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カンクロウを呼びに行って帰ってくると、我愛羅が見知らぬ男に抱かれて眠っていた。
「一体何事じゃん?」 「私にもさっぱり…お前を迎えに行く前にはあんな男は居なかった」
壱 * 歓笑 - SMILE -
「キミたちも降りておいで?」
自分たちに気付いていないと思っていた男に急に話しかけられ、テマリとカンクロウはドキッとした。 気付かれているなら仕方ない、と嘆息し、男の前に降り立つ。 我愛羅の隣で眠っているナルトと同じ金髪。 テマリとカンクロウはナルトと交互に男を見比べる。
「ああ…僕はね、ナルくんのパパだよ」 『パパ?!』 「そっ(*´∇`*)くぅぅ…ナルくんのパパですって言っちゃった!!なんか幸せ〜vv」 『……』 「キミたちはナルくんのお友達?それともガーくんの方かな?」 「ガーくん?アヒルか…??」 「あ〜違うちが〜う。この子、我愛羅くんのことさ(o^∇^o)ノ我愛羅だからガーくん!」 「…我愛羅は私たちの弟だ(なんなんだ、この男は…)」 「ああ、そっかぁ〜てことは、キミがテマリちゃんでこっちがカンクロウくんかな?」 「俺たちのこと知ってるのか?」 「勿論(⌒-⌒)風影がよく見せびらかしてたからねぇ…可愛いだろ〜って」 「父上と知り合いなのか?見たところ忍の様だが…」 「知り合いも知り合い、大親友さ」 「へ〜ナルトの父親と親友ねぇ〜初耳じゃん」 「よくライバルだった四代目火影の話は聞くけどねぇ…」 「あ、それそれ!」 『え゛?!』 「だから〜それ僕」
ニコニコと自分を指差す金髪に、テマリとカンクロウは目をパチパチさせる。
「だって…四代目火影って死んだんじゃ…」 「そうじゃん…九尾倒して死んだ筈じゃん…」 「へ〜そんな話になってるのか〜」 「?」 「ホントはね、倒せなくて封印しただけなんだよねぇ」 「封印?どこに??」 「ここ」
そう言って四代目火影を名乗る男はナルトのお腹を指差した。
「マジかよ…てことは、ナルトも我愛羅と同じってことじゃん」 「そうだね」 「というか、アンタはホントに四代目火影なのか?!」 「だからさっきから言ってるでしょ?変な蛇に呼び出されたんだよねぇ…」 「まさか穢土転生か…?」 「よく知ってるねぇ…優秀優秀」 「だが…それなら何故ここにいる…その変な蛇だかなんだか分からん奴はどうした?」 「僕の邪魔しようとするから倒しちゃった☆」 『四代目火影…噂通り最強だな(じゃん)…』 「でしょでしょ〜vv」
エッヘンと胸を張る四代目に、テマリたちはホントに四代目?と疑いの眼差しを向けた。 と同時に…
--間違いなく、ナルトの父親だな(じゃん)…
と、父親である事は再確認したらしい。
「それにしても…」 「ああ…我愛羅が眠ってるじゃん?」 「ちょっとした秘密があるんだよ」 『秘密?!』 「守鶴はねぇ〜人の温もりに弱いんだ」 「どういう…」 「こうやって抱き締めてやると、守鶴も一緒に寝ちゃうの。暖かくてv」 「そんな簡単な事で…」 「そ、こんな簡単な事。だけどこの子はずっとそうして貰えなかった」 「……」 「だからキミたちがこれからはガーくんと一緒に眠ってあげて? まぁ、別にうちの子になってくれれば僕が一緒に寝てあげるけどねvv」 『我愛羅は俺(私)たちの弟だ!誰にもやらん』 「だって(*´∇`*)ガーくん、聞いた?」
いつの間に起きていたのか我愛羅は恥ずかしげに頷いた。
『我愛羅…』 「良かったね、ガーくん(^ー^)」「だけど…」 「ん?」 「カンクロウの腕の中で寝るのはなんだか嫌だ…」 『確かに…( ̄Д ̄;;)』 「隣で寝るだけじゃダメなのか?」 「さぁ?ま、三人で仲良く寝ればいいじゃない?」 「そうだな。我愛羅は私が抱いて寝よう。諦めろカンクロウ」
勝ち誇った様にテマリはフンと鼻で笑った。
「それにしてもナルトが四代目の息子とはな…驚きじゃん」 「正当な火影の跡目候補じゃないか…(チッ…話逸らしたな、カンクロウ)」 「なにからなにまで我愛羅にそっくりじゃん」 「ああ…この可愛らしいところもな///」
我愛羅たちは可愛らしい寝顔で眠っているナルトに視線を向け、ニッコリ微笑む。 それを嬉しそうにウンウンと頷きながら四代目も同じ様にナルトを見詰める。
「ナルくん可愛いでしょうvv」 『可愛い(じゃん)…///』
テマリとカンクロウは四代目と同じ様に木の根元に腰掛け、ナルトを覗き込む。 ナルトは手をキュッと丸め、口を薄っすら開けて眠っている。 四代目が丸まった手の中に指を差し込むと、赤ちゃんのようにギュッと握る。 その仕草に皆がニンマリと微笑む。
「こうやって見れば見るほど四代目そっくりじゃん」 「きっと大きくなったら僕に似ていい男になるよ〜」
自分でいい男と言う四代目に呆れるが、否定出来ないのが悲しい。 木ノ葉史上最強の火影であり、整った容姿…間違いなくいい男だろう…
「このおヒゲが可愛いな…」 「これって九尾のヒゲなのか?」 「多分ね〜なんか動物みたいで可愛いよねぇvv」 「俺はこいつの語尾が好きだ」 「語尾?」 「作り物かもしれんが、ナルトは語尾に<てば>と付ける。例えば、<行くってばよ>などだ…」 「…なんかガーくんが言っても可愛いね…にしてもガーくん何気に愛の告白?!そう簡単にナルくんはあげないよ〜」 「ム…」 「ガーくんがお婿に来るって言うならいいけどね〜」
婿に行こうかなぁと悩んでいる我愛羅を必死で兄弟が止めたのは言うまでもない。 そしてナルト観察に再び戻り、四代目はナルトの髪を優しく撫でた。 ナルトが身動ぎする度に皆がホゥッと息を漏らしながら眺める。 ナルトが目覚めるまでずっとこの調子だったとか…
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