晴れ澄み渡る青い空。

その空の下、里人が愛して止まない三代目火影の葬儀が始まる。

たくさんの悲しみの涙が木ノ葉の土を濡らしていく。

その土の上に音もなく下り立った忍たちがいた。

いつもであれば目立つはずのその黒衣も、今日は自然と里に溶け込んでいる。

暗殺戦術特殊部隊…通称暗部を率いる五人の隊長、そして里の守護神である四神。

その先頭に立つ狐面に人々は目を奪われる。

この里に今は一人しか存在しない筈の色を持つ暗部の長、白狐である。

 

 

 

 

 

* 三代目 - SARUTOBI -

 

 

 

 

 

「暗部だ…」

「おい、あの面は…」

「四神か…?」

「四神って何だよ…」

「知らねぇのか?!噂の木ノ葉の守護神様だよ!」

「あの狐面が…暗部総隊長、白狐…」

「狐面の上に金髪なんて…どこまで里を馬鹿にしてるんだ…」

「おい、やめろ!あの方のお陰で木ノ葉はずっと守られてきたんだぞ!!」

「じゃあ、何故三代目は逝ってしまわれたんだ…」

「……」

 

葬儀中にも拘らず騒ぎを起こしてしまったことに白狐はチッと舌打ちする。

が、そのざわめきを呆気なく無視し、ナルトはゆっくりと三代目に近付く。

そしてナルトは三代目の異変に気付いた。

さっきまでは確かに完全になくなっていたチャクラが徐々に回復し始めていたのだ。

 

「オイ!」

 

ナルトは後ろを振り向かず、朱寂に手のみで合図する。

それを理解すると各部隊長を後ろに下がらせ手早く結界を張った。

 

「すみませんね」

 

そう言い残して三代目の棺と共に見えなくなった四神に騒ぎは一層激しくなるが、

そこはナルトに鍛えられた暗部の部隊長たち…騒ぎは一瞬にして静まった。

葬儀場にはただただ沈黙が流れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイ…起きやがれ狸じじい…(▼皿▼#)」

 

--ヤバいわね…薬切れかけてる…

--おい、源武なんとかならねぇのか?

--無理だよ〜このまま仮死状態にしてたら、ホントに死んじゃうよ?

--マズイな(わね)……

 

「起きろ…」

「……」

 

三代目はゆっくりと目を開け、ムクリと起き上がった。

 

「どういうつもりだ…」

「え〜と、これはじゃのう…」

 

助けを求めるように冷や汗を流しながら朱寂を見遣る。

 

「へぇ〜朱寂このこと知ってたのか…っつーことはお前らもだな?」

『アハハ…(-。−;)』

「どうりであんな焦って契約の巻物にサインさせようとしたわけだ…危うく五代目にさせられるとこだったぜ…」

『?!…とこだった…?』

「だけど、契約は成立したはずだ!!」

「甘いな…サインのところをよく見てみろ( ´ー`)フッ」

「…?………っ?!Σ(; ̄□ ̄)…クソッ、やられた…」

「え…ちょっと見せて……うわぁ…最悪…」

「あ゙…名前が<うずまきナルト>じゃなくて…<うずまさナルト>になってるし…」

「アンタちゃんと確認しなさいよ!!馬鹿シカ!!」

「何の為にこんなに努力したと思ってるのさ、馬鹿!」

「…すんません…」

「しかし…こんな下らん事でじいちゃんも死んだ事にしちゃってどうすんだよ…里もこんなにしちまって…

より人手不足じゃねぇか…」

「ああ、それは大丈夫だ。殺ったのはお前に危害を加えた人間だけだからな」

「は?!だけど…あの試験会場のは…」

「それは音に潜入中のカブトさんに協力してもらったの」

「…お前ら…マジでなにやってんだよ…ていうか火影どうすんだ、火影は!」

「だからナルトがなってくれるんでしょ?」

「誰がやるか…オレは火影になんぞなりたくねぇ……」

『ナルト…お願い…』

「お前ら一回死んどく?っつーかとりあえず、じいちゃんはもう一回棺桶に戻っといて(*´∇`*)」

 

ナルトは恨みをしっかり込めて三代目を眠らせ、続けて三人を沈めた。

面をきちっと被りなおし結界を解く。

同時に里人と暗部たちは大きく口を開けたまま固まった…

三代目の棺桶に寄り添うように倒れる三人の暗部、その中心に立つ長い金髪の総隊長。

 

「一体なにがあったんだ…」

「ちょっとね」

 

柔らかくそう言うと、白狐は倒れた三人を各隊長たちに担がせ、一瞬にしてその場から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森についてから気付いた朱寂たちに犯人の全貌を聞き、とりあえずその場に居た全員を倒したナルトは

首をコキッと鳴らし、腕をグルンと振り回すと足早に屋敷へ向かった。

屍八体を森の中に放置して…

 

「我愛羅!」

「なんだ?」

 

家に帰ると我愛羅は暢気に茶を啜っていた。

勢いを崩されたナルトはその場でヘタヘタと座り込む。

そのナルトを不思議に思った我愛羅が近付くと、ナルトはキッと睨み上げた。

 

「お前も知ってたのか?!」

「あぁ…いや、俺もさっき知ったばかりだ」

「その割には暢気じゃねーか!!」

「俺はお前と違って別に風影になりたくないわけではないからな…風影という立場を利用して

お前を呼び寄せる事ができるし、木ノ葉に訪問すればVIP待遇でお前に接客してもらえるのだろう?」

「…いいのかそんな目的で?!( ̄Д ̄;;)」

「いいんだよ、別に(=´▽`=)それに姉たちは俺の事を考えてしてくれた事だからな。

俺は甘んじて受ける事にしたさ…だからお前も火影になれよ」

「その様子だとそっちは失敗したようだな…」

 

さっきまで無言で我愛羅とオレの会話を聞いていたテマリがやっと会話に入ってきた。

 

「当たり前だ…ったく、みんなして下らない事考えやがって…オレは火影になんて絶対ならねぇ…」

「火影のお前と風影の我愛羅と並んでるところが見たかったんだがな〜残念だな」

「そうじゃん。なんだって火影にならなかったんだよ?その為に里の邪魔な奴ら排除したんだぞ!」

「排除…お前ら里の人手不足悪化させやがって…これから再建が大変じゃねぇか!」

「大変だからこそ、次の火影はすぐに必要だろう?そして火影になる為の器をお前は持っている。

里の為にもお前が火影になるべきだろ?」

「…じいちゃんが生きてるじゃねぇか…」

「三代目はもう葬式まで出して表向き死んだ人間じゃん…」

「…火影居なくても大丈夫だって…多分…」

「この里の長が死んだことは全ての里に伝わっている…このまま火影が決まらねば里はどうなるか…

同盟国の砂だけでは抑えられんかも知れんぞ?」

「……」

『諦めて火影になれ(なるじゃん)』

 

砂の三姉弟の猛攻によりナルトは陥落したかのように思えた…

クク…と突然不気味に笑い始めたナルトに我愛羅たちは僅かに後退った。

 

『ナルト?!』

「いた…一人だけ火影に相応しい器量と力を持つ奴がいた…(ΦωΦ)ふふふ……」

『……』

「オレちょっと旅に出てくるわ!シカマルたちに伝えといてくれ!!」

「あ…おい、ナルト!」

「逃げられたじゃん…」

「すまん、木ノ葉の者たちよ…」

 

ナルトはウキウキと飛び出して行った。