「なんかご丁寧に結界も張ってあるみたいだし、思う存分やれってことみたいだな…」 「そうだな」 「よし、行くぞ!」 「望むところだ!!」
忍法 口寄せの術!!
忍法 狸寝入りの術!!
「…最初から狸寝入りかよ…こいつ真面目に戦う気があるのか?!」
注意)狸寝入りの術発動の間、我愛羅の意識はありません。
弐 * 我愛羅3 - GARRA3 -
「久しぶりの娑婆の空気だぜ〜お!いきなり殺したい奴はっけ〜ん!!」 「守鶴ウザッ…なんか凱亜出すまでもねぇな…つっても凱亜家で寝てるけど…」 「ナルト…ワシはあれと戦わんといかんのか…?」 「頼むわ、ガマオヤビン。それに絶対負けるわけにはいかねぇんだ」
しっかりと前方を見据える強い瞳にガマ親分はニッコリと微笑んだ。
--親子揃ってイイ男じゃな〜(*´∇`*)
「ほんじゃ、いっちょきっちり仁義見せたらぁ!!行くでぇ、クソ狸!」 「とりあえずオレはあのやる気のないバカ我愛羅起こしてくるわ」 「おう!こっちは任せとけぇ!!」
ナルトは素早く守鶴の頭部に移動し、どきつい一発をお見舞いする… が、不眠症気味の我愛羅がその程度で起きる訳もなく、ナルトは諦めたように大仰に溜息を吐いた。 と、その時ナルトの立つ守鶴の頭部がグニャリと歪み、邪魔なナルトを引きずり込もうとする。 すかさず親分は自分の舌をナルトに巻き付けることで回避した。 その瞬間、さっきまで眠っていた筈の我愛羅の目がパッチリ開いた。
「……俺のナルトを舐めるんじゃねぇぇぇぇぇ!!」
我愛羅は物凄い勢いでガマ親分に突進して行った。 ガマ親分は慌ててナルトを舌で絡め取ったまま後方に飛び跳ねる。 ドシーーーーン、という音と共に大地が凹み、その所為で親分の後方に小山が出来たがそれは気にすまい。 我愛羅はナルトまっしぐらでガマ親分の舌と格闘していた。 こうして巨大な生き物によるナルト争奪超低レベル大戦がここに勃発した。 遠くからその戦いを眺めているサクラ、サスケ、パックンはスゴイと感じながらも、何故か納得しきれないでいた…
三代目の方では既に戦いは決し、歴代火影たちの世間話に花が咲いていた。 大蛇丸とその部下たちははカブトが連れ帰って行った。 結界の中で、更に初代の木遁により中を見えなくした為、火影たちは暢気に茶を啜りながら談笑する。 そこに気配もなく現れた三人の暗部に初代と二代目は慌てて隠れようとする。 それを止めながら、三代目はフゥと小さく息を吐く。
「この者たちは里の守護神、四神と呼ばれる者たちです。害はありません」 「そうか…いや、いとも簡単にこの結界内に入るとは…天晴れじゃ…」 「いや全く…焦ったわい」 「そちらも首尾万端のようですね」 「ナルトは派手にやっておるようじゃな…里が変形してなければよいが…」 「一応結界は砂の忍たちに張ってもらってますから、森の景観が多少変わるくらいだと…」 「だといいがのぉ…」 「三代目…そろそろお時間です」 「そろそろか……もうすぐこの木ノ葉ともさらばじゃな…」 「別に変化して入ればいいじゃないですか〜」 「そう簡単に言うが、青瀧よ…変化をしていては親しい友たちに気軽に話ができぬではないか…」 「まあ、少なくとも風影様っていう仲間が居るんだし…どうとでもなるわよ」 「そうかのぅ…」 「さ…そろそろ始めないとね。ナルトたちの戦いも終わっちゃう〜」 「うぅ…さらば里の民たちよ…( ┰_┰) お前たち、初代と二代目を頼んだぞ」 『は〜い(*´∇`*)』 「それじゃ三代目、この丸薬を飲んでね。三代目の大好きな大福の味にしといたからねw」 「ありがとう…」
ゆっくりと三代目は丸薬を口に含み、大好きな大福の味を暫し味わいながらゴクリと呑み込んだ。 そしてスーッと後方に倒れる三代目を朱寂がサッと支える。
「青瀧、源武」 『OK』 「初代様、二代目様」 「うむ、わかっておるよ」 「里を頼んだぞ、お主たち。四代目の息子に会えんかったのは残念だが、宜しく伝えておいてくれ」 「はい」
青瀧、源武は同時に素早く印を組み術を発動する。
『封呪回帰!』
スッと初代たちが消えるのを確認し、結界を解く。 一斉に外からただただ見守っているだけだった忍たちが横たわる三代目を取り囲んだ。
『三代目!!』 「三代目は大蛇丸との死闘の末、御崩御なされた…」 『そんな…』
里はかつてないほどの悲しみに包まれていった。 その中でニヤリと笑うものたちが数人… その中の一人である朱寂はナルトたちの元へ足を向けた。
「なんか…里が騒がしいな」 「そうだな…何かあったのか?」
急に騒がしくなった里の雰囲気にナルトと我愛羅は不思議そうに呟いた。 そこに二人の忍が現れる。
『我愛羅!』 「テマリ…カンクロウ…一体どうした?!」 「風影様が…父上が死んだ…あの風影は大蛇丸というこの里の抜け忍だったらしい…」 「なんだと?!」 「しかも木ノ葉崩しは失敗だ…」 「……クソッ…」 「ナルトお前にも訃報だ」
しゃがみ込む我愛羅を慰める様にしていたナルトは徐に顔を上げる。 そこには悲痛な面持ちのシカマル、いの、チョウジが立っていた。
「なんだよ…」 「三代目が大蛇丸との戦いで死んだ…」 「なっ…なんでお前たちが居たのに…」 『ごめん…』 「マジかよ…オレ、こんなことしてる場合じゃなかった…なんでオレに知らせなかった!!」 「……」 「クソ…クソォ…」 「三代目は最期にナルトに火影になって欲しいと言い残して…うぅ…」 「これをお前にと…」 「これは…」
ナルトはその文書を見て唖然とする。 それはナルトが名前と拇印だけ押せば、一発で火影になれる契約の巻物だった。
「三代目の意思を継いでくれ、ナルト」 「ナルト…三代目の遺言を守ってあげて?」 「三代目の無念をナルトが火影になって晴らしてあげてよ」 「…なにもこんな時じゃなくても…」 『今じゃなければならないんだ(の)!』
この時ナルトは全てが見えた気がした… 三代目が死んだのは事実だろう…実際この里のどこからも三代目の気配を感じない。 しかも里全体が悲しみに包まれるような雰囲気…これは慰霊祭の時と似た感じだ… で、こいつらはそれに乗じて自分を五代目にしようとしているだけだと。 ナルトは嘆息すると巻物を受け取りサラサラとサインし、拇印を押す。 それを隠そうとはしているものの、喜びが顔に出てしまっているシカマルに手渡す。 シカマルは嬉々として印を組んだ。
「契約成立。今日からお前が五代目火影だ」 「待て…」 「Σ('◇';) なんだ?」 「三代目の葬儀が終わってからでもいいか?」 「ああ、構わない。いろいろと里の方も準備があるしな」 「そうか…」 「とうとうお前が火影か…」 「我愛羅…」 「あら我愛羅、砂にも新しい風影が必要よ?勿論アナタがなってくれるんでしょ??」 「え…俺が風影?!」 「以前から父上は自分が死んだら次の風影は我愛羅だって言ってたじゃん」 「さあ、我愛羅」 「何で…契約の巻物が…」 「いつだったか、自分が死んだときの為に持っておけって渡されてたのよ…まさか本当に使うことになるとはね…」 「テマリ…」 「我愛羅…お前もサインするじゃん?」 「カンクロウ…わかったよ」
我愛羅は何の躊躇いもなくサラサラとサインし、拇印を押した。 ここに二人の里長が誕生した…かもしれない。
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