「明日は我愛羅様の誕生日だな…」

「ああ、そうだな…何もなければ良いが…」

「親子揃って恐ろしい…木ノ葉だけは敵に回すな、前風影様のご遺言が身に沁みる( ┰_┰)」

『だな…』

 

 

 

 

//0119.eve//

 

 

 

 

一年前の一月十九日…

 

「我愛羅〜!!」

 

聞き覚えのある声に我愛羅は歩いていた足を止めた。

振り返ればそれはよく知った少年で…

 

「ナルトではないかvvどうしたんだ一体?」

「ん〜任務の帰りに寄ってみた☆っつーか、今日お前誕生日だろ?」

「///覚えててくれたのか…」

「勿論だろ(*´∇`*)それに、今日だろ?風影就任vv」

「ああ、よく知っているな」

「当たり前だろ!『オレに知らないことはない(笑)』

 

プッと二人で顔を見合わせて笑い合う。

と、我愛羅がふと何かを思いついたようにナルトを見つめる。

 

「そうだ、ナルト。お前、木ノ葉代表という事で儀式に参加しないか?姉たちもきっと喜ぶ」

「だけど、オレみたいなただの下忍が参加する訳にはいかないだろ…」

「四代目の息子ということで参加すれば問題ないさ」

「だ〜か〜ら〜、それは木ノ葉でもSSランクの機密事項だぞ?」

「心配ない。参加するのは上層部の者だけだ。それに次の風影は俺だぞ?」

「ん〜んじゃ、占い師ってことでvv」

「はっ?!」

「最近ハマってるんだよね〜ついでに里の未来とか占ってやるょヽ(=´▽`=)ノ」

「あ…ああ。まぁいい、参加してくれるなら俺はそれだけで嬉しい」

 

それが自分に大いなる不幸を招くとは露知らず…

我愛羅はニッコリと微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの時は我愛羅様もまさかあんな事態になるとは思わなかったんだろうな…」

「ああ…だが悲劇は起こった…」

『あれは悪夢だった…』

 

 

 

 

 

 

 

 

「何者だ!!ここは神聖なる儀式の間、お前のような下賎な者が入っていい場所ではない!」

「私は旅の占い師、我愛羅様の風影就任の儀に招かれてやってきたのだが?」

「しかしそんなことは聞いていない…」

「ならば帰るとしようか…」

「待て!!」

 

帰ろうとした自分を引き止めるように黒いマントを引っ張られ、危うく帽子が脱げるところを

慌てて直しながら、占い師−もといナルトは振り返った。

 

「テマリか」

「な、お前!テマリ様を呼び捨てにするとはなんと無礼な!!」

「いいんだ、こいつは。ナ…Σ(; ̄□ ̄)え〜と、名は何だったかな…?」

 

ナルトと呼ぼうとして、耳に入った小さな音にテマリは即座に言い直す。

勿論、ナルトがマントの下でクナイを構えた音なのだが…

 

「碧玉だ」

「碧玉、ああそうだったな。アハハ…( ̄▽ ̄;;)(頼むからいい加減そのクナイをしまってくれ〜)」

「我愛羅に呼ばれたんだが、とんだ歓迎だな(冗談だよ、冗談(笑))」

「すまん。さ、私が案内しよう…こっちだ(助かったぁ…ε-(ーдー))」

 

テマリに連れられて中に入っていく占い師を通り過ぎる者、列席者、

皆が振り返り、そして凝視した。

何食わぬ顔でナルトは占い師として席についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレを見たときはドッキリしたぜ…」

「まったくだ…しかしあれがまさか木ノ葉の金色の悪魔だとは…」

「誰も思わなかったよな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「風影様、就任おめでとうございますvv私がアナタの近い未来を占って差し上げましょう」

 

(ΦωΦ)ふふふ…

 

「…ああ( ̄Д ̄;;)頼む…」

 

ナルトは簡単な印を組み占い用の机と椅子を出現させる。

そして、大きな水晶玉を背中のフードから取り出すとポンと真ん中に置いた。

 

--そんなとこに玉入れてんのかよ?!Σ(; ̄□ ̄)何者だ、この占い師!!

 

「さあ、ここに座ってくれ」

「ああ」

 

怪しげな呪文を唱えながら、ナルトはフワリと水晶に手をかざす。

ちなみに怪しげな呪文は勿論適当だ!

我愛羅の星が形を成していく…

 

「お前あと一年くらいで一回死ぬよ?」

「……なん…だと…」

「心配すんな、すぐに生き返れるから☆ってお〜い我愛羅?お〜い!

なんだ、聞こえてないのか〜?」

 

死ぬと言われて平常心でいられる者が何人居ようか…

我愛羅も勿論そのショックは大きく一気に放心状態だ…

 

「死ぬ…俺が死ぬ…?死ぬ…死ぬ…ウオォォォォォォォォォォォォ!!

『我愛羅様?!』

ナルト、俺って死んじゃうのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

我愛羅は混乱の余り、占い師の肩を掴みながらグラグラと揺らしつつ、

ナルト、ナルト!!と連呼した…

 

『ナルト?!まさか…』

 

フードを脱いで、ナルトはエヘッと微笑む。

 

『オノレ!木ノ葉の忍め〜〜〜〜!!』

 

ナルトを取り囲むように砂の忍たちが集まってくる…

その中の一人の忍にナルトは指を差す。

 

「おっ、こいつ暁の刺客になるよvv」

『アンタ、それはまだ言っちゃダメでしょ!!』

「あ〜そこのばあちゃん、死ぬよ?」

「う〜おのれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜木ノ葉の忍めぇ!!」

 

チヨバアの木ノ葉嫌いはこの日より悪化した…

 

「お前たち、やっておしまい!!」

『御意!!』

 

砂の忍たちは世にも恐ろしい形相でナルトに迫った。

と、その時…

 

「俺のナルトに触るなぁぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!」

『ハイ?!( ̄ェ ̄;)』

「どうせ死ぬんなら俺はナルトの側で死ぬんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

我愛羅は物凄い勢いでナルトを抱き上げ、窓から飛び出そうとする。

いきなり里の長を失う危機に皆が慌てて我愛羅に抱きついた。

 

「何をする、離せ!!」

『離せません!』

「俺は死ぬんだ!!だから好きにさせてくれ!!!!!!!!」

『なりません!里はどうなさるおつもりですか?!』

「里…ああ…ナルトと二人、砂と木ノ葉で世界征服計画も敵わないのか…」

『は?!』

「魚ぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

我愛羅は超マッハで里の者たちを吹っ切り、里の外へ飛び出していった。

それを追うように声を張り上げながら里の忍たちも次々と部屋を飛び出した。

 

『風影様、ご乱心!!ごらーーーーんしーーーーん!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

それから我愛羅が里に戻ったのは一週間後…

なかなか帰って来ないナルトを心配して探しに来た朱寂にバレて、

ナルトは朱寂ともども謝りに行ったとか…

 

「皆さん、ごめんなさいってばvv」

 

ニッコリ笑って謝るナルトの笑顔に皆が見惚れて許してしまったが、一部では

昔見たことのある風景がダブって、目を見開いていた。

 

 

数年前…

 

「皆さん、ごめんなさいvv」

 

あの時は確か火影になったばかりの四代目火影が、前風影様と喧嘩して…

確か内容は、これから生まれたばかりの我愛羅様を見て、まだ生まれてもいない自分の

息子の方が絶対可愛いに決まってるとか言って、それに怒った前風影様が我愛羅の方

が百倍可愛いとか…千倍とか…一万倍とか…

話を聞いた三代目火影が四代目を連れてこうやって謝りに来たよなぁ…

 

 

『四代目火影の息子…』

『たしか我愛羅様と同じ年に生まれた筈…』

『あの金色の髪に藍い瞳…木ノ葉の黄色い閃光…金色の悪魔…』

『…もしかして…』

 

その日を境にナルトは一部の砂隠れの里の忍たちの間で恐れられる存在になった…

 

 

 

 

 

 

 

「今年は何もないといいな…」

「ああ…せっかく風影様もやっとこさ回復して落ち着かれたのだ…」

『頼むから何も起こらないでくれ!!』

 

しかし、更なる悪夢が砂隠れの里に刻一刻と迫っていることを彼らは知らない…