里は今、数人の忍で支えられているといっても過言ではない。 度重なる人手不足で増えたのはその場凌ぎの質の悪い忍ばかり。 質の悪い忍は当然死亡率も高くなり、人手不足を更に悪化させる原因となった。 人手不足は年を経るごとに深刻化し、育成も追いつかず、火影を悩ませる最大の問題となった。
閑 * 裏木葉 - URA KONOHA -
「今回は人手不足解消計画その一、暗部の再組織化を図ります」 「組織化…しかし暗部にはすでに隊長、副隊長、総隊長などきちんと組織化されておる」 「じいちゃん、ただ隊を分ければいいってもんじゃないんだよ?なぁシカマル」 「三代目、暗部は確かに幾つかの隊に分かれ、組織化している様に見えます。しかし実際は 個々の得意分野が生かしきれず、更に暗部ならではの上司や同僚の素性が不明な為にい まいち信頼関係に薄く、自分の事は自分でという様な個人プレイに走りがちなのが実情です」 「今回の再組織化はそれぞれの隊に属性を持たせて、各々の得意分野を生かすことで 役割分担がスムーズに出来るようになるし、任務の効率も上がる」 「ウム…しかしそれでは信頼関係は変わらぬでないか」 「信頼関係に関しては、同部隊内でのみ素性を明かす事を許可します」 「なんじゃと?!それはならん!!」 「確かに暗部にとって素性を晒す事は死に等しい行為です。しかし暗部であるからこそ、 それが逆にプラスに働くのです」 「どういうことじゃ…」 「つまり、お互いの素性を知る事で、言い方は悪いけど相手の弱みを握ることになるだろ? それによって、更なる結束と離反防止に繋がるわけ。お互いを知ることから信頼は始まるって、 昔じいちゃん言ってたじゃん」 「じゃが、同部隊内のみでは他の隊との関係はどうなるのじゃ。隊内のみの結束では意味を成すまい」 「それに関しても同じように解決するつもりです」 「つまり各隊長同士も素性を見せ合うと言うことか?」 「うん☆各隊長の間にも信頼関係があれば、二重の信頼によって任務の安全な実行が可能になるからさ〜 それに他にもいろいろ手は考えてあるから安心してよ(*´∇`*)」 「…いまいち不安じゃ…」 「まぁ、もしその関係を破ろうとすれば、調査後隊長或いは俺たち自らで抹消しますw」 「…お前たち…不安すぎるわ…くれぐれも無茶はするでないぞ」 「大丈夫大丈夫、これ以上人手減らすようなことはしねぇよ☆」 「…うむ…」 「オレに任せとけば大丈夫だって☆」 「とりあえず暗部に死の森に集まる様に伝令よろしくお願いします」 「わかった…」
「一体なんだというんだ…」 「火影様の命だ、仕方あるまい」 「おいっ、あれ…」 「ご丁寧に入口って書いてあるが…」 「あそこから入れって意味らしいな…行くか?」 「罠でも何でも行くしかあるまい」 「「……( ̄Д ̄;; ……………うっっぎゃあああああああああ!!」」
ナルトは考えた。 新しい忍の育成も大事だが、既に忍である者を訓練する方が手っ取り早い。 手始めとして、暗部の選定、強化、そして今まで個人プレイが基本であった暗部の組織化。 暗部強化によって、Sランク/Aランクの回転率が上がり、組織化により、死亡率が減少する、と。 暗部を死の森に召集したのは選定試験の為である。 森に仕掛けられた数々のトラップをくぐり抜けた者が合格である。
「思ったより多かったなぁ〜おっ、遅かったじゃねぇかお前ら」 「白狐…あれはちょっとやりすぎだと…死ぬかと思った…ゼイゼイ」 「なんであたしたちがこんな目に…ハァハァ」 「酷いよ、白狐…ゲホッ」 「そうかぁ?ま、楽しかったからいいじゃん♪」 『…(嘆息)…』 「これで全員っぽいから始めるか…おい…総隊長たちはどうした?」 「居ない様だな…」 「ったく、総隊長からしてこれじゃぁなぁ…(-。−;)」
合格者は五人。全員肩を大きく上下させ、息も絶え絶えである。 至る所傷だらけ、服もボロボロ…誰が見てもこれが暗部なんてわからないはずだ。 四神である朱寂たちですら似たようなものなのだから…
「諸君、合格おめでとう」 『??』 「何の事だ…ハァハァ」 「それよりあんたたちは誰なんだ?火影様は…ゼィゼィ」 「オレの名は白狐、んでこのボロボロがオレの僕たちだ」 『僕?!Σ(; ̄□ ̄)僕だったのか…』 「…冗談だ(笑)こいつらは、右から紅い珠が朱寂、藍い珠が青瀧、翠の珠が源武だ」 「まさか…(゜ロ゜)あんたら四神か…」 「そうだ。そしてこれは暗部選抜の為の試験だった。これから合格した者にはオレと三日間訓練に行ってもらう」 「…三日間の訓練?ふざけるな、オレ達は暗部だぞ…」 「この程度のトラップでそこまでボロボロの癖に偉そうな事を言うな!」 『いやいや、白狐さん…あの程度もこの程度も、あれは普通に死にますって』 「…そぅ?まぁ、気にすんな。三日後にはあんなのへっぽこぴーだ」
--たった三日でへっぽこぴー?!逃げなきゃ!!
「ちなみお前らに拒否権なし。火影命令ね」 「…あっ、でも任務が!」 「心配ない。全部朱寂たちがやるから、なっ」 『っえ?!Σ(; ̄□ ̄)』 「やるよな(*´∇`*)」 「…ハイ…やらせて頂きます…」
朱寂たちは暗部たちの同情の目を受けながら泣く泣く任務へと向かった。
「さて、それでは修行を開始するか」 「っえ?!Σ(; ̄□ ̄) …この状態ででありますか?!」 「う〜ん…とりあえず付いてきて」
白狐が素早く印を組むと、自分たちが居た場所にそれまで無かった、正確には見えてなかった建物が現れた。 白狐はその建物の中を入口から真っ直ぐに突き進んでいく。 突き当たりで徐に壁に手を当て白狐が何かを呟くと、壁に古びた扉が現れた。 暗部の間から、溜息の様な感嘆の息が漏れる。 その古びた扉を開けて入っていく白狐に恐る恐るついて入る。 そこには大きな街が広がっていた…
「これは…」 「里に似ているようだが違う」 「空間忍術の一つだよ。修行の為にオレが作った」 『…』 「それとここの時間軸だが、今回は表の世界の一日をこっちでは一週間にしようと思う。 さすがにたった三日では無理だからな」 「しようと思う?」 「あぁ…ここの時間軸は自由に替えることが出来るからな〜(*´∇`*) っつーことで、三週間頑張ろうな☆」 「…はい…( ┰_┰) シクシク」 「とりあえず一日だけ休憩をやるからその間に街中を把握し、住処を決定しろ。基本的には里のコピーだ。 それと扉は無闇に開けない方がいいぞ。 場合によってはどっかの異空間に飛ばされるかもしれないからな〜 とりあえず 今はまだオレが許可した時以外は開けるな。開けたらどうなるか…(ニヤリ)」 「。。゛(ノ><)ゝ ヒィィィ」 「従って、住む場所を決めたら俺に連絡しろ」 『わっわかりました…(恐)』
こうして白狐を除く四神と五人の暗部たちにとって地獄の三日間が始まった。
|