「おい、ナルト…マジでそれ持って行くのか?」

「当たり前だろ?我愛羅の誕生日なんだぞ〜」

「ああ、それは分かるが…」

「これがあれば我愛羅は安心して眠れるんだぞ!最高のプレゼントだろvv」

「……頼むから、木ノ葉と砂の関係が悪化するような事態は避けてくれよ?」

「去年のこと言ってんなら、大丈夫だって(*´∇`*)心配すんな☆」

「…何度も言うが、お前の大丈夫は信用できないんだよ…ったく、めんどくせぇ…( ̄Д ̄;;)」

 

 

 

 

//0119//

 

 

 

 

一月十九日…里長である風影、我愛羅の誕生日である。

本来ならば、里を挙げて祝う筈のこの日…誕生日パーティーを早々に切り上げた

砂隠れの里は厳戒態勢下にあった。

いつもは賑わう商店街も異様な静寂に包まれる中…砂煙の中に美しい金髪が靡く…

 

--やはり来たか…木ノ葉の悪魔…

 

フンと鼻で笑うと、木ノ葉の悪魔−ナルトは真っ直ぐ風影の執務室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たか…」

 

警備すら居ない建物内を迷うことなくナルトは歩く。

そして辿り付いた巨大な門を両手で押し開けた。

目の前にはただ一人…黙々と執務をこなす目的の人物のみ。

我愛羅は書類にやっていた目をナルトに向け、ナルトが背負っているモノに気付き

目を掌で覆うと、椅子に深々と靠れながら長い足を組んだ。

 

「誕生日おめでとー、我愛羅vv」

「……(ノ_-;)…ナルト、そのお前が背負っているものは何だ…」

「誕生日プレゼントだってば(*´∇`*)」

「…悪いが…俺はいらん」

「何でだよ〜オレ、せっかくお前の為に用意したのにぃ(・ε・)」

「そんなプーッと膨らんでもダメだ!俺には里を守る義務があるんだ、わかってくれ!!」

「そんなこと言うなよ…オレ、せっかくお前が欲しいものを占いで調べて作ってきたのに…」

 

<占い>という言葉に我愛羅の肩が一瞬ビクリと波打つ。

 

「…ならば、尚更いらん!!」

「ヒドイ…オレ、せっかく一生懸命…ヒック…うぅ…」

 

ナルトの大きな藍い瞳からハラハラと雫が零れ落ちる。

その様子に慌てて我愛羅はナルトに駆け寄り、抱き締めた…ナルトの背中にへばり付いている

モノを視界に入れないようにして。

 

「ナルト、すまない…そんなつもりじゃ…俺はお前が来てくれただけで嬉しいんだ。

だからプレゼントなんて必要ない(そんなものより、寧ろお前をくれ)」

「プレゼント受け取ってくれないの?」

 

潤んだ瞳で見上げるナルトは正にアイフル犬…我愛羅は胸がキュンとして、

思わず受け取る、と言って頷いてしまった。

ハッと気付いた時には既に遅く、さっきまで泣いていた筈のナルトは美しい笑みを

浮かべてイソイソと準備していた。

ポフンという音と共に水色の丸い物体に変化したナルトは腹にあるポケットに

背中に背負っていた物体を突っ込む。

が、入り切らなかった為、ダラリと垂れた手らしきものが見えるのはこの際見えなかった

ことにしよう…寧ろ見たくない!

 

 

チャララランララ〜ン!!お母さんモドキ!!!!!!

 

 

「……Σ( ̄Д ̄;;)」

 

間抜けな音と共にポケットから取り出されたそれはなんとなくHな道具にも似てる

我愛羅を産んですぐに亡くなった母親を象った等身大の人形だった…

 

 

>>>説明しよう!!

お母さんモドキとは…我愛羅の亡き母上を模した人形で、椅子の上に置けば

柔らかいクッションになるという優れモノ!その上、その感触、香りは正に母親そ

のモノ…どこか懐かしい感じのするそれの上で眠れば、なんとっ!!守鶴の所為

でまともに眠れない我愛羅でもぐっすり眠れ、更にっ!自分の望んだ通りの夢が

見られる最強アイテムなのだ!!

 

 

「ってことで、活用してやってくれ」

「あ…ああ…」

「んじゃ、オレこれから任務あるから〜」

「ああ…」

 

呆気にとられている我愛羅を置いて、ナルトは再び吹き荒れる砂の中へ消えて行った。

一人残された我愛羅はジーッと母親の顔をした人形を見つめる。

 

「俺が欲しいものか…」

 

試しに執務用の椅子にそれを置いて、その上に座ってみる。

 

「おお…これは…」

 

その座り心地は見た目と違い、本物の人間のように暖かく、女性特有の

柔らかさを備えている…(ちなみに参考にしたのは綱手)

甘い香り(実は眠り薬だったり…)が我愛羅を包み、自然と人形が我愛羅を

抱き締めていく。

そして急に襲ってきた心地よい眠気に、我愛羅は目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我愛羅!!』

『風影様!!』

 

ナルトが里を出たのを確認し、テマリ、カンクロウをはじめ側近たちが我愛羅の元に集まった。

が、スヤスヤと眠る我愛羅を発見し、皆が驚いたように目を見開いた。

 

「我愛羅が眠っている…」

 

ナルトvvああ…勿論俺も愛しているぞ、ナルト〜〜〜〜(*´▽`*)ノ゛アハハ〜♪

 

『……寝言か…ε-(;ーωーA フゥ…それにしても…

一体何の夢を見ているんだ?!Σ(; ̄□ ̄)』

 

我愛羅の寝言には驚かされたが、それでも皆の顔には一様に笑顔が浮かんでいた。

 

『たまには木ノ葉の悪魔もいいことをするのだな…』

「ナルトは元々優しくて、いい子なんだ!そりゃ、時々イタズラは過ぎることがあるけど…」

「過ぎるとかいうレベルじゃないジャン…( ̄Д ̄;;)」

『とにかく、今日はそっとしておいてあげましょう』

「そうだな。あんな安心して眠っている我愛羅などはじめて見た」

「そうじゃん」

 

テマリたちは静かに執務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それからいくら経っても我愛羅は目覚める気配がなく、

砂隠れの里は執務に支障を来たし始めた…

 

『やはり悪魔は悪魔だったか…(|||_|||)』

 

様々な手を尽くしても我愛羅を目覚めさせる事が出来なかった砂の上層部は

制作者であるナルトに頼みに行く事を決定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

--ナルト、砂隠れの里から使者が来ている。すぐに執務室まで来るように。

 

少し思い当たる節があり、ナルトは一瞬行くかどうか迷うが、

結局諦めて執務室へ向かった。

執務室の窓から易々と侵入すると、目の前に綱手が立ちはだかる。

 

「ナルト、お前今度は何をした!(▼へ▼メ)」

「何もしてないってば(*´∇`*)」

「ほう…その笑顔は何か思い当たる節があるようだな」

「アハハ…(-_-;)オレは良かれと思ってやったんだけどな…やっぱ効果強すぎたか?」

「(ノ_-;)ハア…とりあえず、謝っとけ」

「了解だってば☆」

 

ナルトは恐る恐る客室へ入室する。

砂の使者はナルトを確認すると、ナルトの前に跪いた。

 

「え…?」

「ナルト様!お願いです、我愛羅様を起こしてください!!」

「へ?」

「我愛羅様が起きないんです!このままでは里が機能しなくなってしまいます!!

どうか、どうか我愛羅様を起こしてください!!」

「あれからずっと眠ってるのか?」

「はい、あの日からずっと…しかも怪しげな笑みを浮かべながらアナタの名前を

呟いておられて…起こそうとすると<俺とナルトのランデブーを邪魔するな!!>と…」

「( ̄Д ̄;;)へ、へぇ…」

「とにかく砂に一緒に来てください!」

「う〜ん、行ってもいいけどアレ頂戴?」

「アレ…と申しますと?」

「砂流忍術絵巻」

「な…あれは里に伝わる秘伝書!!」

「ダメなの?じゃぁ行かない」

「…………わかりました…里の存命には代えられません」

「ラッキーvv」

やっぱりこの人悪魔だ…( ┰_┰)」

「なんか言った?」

「い、いえ…何も…」

 

こうして我愛羅を起こす為にナルトは砂隠れに向かい、いとも簡単に我愛羅を

起こすと、砂隠れに伝わる秘伝書を受け取り、木ノ葉へ帰って行った…

 

『こんな馬鹿げた事の為に里の秘伝書が…( ┰_┰)』

 

 

>>>説明しよう!!

眠りに落ちた者を起こすには…お母さんの鼻に指を突っ込む事で、

腹を立てたお母さんが必死になって追って来る為、抱かれて眠って

いた者は即座に解放され目が覚めるのである。

 

 

この日以来、ナルトに対する砂隠れの警戒はより強化されたらしい…

お母さんモドキは破壊しようにも我愛羅の反対に合い、更にモドキ自体から

も攻撃を受けた為、結局禁術の札を貼られ蔵にしまわれることとなった。

しかし、時々我愛羅が出してきてこっそり使っているらしい…

その度に誰かがお母さんモドキの鼻に指を突っ込み追いかけられ負傷し、

犠牲者が続々と増えている事を追記しておこう(笑)

 

 

「ああ…ナルトvvダメだろ、そんなことしちゃぁ〜〜(*´▽`*)ノ゛アハハ〜♪」

 

 

砂隠れの未来は暗い…かもしれない…