裏木葉へ通じる扉を出現させるにはカナリのチャクラを必要とする。

つまり弱いものにはこの扉を見つけることすら出来ないのだ。

扉を前にエビスは肩で大きく息をしてした。

 

「やっぱり…私には…ちょっと…ハァハァ…きついですね…」

「そのうち徐々に実力アップすれば平気になってくるって。ここの暗部たちもそうだから」

 

中忍試験が始まり、決戦までの一ヶ月間…

ナルトたちは裏木葉で暗部たちの修行を手伝う事にした。

暗部たちにとっては仄かに嬉しくて、とてつもなく大きなお世話なのだが…

そして今、ついでに…寧ろメインでエビスの修行も行っている。

暗部たちにとっては少し寂しくて、大いに感謝したい(生贄になってくれて☆)ところだ。

ちなみにナルト…木ノ葉丸がある程度のレベルになったら、エビスを一番隊に引き込もうと現在画策中である。

 

 

 

 

 

* 月光 - GEKKO -

 

 

 

 

 

「エビスせんせ〜、ちょっと来て欲しいんだけど?」

 

エビスはナルトの影分身と激しい戦闘訓練を行っていた(実際は一方的にやられているだけだが…)。

その修行中、突然ナルト本体に呼ばれたエビスは瞬身でナルトの元へ向かった。

思ったより早く自分のところへ来たエビスに満足そうに微笑むと、ナルトは室内へ案内する。

案内された場所には包帯をグルグルと巻かれたミイラが眠っていた。

エビスはそのミイラが誰かに似ている気がして顔を覗きこみ、その人物に思わず目を見開いた。

 

「ハヤテ?!これは一体…」

「なんか落ちてたから拾って来たんだけど…」

「落ちてた?( ̄Д ̄;;)ハヤテがですか?!」

「まぁ落ち着けって…どうやら砂と音が手を組んで木ノ葉崩しを計画しているらしくてな…

大方ハヤテはその密会の内容を聞いた為に口封じされたってとこだろ…」

「それは一大事!!火影様に報告しなくては!!!」

「ああ、それは大丈夫。前々からあった話しだし…もう青瀧に調べさせて、今報告に行ってる」

「…本当に白狐なんですね…」

「まあね…伊達に総隊長なんてやってないよ┐( ̄ヘ ̄)┌」

「・・・それでハヤテの容態は?」

「拾った時にはもう心臓止まりかけてたからなぁ…とりあえず源武に治療させたから大丈夫だとは思うけど…

胸の傷が結構深くて、オレの血を調合した丸薬でも全快にはできなかった」

「それでこの後はどうするんですか?」

「う〜ん…とりあえず里ではもう死んだ事にしちゃったからなぁ〜」

「なんですとっ?!Σ( ̄□ ̄;)」

「てことで、裏木葉で暮らしてもらいつつ暗部として生活してもらうかな?

どちらにしろ暗部にするつもりだったしvv一石二鳥?」

「では、もう今まで通りに暮らす事はできないんですね…なんと憐れな…

それよりも…暗部にする事は決定事項だったのですか?!」

「うん。オレがすると言ったからにはするってば(*´∇`*)」

「…(不味い…なんだか嫌な予感…逃げなければ!!Σ(; ̄□ ̄))」

「ちなみにエビス先生は木ノ葉丸が下忍になったら諜報担当の一番隊ね☆」

「はい?!」

「ね☆」

「…ハイ( ┰_┰)(それも決定事項なんですね…)」

「このままどんどん暗部増やしてって、裏木葉を暗部の町にしようかなぁ〜

火影ならぬ裏影とか作っちゃってさぁ〜他の里の忍もバシバシ引き抜いて〜

世界制覇とかしちゃえるよなぁ〜フフ♪(* ̄ー ̄)」

「……(頑張ろうなぁ…ハヤテ…(T-T))」

 

エビスは未だ傷つき眠っているハヤテに呼びかけることで、ナルトという現実から逃避する事に決めた。

そしてこの日は、ナルトの世界制覇への野望が動き出した記念すべき日となった…

それから数日後…目覚めたハヤテは全てを知り、嘆きの内に暗部に身を置く事となる。

同じ様な経験を持つ暗部たちの結束も、この悲劇の男−ハヤテによって更に固いものとなった。

 

--…まさか暗部になる為に死んだ事にされたなんて…ゴホッ…あんまりなんですね…( ┰_┰)