大蛇丸と砂隠れによる木ノ葉崩し…

馬鹿蛇の穢土転生が全て成功し、その上三人の火影…もとい四代目が寝返ったことで

救われた木ノ葉の里には、結果四人の火影が存在する事となった。

現在、執務は四人が交互で行うことと取り決めがされ、

四代目火影が執務を担当する際にはいつも息子を側に置いた。

当然その間のナルトの任務は下忍、暗部共に休みである。

逆に言えば、ナルトが休みでないと、四代目は執務を行わないということなのだが…

当然その皺寄せはその他の火影に来る訳で。

更には必ず四日に一回里の守護神である白狐を休ませなければならず、

皆がどうにかならないかと困り果てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の会議の最中…

一人の男が恐る恐る四代目に質問を投げかけた。

 

「四代目ずっと気になっていることがあるのですが」

「なんだい?」

「何故…その……狐を…」

「狐?」

「その…うずまきナルトを側に置いておられるのですか?」

 

その質問に顔色一つ変えず、ニッコリと微笑む。

極上の笑顔に皆はホッと胸を撫で下ろすが、次の瞬間彼らの表情は凍り付いた。

 

「だって僕の息子だもん。一緒に居て何が悪いの?」

『……むす…こ…?!』

「う〜ん…キミ、今日でクビね(*´∇`*)あーそれとそこの人たちも」

 

そして気分を害した四代目によってこの日一日で里の上層部は総解散することとなる…

 

 

 

 

 

 

 

 

その数時間後…

四代目は執務の手を止め、如何にして息子の事を里中に言い広め、守ってやるかを

ああでもない…こうでもない…と唸っていた。

そこに三人の火影たちが一つの提案を持ち出す。

 

「ナルトを火影にするんじゃ」

「火影に?」

「さすれば、ナルトは里の外に出れなくなる(そしてワシらも火影から解放される…)」

「つまりお主の側にずっと居られるぞ?(過ごせなかった楽しい老後がもうすぐだ…)」

「ナルトの火影姿も見たいだろう?さぞ似合うことじゃろう…(四代目からの解放が…)」

「ナルくんの火影姿かぁ…絶対可愛いよねぇvv」

「それにナルトに危害を加える者も居なくなるじゃろう…里長に手を出す馬鹿はおらん筈じゃ」

「解散させた上層部もナルトの側近で固める事が簡単に出来るぞ?」

「更にナルトを自分の息子だと皆の前で紹介できるチャンスもある!!どうだ四代目よ?」

「みんなの前でナルくん見せびらかし…( ̄m ̄* )ムフッ♪」

 

その提案を四代目は快く了承し、ここに木ノ葉挙げての壮大な計画が動き始めた。

 

 

 

 

 

 

* 驚破 - ASTONISH -

 

 

 

 

 

 

「何やってんの?」

「クリスマスパーティーの準備だよぉ☆里を挙げて盛大にやろうと思ってねぇ〜

どっかの国でやってるの見たんだけど…ナルくん知らない?」

 

四代目の視線の先を見てナルトはギョッとする…

松が電飾でチカチカしていた…

違う…と呟き、ナルトは暗部に森から一本の木を持って来させる。

里の広場に巨大なモミの木が設置され、ナルトの指示で装飾がなされた。

初めて見るクリスマスツリーに里人は大いに沸いた。

着々と会場が組み立てられ、何事かとたくさんの人だかりが出来る中、

四代目は面白そうにツリーを見上げる。

 

 

 

 

 

 

 

その夜

「凱亜、お願いがあるんだけど…」

 

四代目は小さな狐の耳元に囁く。

その内容に同意するように狐は頷いた。

 

「準備は整ったね…」

 

 

 

 

 

 

 

12月23日−クリスマス・イヴ前夜 計画当日

「今日は里を挙げてのクリスマスパーテー前夜祭じゃ」

「皆の者、思う存分楽しむがよいぞ」

「さて、ここで四代目から重要な報告がある。皆、心して聞くように」

 

騒ついていた場内が一気に静寂に包まれる。

四代目火影は満面の笑みを浮かべてマイクの方へ進み出た。

躊躇う様に壇上に上がろうとせず下を向いてしまったナルトの手を引き、

自分の隣に立たせると、四代目は徐に口を開いた。

 

「ここにいるうずまきナルトは僕の息子です」

 

一瞬にしてその場が凍りついた。

 

「そして先日会議の結果満場一致でナルくんを火影にする事が決定しました。

今までナルくんにいろいろ酷いことしてくれた方々、どうもありがとう(*´∇`*)覚悟しといてね」

『なんだと?!』

『九尾を火影にするだと…ふざけるな!!』

 

とその時、森の奥から木々の倒れる音が…

そしてその場に現れた巨大な生物に里人たちは激しく震えた。

 

『な…何故九尾が!!』

『封印されていたのではないのか?!』

「凱亜?!」

 

思わぬ状況に里人たちは慌てふためきナルトを凝視する。

どうなっているんだ…とその顔にはしっかり書いてある。

しかし、聞きたいのは自分の方だとナルトは表情を歪めつつ、素早く影分身と入れ替わり

暗部姿に変化して凱亜の元へ向かった。

 

『白狐だ!!』

『里の守護神様だ!!』

 

突然どこからともなく眼前に現れた里の守護神に里人は期待の眼差しを向ける。

と、次の瞬間…

 

「凱亜の馬鹿ーーーーーーー!!」

「な…ナルト、これには理由が…」

 

 

バキッ…

 

ぴゅ〜〜〜ん!!

 

 

『九尾を今殴ったよな…』

『ああ、殴ったな…』

『っつーか一発で倒したぞ?!』

『あの四代目ですら梃子摺った九尾を…』

 

その時、四代目は何を血迷ったか自分の息子であるナルトに攻撃を仕掛けた。

 

『四代目?!』

「えぃ!!うりゃぁ!ん〜なかなか消えないなぁ…」

 

里人たちが困惑の瞳で見守る中、四代目の背後に白狐が音もなく降り立つ。

その身体からは強い殺気が漏れており、大分離れた所にいる里人ですら凍えるほどだった。

 

「何をしてるんだ、何を?!(怒)」

「ナルくん……ヒィィィィ……怒らないで?全てはナルくんの為なんだから!!」

「オレは火影になんかなる気はない」

「そんなこと言わないでさぁ〜これはナルくんの為なんだよ?」

 

その会話を聞いていた里人たちは自分の耳を疑った。

里の守護神である白狐に向かって、四代目ははっきりと<ナルくん>と呼んだのだ…

 

『今、ナルくんって言ったよな…』

『ああ、確かに言った…』

『これは一体どういうことなんだ…?!』

 

そうこうしている間に白狐−もといナルトの巨大ハリセンによって、四代目は沈められた。

 

『四代目までも一撃で…』

 

四代目を片付けてスッキリした様子の白狐は徐に狐の面を取る。

その素顔の美しいこと!!

しかもその顔にはナルトのトレードマークのお髭もしっかり付いていた。

面倒で消してなかったというのが事実だが…

 

『やはりうずまきナルトなのか…』

『もうこの際四代目の息子だし…』

『九尾よりも強いし…』

『逆らったらどうなるか…』

『それに、なんて美人さんなんだ…///』

『ここは賛同しておくべきだ!!』

 

里人の心は今ひとつになった。

 

『五代目火影ばんざ〜い!!』

『白狐ばんざ〜い!』

 

こうしてナルトの火影就任は決定し、新たな火影が木ノ葉に誕生した。