『とりあえず…』

 

「ナルトが真面目に来るかどうかが問題だな…」

 

「シカマルを如何に嵌めるかが問題だな…」

 

 

 

 

* バラしたいお年頃2 - AGE2 -

 

 

 

 

--シカマルがいる。

--え〜僕全然わかんないよ…

--バカ!周り見まわすな!!

--ごめ〜ん

--普通に話してる振りをしながら、筆談で相談するしかねぇな。それに上手くするとシカマルを欺ける。

--そうね…

 

 

「シカマルがどうしても手を出さなきゃならない事態か…シカは敵が攻撃して来ても動かなそうだしなぁ…」

「そうだねぇ…でもさぁ、戦いの中でナルトが危機に陥ったら絶対助けると思うけど?」

「オレ、危機になんて陥らないし…っていうか、そんなカッコ悪ぃこと演技でもしたくねぇよ」

 

 

 

ナルトたちが部屋を出て行ったところを見計らって、シカマルは姿を現す。

 

「ナルトは間違いなく正攻法で来る…」

 

シカマルは一人頷くと、ナルトたちの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イルカセンセー!」

「お〜ナルトじゃないか。いのとチョウジも、久しぶりだな」

『お久しぶり〜』

「珍しい組み合わせだな。シカマルはどうした?」

「シカマルは敵だってば!そんなことより先生も一楽一緒に行こうってば☆」

 

敵…確かにナルトはそう言った。

確かに今はそうかもしれないが、普段は普通に接してくれてもいいじゃないか…

しかも俺の事を<そんなこと>呼ばわり…

その言葉に少なからずショックを受けたシカマルは悔しそうに唇を噛んだ。

 

「仲間外れかよ…ここまでする意味あんのか…?」

 

そんなシカマルを目の端で確認しながらナルトはニヤリと笑う。

恐らくこの出来事によって、シカマルは自分の身を危険に晒してナルトの気持ちを確かめようとする筈…

つまり敵を誘き寄せ戦わせるという単純な方法を取ると確信した。

まぁ、そうはいかないんだけどね…とナルトはニッコリといつもの微笑を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日間、ナルトはシカマルと話すことも、傍に行く事もしなかった。

全ては勝つ為…シカマルを精神的に如何に追い詰めるかが勝機に繋がるのだ。

その為に最も難しい単純作戦をシカマルに取らせた。

単純な事ほど数通りの方法が存在してしまい、成功を遠ざけるのだ。

それ程にナルトはシカマルの頭脳を買っているということなのだが…

そんなことをシカマルが知る筈もなく、シカマルはただただ悲嘆に暮れていた。

そして計画実行日、三班合同任務の日がやってくる。

任務の内容は数週間前火事によって焼けてしまった森の修復作業。

と言っても単に焼けた木々を取り除き、新たに植林するだけなのだが…

条件としては悪くない。ここに里人が立ち入る事は禁止されており、

下忍と担当上忍以外にはバレることは絶対にない。

シカマルがご丁寧に結界も張っておいてくれたみたいだし。

ナルトはこの後に起こるであろう事にワクワクと胸を躍らせていた。

 

「覚悟しろよ、シカマル…勝つのはオレだ」

 

そう呟くと、ナルトはニッコリと楽しそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たか…」

「やっぱり考える事は同じね」

「さてと…んじゃ計画実行ってことで」

『気を付けてね』

「誰に言ってんだよ」

 

現在彼らの目の前では上忍たちと草忍が激しい戦闘を繰り広げている。

下忍たちはどうしていいかわからず、指示された通り全員で結界を無心に張っていた。

明らかに苦戦している…まぁ、それはしょうのない事なのだけれども…

緊張した面持ちで臨むシカマルを横目で確認しながら、ナルトは僅かに口端を上げる。

 

『さて、どっちが先に折れるかな…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

担当上忍たちは見事に敵の術中に嵌り、為す術もなく敵の草の蔓に捕獲され、木に磔になった。

そして危険が下忍たちの元に迫る…

少しずつ近付く敵に怯える下忍たちを見回し、隊長格の男が徐に口を開く。

 

「白狐さんはどなたですか?」

『白狐さん?(何で<さん>付けな上に、敬語?!)』

『白狐さん…だって(ですって)?(思わずつられて<さん>付けちまった(ちゃった)…)』

 

敵の口から出た名前に、何も知らない下忍たちは首を傾げ、その名を知る上忍たちは目を見開いた。

 

「オカシイですね、この中に居る筈なんですが」

「なにを言ってるんだ、白狐がそいつらな訳がないだろ!」

「そうよ。白狐がそんな子供なわけないでしょ!!」

「いえ、間違いなくこの中に居ますよ」

「なんでそんなに自信持って言えるんだよ?」

『シカマル!?』

「何でと言われても…居るって言ったら居るんです!!(焦)」

『はあ…(なんなんだこいつは…)』

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば白狐さんはキレイな金髪でしたね…長くて美しい金色の髪///」

『…金髪?!…(っていうか…この敵大丈夫なのか?頭が…)』

 

下忍たちは一斉にナルトに眼を向ける。

ナルトはキョトンとして、オレと同じ色?なんて暢気に首を傾げていた。

下忍たちは同時に嘆息すると、ナルトの筈がない…と目を敵に戻した。

だが敵さんはそうは思ってくれなかったらしく…

 

「何するってば!!」

『ナルト!!』

 

隊長らしき男はナルトをズルズルと結界から引きずり出すと、スルリと後ろから首に手を回し、

自分に密着させた。心なしか男の手は震え、顔は紅潮している…

 

「キミ…白狐さんと同じ金色の髪ですね///」

「それだけで判断するのはどうかと思うってばよ?」

「おやおや…反抗的ですね」

 

そう言うと男はナルトの項にクサリと千本を刺す。

途端に、ナルトは身体の力が抜けた様にヘナヘナと崩れ落ちた。

 

「それでは…白狐さんは頂いて行きますね」