱亜って言う名前なんですかぁ〜可愛い名前ですね〜」 「何言ってんの浅葱!凱亜は…凱亜はナルトに封印されてる筈の九尾の名前よ!!」 『え゙……』 「やだなぁ〜朱寂ったら変な冗談言わないでよ、も〜」
一生懸命現実から目を逸らそうとしている全員の努力空しく、 ナルトは嬉しそうに子狐を抱き上げ、その名前を呼ぶ。
「よう!ただいま、凱亜」 『…やっぱりなのか?!そうなのか?!Σ( ̄ロ ̄lll)』 「お帰り、ナルト。おぅ!朱寂久しぶりだな」 「マジで久しぶりだな。お前最近どこに居たんだよ」 「ナルトの腹の中で寝ていた。外に出ているのはカナリ負担になるらしくてな」 『狐が喋ったぁぁぁぁぁ!!』 「えらく今日は大所帯で、しかも五月蝿いな…」
そう言いながら、凱亜はナルトの胸に身体を摺り寄せる。 黄金色の狐もナルトの足元で嬉しそうに身体を摺り寄せ、寄り添うように座る。 その二匹をニッコリと美しい微笑を浮かべて撫でるナルトの姿に、皆が釘付けになった。 さっきまで怯えていた筈の全員がホゥ…と感嘆の息を漏らす。
『可愛いなぁ〜〜〜〜vvv』
皆が惚けている中、四代目はナルトの目の前に立ちナルトの頭に手を置き顔を覗きこむ。
「ねぇナルくん?」 「何?」 「これってホントに九尾?出しちゃって大丈夫なの?」 「別に封印解けたわけじゃないから平気。口寄せしてるだけだし。 それに里を襲うとかそういうこと言ってるならその心配はないよ。凱亜はオレの友達だから」 「口寄せ…封印されてるのにどうやって契約したの?!」 「それにはいろいろありまして…」 「なんかキミ、ナルくんの事いろいろ知ってるみたいだねぇ〜」 『なんてったって、朱寂は総隊長の一番の被害者だからな…』 「なんだかキミも結構苦労してるみたいね…」 「そりゃあ、もう…」
なんだか黄昏てしまった朱寂を放っておいて、ナルトは屋敷に入っていった。 屋敷の中に入った途端、四代目は嬉しそうに辺りを見回した。
「あれぇ…この屋敷…懐かしいなぁ」 「?」 「この屋敷はねぇ、僕が生前暮らしてた家だよ〜 ナルくんはここで産まれたんだけど、やっぱ覚えてないかなぁ〜?まだ赤ちゃんだったからねぇ」 「そうだったのか…だからじいちゃんこの家くれたのかなぁ?全然知らなかった…」 『てっきり知ってたんだと思ってました…』 「お前らも知ってたのか?」 「そりゃまぁ、暗部ですから」 「またそれかよ…」 「にしてもなんかナルくんがこの屋敷に住んでくれてたなんて嬉しいなぁ(*´∇`*)」
本当に嬉しそうに微笑む四代目にその場に居た誰もが温かい気持ちになった。 ナルトも心なしか顔を赤く染めて俯きながら、少しだけ口の端を持ち上げた。
「さてと!パーティーの準備しないとねvv」
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