嘘だろ…

シカマルは今、心の内で激しく葛藤していた。

あれは演技だ…ナルトは演技をしているんだ…

そう自分に何度も言い聞かせても、最後には頭が拒否する。

ナルトの項に刺さる千本が太陽の光を反射してキラキラと輝いている。

もしこれが演技ではないとすれば、ナルトが連れて行かれてしまう。

もしこれが演技ならば、飛び出した自分をナルトは笑って馬鹿にするだろう。

真実の判断がつかない今、そんな下らないプライドなど捨てて飛び出すべきだ…シカマルは決意した。

 

 

 

 

* バラしたいお年頃3 - AGE3 -

 

 

 

 

「そいつをどこに連れて行くつもりだ…」

「何か言いました?」

「ナルトを離せと言っている」

「理解出来ませんね…下忍のキミに何ができるんですか?」

 

シカマルはフンと鼻で笑うと、素早くナルトの傍に移動する。

下忍ではありえないスピードで…

 

「な…キミは一体何者です?!」

「誰でしょう?」

 

ニヤリと妖しい笑みを浮かべると、シカマルは徐に巨大な深紅に染まった鉄扇を取り出す。

そしてそれを見た敵たちは同時に5メートルほど後退った。

 

『その鉄扇は…まさか…( ̄Д ̄;;)』

「俺の事知ってんのか?は〜俺も有名になったもんだな…めんどくせぇ」

「あぁ、その口癖…やっぱり朱寂なのか…(_TдT)」

『朱寂?』

『朱寂だって(ですって)?!』

『朱寂って何だ(なの)?』

「朱寂は白狐と並ぶ里の守護神様よ」

「木ノ葉ナンバー2の暗部だ」

「嘘でしょ〜シカマルが朱寂なわけ?!」

 

どこかで聞いたようなやり取りが行われる中…

敵たちは一斉にどうやって逃げようか策略を考え始めた。

どう考えても分が悪過ぎる…なんてったってあの子供は白狐の相方である朱寂なのだから…

そんな敵の様子に不思議に思いながらも、シカマルは戦闘態勢に入る。

 

「ちょ…ちょっと待ってくれ!朱寂!!」

「は?」

 

敵たちが言葉を発した時既に遅く、シカマルの飛ばした鉄羽は彼ら目掛けて一直線に飛んでいく。

しかし、それが彼らに命中する事はなかった。

たった一本の千本によって全てが地に落とされたのだ。

シカマルはゆっくりそんなことが出来るであろう唯一の人間の方を振り返る。

そこには先程まで動けなかった筈の相方が眩しい程の笑顔を浮かべて立っていた。

 

「ナルト…どういうことだ…」

「何が?」

「何故こいつらを助ける?」

『え…さっきのナルト(くん)がやったの?!』

 

驚きの事実に下忍及びカカシを除く上忍たちの目はナルトに向けられる。

ナルトはそんな下忍たちに目もくれず、シカマルに向かってニコリと微笑む。

 

「オレの勝ちだな」

「てめ…質問に答えろよ!!」

「答えは簡単だろ?あーお前らもう帰っていいよ、ありがとな(*´∇`*)」

『御意///』

「え…お前ら…」

 

敵たちは徐に面を取り出し身に付けると、素早く変化を解く。

その姿は紛れもなくこの里の暗部で…

 

「…やられた…」

 

シカマルは自分がまんまと嵌められた事に気付き、悔しそうに呟いた。

 

「お前、こんな下らない事に自分の隊の奴ら引っ張り出すなよ…可愛そうじゃねぇか…」

「これも新人研修の一環だ。四番隊はなんでもこなせるエキスパート集団だからな☆」

「そうかよ…つーか、俺が誘き寄せた本物の草忍はどうした?」

「アイツらが全部倒したに決まってるだろ?ったく…本物の敵連れて来んなよ…危ねぇなぁ〜」

「暗部を使ってるお前もどうかと思うぞ…?にしても…」

「なんだよ?」

 

シカマルはハァ…と溜息を吐くと、ナルトを抱き締める。

 

「シカマル?!」

「やっと触れた…話出来た…」

「寂しかった?」

 

ナルトはしたり顔でシカマルを見詰める。

 

「ったく…散々無視しやがって。俺がどれだけ苦しんだか…」

「やっぱオレの方がお前より頭良いなvv」

「これって頭良い悪いの戦いだったのか?!っていうか何でそういう結論になるんだよ…」

「シカマルがこんなに思い通りに動いてくれるとはね…

ま、打合せしてるオレらの偵察に来てなかったら難しかったけどな〜」

「全てお見通しって訳かよ…お前にはやっぱ敵わねぇな…」

「さてと…シカマルに何してもらおうかなぁ〜花苗ちゃんとエキシビジョンマッチ?

温泉の改装?木ノ葉上空30キロ耐久綱渡りとかもいいな…どれにしようかなぁ〜(ΦωΦ)ふふふ…」

「……俺的には温泉の改装が一番いいかな…」

「それじゃ、温泉改装は面白くないから却下!」

「ナルトぉ…(TдT)」

「しょうがねぇな〜ま、同時にバレた様なもんだし…今回はおあいこって事にしといてやるよ」

「助かったぁ〜(-_-;)恩に着るよ…」

 

しみじみと呟くシカマルの背をポンポンと叩きながら、ナルトはいのに視線を送る。

 

「でさぁ〜いのぉ…バラしたけど、これからどうすりゃいいの?」

「はぁ?!」

『え……いの?』

 

全員の視線がいのに向けられる…

 

「ちょっと…なんで私に振るのよ…」

「お前が言い出したことだろ?めんどくせぇ…まさか何も考えてなかったのか?」

「アハハ…」

「どうせそうなったら面白そう…とかいつもみたいに思っただけなんでしょ〜?」

『へ〜そうなんだぁ(*´∇`*)』

 

チョウジの鋭い突っ込みに、ニコリと微笑むナルトとシカマルからいのは2、3歩後退る。

 

「んじゃ、当然この後はいのに任せていいんだよな?」

「だな。俺たちはめんどくせぇから帰るぜ」

「え…ちょっと待ちなさいよ!アンタたち!!」

 

いのの制止虚しく二人は仲良さそうに森の中に消えた。

そんないのの背中をチョウジは優しく撫でてやる。

 

「僕が手伝うからさ…そんな落ち込まないでよ、いの」

「ありがと…チョウジ」

「よ〜し!それじゃぁ、質問タイムに入ろうかな☆何でも聞いてよ!!」

『チョウジってこんなキャラだったっけ…( ̄Д ̄;;)』

 

その後、楽しい?質問タイムは任務そっちのけで日が暮れるまで続いたそうな…