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『とりあえず…まずはお披露目しねぇと何も始まらねぇな』
閑 * バラしたいお年頃2 - AGE2 -
「俺が敵を誘き寄せて下忍どもを襲わせる。んでアンタは適度にやられて どうしてもナルトが飛び出さなきゃならねぇ状態を作ってくれ」 「了解です!でも一体なんでそんなことを?」 「それはアンタが知る必要のないことだよ」 「ふ〜ん…まぁいっか。ナルトのあ〜んな姿やこ〜んな姿のプロマイドの為ならどうでもいいやvv」 「…なんかカカシに任せて大丈夫なんだろうか…不安だ…」
ウキウキとスキップで去っていくカカシを見ながら、朱寂はハァ…と嘆息し、 心に生まれた不安を払拭する為、次の計画へ向かった。
「シカマルがどうしても手を出さなきゃならない事態か…シカは敵が攻撃して来ても動かなそうだしなぁ…」 「そうだねぇ…でもさぁ、戦いの中でナルトが危機に陥ったら絶対助けると思うけど?」 「オレ、危機になんて陥らないし…っていうか、そんなカッコ悪ぃこと演技でもしたくねぇよ」 「だろうね」 「なぁ、いの。シカマルの弱みってなんかない?」 「弱みねぇ…アイツなんだかんだ言って顔は悪くないし、実力もあるし…結構非の打ち所がないのよねぇ…」 「だよねぇ…ちょっとナルトバカなとこ除けば、シカマルって完璧だよね…」 「尻尾巧く隠してるだけじゃねぇの?」 『それはナルトでしょ…』 「だな(笑)んじゃ、とりあえず調査に行きますか」 『調査?』 「シカマルの弱みを探しにvv」 『面白そうね…』
「イルカセンセー!」 「お〜ナルトじゃないか。いのとチョウジも、久しぶりだな」 『お久しぶり〜』 「珍しい組み合わせだな。シカマルはどうした?」 「シカマルは敵だってば!」 「敵?」 「これには訳がありまして…」 「またロクでもないことやってるんだな…」 「そんなことより、先生も一緒に一楽行かない?」 「おお、いいぞ〜」 「今日はオレが奢るってば。いっつも奢ってもらってるし、それにオレの方が稼いでるしね☆」 「ナルト…( ┰_┰)」
サラリと言われた言葉に肩を落とすイルカを宥めながら、三人は歩く。 その三人を後ろから付ける影を背負った男が一人…
「仲間外れかよ…ここまでする意味あんのか?っつーか、俺の調査はどうなったんだ…」
それから数日間、シカマルはナルトと話すことも、ナルトに触れる事も出来なかった。 そして計画実行日、三班合同任務の日がやってくる。 任務の内容は数週間前火事によって焼けてしまった森の修復作業。 と言っても単に焼けた木々を取り除き、新たに植林するだけなのだが… 条件としては悪くない。ここに里人が立ち入る事は禁止されており、 下忍と担当上忍以外にはバレることは絶対にない。 念の為に結界も張っておいた。 そして敵は既に誘き出し、現在白狐に変化した影分身が誘導している。
「誘導完了。覚悟しろよ、ナルト…」
そう呟くと、シカマルは影分身を消した。
「来たか…」 「やっぱり考える事は同じね」 「さてと…どうしたもんかな〜ま、とりあえず様子見だな」 「そうだねぇ…モグモグ」
暢気に呟いているが、現在上忍対シカマルの連れてきた草忍との戦闘中である。 下忍たちはどうしていいかわからず、指示された通り全員で結界を無心に張っていた。 目の前では上忍たちが明らかに苦戦している…
「カカシの奴、巧くアスマと紅を引き込んだみたいだな」
ホクソ笑むシカマルを横目で確認しながら、ナルトも僅かに口端を上げる。
『さて、どっちが先に折れるかな…』
担当上忍たちは見事に敵の術中にハマったとばかりに敵の草の蔓に捕獲され、木に貼り付けになった。 そして危険が下忍たちの元に迫る… 少しずつ近付く敵に怯える下忍たちを見回し、隊長格の男が徐に口を開く。
「白狐はどなたです?」 『白狐?』 『白狐だって(ですって)?』
敵の口から出た名前に、何も知らない下忍たちは首を傾げ、アスマと紅は目を見開いた。
「オカシイですね、この中に居る筈なんですが」 「なにを言ってるんだ、白狐がそいつらな訳がないだろ!」 「そうよ。白狐がそんな子供なわけないでしょ!!」 「いえ、間違いなくこの中に居ますよ」 「なんでそんなに自信持って言えるんだよ?」 『シカマル!!』 「生意気なお子様ですね…でもま、いいでしょう。教えてあげますよ」 『……』 「白狐は間違いなく子供です。殺し方に穢れがない…まるで楽しむかのように殺すんです。 それに攻撃方法は茶目っ気に富んでますし…大人になるとあんな無邪気な攻撃は出来ませんからね…」 「大人でも出来る人…一人だけいるけどね…死んじゃったけど(笑)」 「たかだかそんな理由で子供だと断定できるのかよ…」 「でもあなた方は白狐ではないでしょう?確かに白狐はここで消えたんです。 あなた方でないなら間違いなくこの子たちの中にいるんですよ」 「どこかに潜んでるのかもしれないでしょ!!」 「ホントに煩い先生方ですねぇ…殺しますよ?」 『クッ…』
--おい、カカシ!どういうことだ? --こんな話聞いてないわよ?それに朱寂も白狐も助けに来ないし…どうなってんのよ? --さぁ?まぁ、いざとなればここから抜け出して子供たち救出すればいいだけだし --そうは言ってもよぉ… --あぁもう…こんなこと協力するんじゃなかったわ!あの白狐が見れるって言うから協力したのに… --朱寂はともかく、白狐はきっと来てくれるよ。 --えらく自信満々だな… --だってあの子はこういうこと黙って見てられない子だから☆ --あの子?!x2 --あっ…Σ
その時、どこからともなくカカシ目掛けてクナイが飛んでくる。 ギリギリで避けなければ、顔面にサクッと突き刺さっていただろう…
--何も聞かない方が良さそうだな… --そうね…
「名乗らないみたいですね…それじゃぁ、しょうがありませんね」
ニッコリと微笑むと隊長らしき男は部下に指示をする。 すると部下の一人が下忍の中から一人の少年を引っ張り出す。
『シカマル!!』 「白狐は仲間をとても大事にするらしいですね…こいつを今ここで殺したらどうしますかね…」
--はぁ〜上手くできてんなぁ…シカマルシナリオ作りすぎだろ… --劇作家にでもなる気かしら? --にしても、やってくれるじゃない? --やっぱシカマルだねぇ〜 --で、どうするのよ?ナルト --自分で仕組んだなら大丈夫じゃねぇの? --それもそうね(だね)…
シカマルはイラついていた。 自分を仲間外れにし、精神的に散々苦しめた挙句…自分が捕まって殺されそうでも出てこないナルトに。 自分はナルトにとってその程度のものだったのかと… いくら自分で仕組んだとは言え、それは必ずナルトが助けてくれると信じているからやったこと。 今正に己の喉元を掻っ切ろうとするクナイの冷たさを感じながら、 シカマルは強い意思を持ってナルトを見詰める。 ナルトは無表情でシカマルを見詰め返す。 その冷たい視線に耐え切れず、シカマルは目を閉じて苦しそうに唇を噛んだ。
「どうやら出て来ないみたいだね…この子は彼にとってどうでもいい子なのかな?」
「……」
「もしかして仲間が大事っていうのはガセネタ?それにしても冷たいお友達だね〜 キミは要らないんだって」
「ウルサイ…」
「…?…」
「五月蝿いんだけど」
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