人々は恐れ戦いた…突如として子供から流れ出す紅黒いチャクラ… それは徐々に具現化し、皆が良く知るモノへと変化する。
『九尾…』
--何故だ!!封印されていたのではないのか?! --あの子供に封印されているから子供を処刑する事で中の九尾を殺そうと思ったのに --…中の…九尾?…ならば俺たちが殺そうとしたのは何だ…… --俺たちが殺そうとしたのは…ただの…ただの子供?
一部の者は自分たちが犯した罪を知り、絶望に頭を抱え地に平伏す。 一部の者は九尾を冷めた眼で見つめ、一部の者は驚愕し、動けないでいた。 一部の者は一目散に逃げ出した…もう逃げ場はないと判っているのに…
閑 * 木葉崩壊2 - COLLAPSE2 -
「お前たちは二つの過ちを犯した。一つ、ナルトを傷つけたこと…二つ、我にした事と同じ事をナルトにしたことだ… お前たちはその愚行の残虐性がわからないのか?!そんな人間ばかりの里なら、もう要らぬな…」
雄叫びと共に聞こえた声に人々は恐怖した。 元来吊り上がっている目を更に吊り上げ、口元に妖しげな笑みを浮かべる九尾の形相は 全てを恐怖のどん底に突き落とすには充分だった。 三代目たちを監禁する為に多くの優秀な人員を裂き、 舞台には数人を除き大した忍は配置されていなかった事が災いしたのか… その場に居た者は一瞬にして死滅した。
「間に合わなんだか…」
三代目は苦しそうに目を閉じた。
『助けてください!三代目!!』 「お主たち、あの子供に何をした…」 「それは…」 「言え」
三代目の殺気に気圧された人々から口々に語られる忌々しい出来事に、その場に居た者たちは怒りに震え、 子供と関係の深い下忍たちは涙した。 その中で呆然と佇み九尾を見つめる下忍が三人… その三人に子供たちが抗議の目を向けた途端、三人の姿が煙の様に消えた。
「ネジ…?」 「シカマル?!」 「シノくん?」
そのほぼ同時に三代目の前に三人の暗部が現れた。
『三代目…』 「お前たち…帰って来てくれたのか…」 「四神…」 「遅くなり申し訳ありません」 「いや…状況はわかっておるな」 「はい…影分身から全て見ておりました…」 『影…分身?!まさか…』
三人の暗部はゆっくりと下忍たちの方を向き、三代目に許可を取るように振り向く。 三代目が頷いたのを見届け、変化を解く。 現れたのは、先程突然消えた三人の下忍、ネジ、シカマル、シノ。 その場に居た里人たちは驚きの余り、口を開けたまま凝視している。 そんな周囲に目をやりながら、シカマルは静かに口を開いた。
「ナルトは今、恐らく眠りに付いています。今まで暴れだそうとする凱亜を押さえ込んでいたのでしょうが、 馬鹿な里人の所為で、それを止め、意識を凱亜に開け渡した」 「凱亜の封印は既に解けているが、ナルトと深く交わり過ぎた為に自分が出て行けば、ナルトが死んでしまう。 だからこそあの様に具現化という一番ナルトに負担を掛けない方法を選んだのでしょう」 「つまりナルトを眠りから目覚めさせれば、凱亜を止められるということか」 「そうなります」 「じゃが…どうやって…」 「誰かがナルトの精神に侵入し、起こしてくるしかありません」 「俺が行く」 「カカシ先生…」 「俺に行かせて欲しい」 「判りました…では方法を伝えますので、こちらに…ネジ、ナルトをここに」 「わかった」 「この術は禁術中の禁術…もしかしたらもう二度と戻れないかもしれません」 「それでも構わない。俺はナルトを助けたい!死んだって助ける!!」 「それは俺も同じ気持ちです…ナルトを…お願いします…」
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