「もっと現実を見ろ!火影になる者はそういう運命で産まれてくる。 なろうとしてなれるものではなく、運命でそう決められているんだ」
運命…そんな言葉で片付けられるのは無性に腹が立つ。 火影になるのが運命で決められているというなら、それは正に自分の事だ。 四代目火影の息子にして、木ノ葉最強の忍。 声を大にして叫びたいのを押さえ、ナルトは小さく呟く。
「ホントは火影になんかなりたくねぇんだよ!」 『お前は一体何を…』
不運にもその場に居た二人、ネジとゲンマには聞こえてしまったらしい…ナルトの心からの叫びが…
壱 * 計画 - PROJECT -
「あ〜マジぃな…ナルトの奴、負けず嫌いだからな〜めんどくせぇ…」 「しかもああいう甘ったれた奴嫌いだしねぇ…」 「点穴ついちゃったのがネジの運の尽きね…」
ナルトは今九尾のチャクラを大量に搾り出している。 そのチャクラは次第に具現化し、今にもネジを襲おうとしている… 四代目が残してくれた便利な封印式のお陰で、点穴などナルトには元々関係のないものだった。 もう戦える筈がないと思って侮っていたナルトから溢れ出すチャクラにネジは怯えた。
「何なんだ…お前は?!」 「オレ、アンタみたいな奴一番嫌いなんだよね…一回死んどく?(*´∇`*)」
自分に向けて流れてくる冷気にネジはビクッと肩を揺らし、後ずさった。
「大体さぁ、運命運命五月蝿いよアンタ。そんなに運命に任せて生きていきたいなら勝手にすれば? オレは運命だと決め付けて何もしない奴嫌いな訳、分かる?」 「お前は…なんだその喋り方は…」 「だー、なんかめんどくさくなってきた…もうやめだ…」 「な…?!」
勝敗は呆気なく決まる…勿論うずまきナルトの勝利で。
「ネジも馬鹿だよね〜何も知らないとはいえ、ナルトを怒らせるなんてさ…」 「しょうがないだろ、マジで何も知らねぇんだから。知ってたらあんな恐ろしい事絶対言えねぇ…」 『確かに…』 「それにしても…」 「続々やられてってるわね…」 「ねえ、ホントに大丈夫?バレたら絶対ナルトに殺されるよ??」 「参謀の俺が立てた計画だぜ?そうそうバレて堪るかよ」 「だといいけど…いくらナルトを火影にする為とは言え、大蛇丸の奴やりすぎじゃない?」 「カブトさんが旨くやってくれるわよ…伊達に潜入してる訳じゃないんだし」 「それにやられてってるのは暗部に見せかけて配置しといた、ナルトに危害加えた忍たちだからいいだろ」 「それはそうだね…九尾のチャクラ使ってるのを見て飛び出そうとした奴らも全部殺ってくれたみたいだし」 「それよりアイツらとの話し合いどうなってんだ、いの」 「問題ないわ。どうやらあっちも同じ様なことを考えてたみたいだから。 それにしてもテマリさん結構やるわね…策略だけならアンタとタメ張れるわよ」 「おもしろくなってきたな…」 「うん、このまま上手くいけば二つの里の政権が一気に交代することになるんだからね〜」 「あんまりデカイ声で言うんじゃねぇ、チョウジ…ナルトが来る」 「あ、ホントだ…」 「んじゃ、俺は次の試合でテマリさんと最終打ち合わせしてくるからな。お前らも計画通り頼むぜ」 『了解』 「それじゃ、また後でね〜」 「おう」
自分が来ると同時にシカマルの側から離れたいのとチョウジに目を細めながら、ナルトはシカマルの隣に立った。
「あいつらなんで行っちゃうんだよ?せっかく勝ったの褒めてもらおうと思ったのに〜」 「俺が褒めてやるから我慢しろ。ったく…九尾の力使えますってとこ見せちゃって良かったのか?」 「いいんじゃねぇの、別に」 「てめぇは何でそう暢気なんだ。心配してるこっちの身にもなりやがれ!めんどくせぇ」 「悪ぃ悪ぃ(適当)それよりもさぁ〜なんか至る所で暗部の格好した上忍とかが殺られてんだけどさあ〜 何でお前ら動かないんだよ?これ以上里の忍減ったらマズイだろ…オレら仕事増えるし…」 「このまま泳がして一気に殲滅しようと思ってな…そういうお前はなんで動かねぇんだ」 「いや、オレこの後我愛羅と約束あるし…無駄なチャクラ使いたくねぇもん」 「ったく…ま、この事は参謀の俺に任せろ」
すんなり理由を紡ぎだした自分の頭脳に、シカマルは激しく感謝した。 ここでバレる訳にはいかないのだ…何故ならこれは里を変える巨大プロジェクトなのだから… そしてそのプロジェクトのメインとなるナルトには絶対に知られる訳にはいかない。 ナルトの周囲には厳重な情報統制を行ってある。 しかしカブトさんと砂の忍が打ち合わせを行っているところを目撃してしまった月光ハヤテ という特別上忍の口封じに失敗した為、大蛇丸の木ノ葉崩しについてはバレてしまったが… 月光ハヤテは誤算だった…お姉さんを侍らせて酒を注いでも、賄賂を渡しても頑なに拒否し、 その上攻撃してくるとは… 木ノ葉上層部にバレる訳にはいかない計画だったので、仕方なく切ってしまった…と砂の先生は嘆いていた。 なので、優秀な忍を失わずに済んだ事は良かった。 しかもハヤテは微妙に誤解して、砂と音による木ノ葉崩しだと思ってくれたようで、 ナルトに計画が漏れることもなかった。 そして刻一刻とプロジェクト完成の時が近付いていく… 次は両里の誇る参謀同士の決戦…もとい打ち合わせだ。
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