ナルトが二度目の卒業試験に落ちた頃、巷では一つの噂が流れていた。

 

-- 以前わずか三日でビンゴブックに掲載された任務成功率100%の暗部−白狐が暗部内に

新組織を結成したらしい。何でも全ての分野に精通したエキスパート揃いで、普通の暗部でも

無理だと判断された任務を一挙に引き受けるエリート集団らしい--

 

任務は必ずと言って一人で行う白狐に唯一行動を共にする事を許された者たち。

以前自分は合同任務を申し出たが、お主の為じゃ、と訳のわからない理由で拒否された。

カカシはチッ、と悔しげに舌打ちをする。

 

 

 

 

* 四神 - SHISHIN -

 

 

 

 

あの日以来、調査は全くと言って進展していない。

里で一二を争うエリート暗部である自分にならわからない事などない自負していたカカシだが、

余りに徹底された情報操作に手も足も出なかった。

何故そこまで隠す必要があるのかカカシには理解が出来なかった。

確かに暗部である以上、そう簡単に自分の素性を晒す事は出来ない。

しかし、それはあくまで任務効率の為であり、いくら敵を騙す為にはまず味方からとは言えど、

同じ暗部同士ですらここまで隠す事はない筈だ。

よっぽど知られてはならない何かがあるとしか考えられない。

それは一体何なのか…カカシは自分の持ち得る情報を整理してみた。

 

--奴について唯一わかる事…それは奴の容姿だ。

--奴は金髪の青年で、右耳に目立つ金色の珠が揺れ、そして里の禁忌である狐の…面。

--そして新組織結成間もなく表に出てきた奴の名前は何だ…?

 

そこまで考えてカカシは息を呑んだ。

 

「まさかな…ありえない」

 

カカシが思い当たった事実。

もし正しいとすれば、その人物はまだ若干十一歳の子供なのだ。

そんなわけはないと思いつつもカカシの足はアカデミーへ向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと一緒のクラスになれた〜☆」

「…お前…まさかその為に二度も試験落ちたのかよ…めんどくせぇ」

「そうだけど?(*´∇`*)だってみんな一緒がいいだろ?」

「みんな一緒じゃな〜い!!!!(`へ´)プンスカ」

『いっいの…』

「あたしもナルトと一緒のクラスがい〜い〜(>_<)」

「んなこと言ったって、お前は女なんだからしょうがねぇだろ?」

「そうそう、諦めなって…モグモグ」

「うえぇぇぇぇん…ナルトォ、どうにかして〜」

「そんなこと言われても困るってば」

「え?どうしてバカナルトの口調で…」

「バカナルトって…(バカいの!めんどくせぇが、よく気配探ってみろ!!)」

「バカナルトはバカナルトでしょ(バカとは何よ…!?)」

「バカって…いの酷いってばよぉ!(カカシだな…)」

「ごめんごめん、言い過ぎたわよ…(カカシ?カカシってあの写輪眼の?)」

「それよりなんかして遊ぼうよぉ〜(何してるんだろ…)」

「おお!ナイスアイディアだってば☆(オレの事探ってるって昔じいちゃんが言ってた気が…)」

「じゃぁ、囲碁でも…(まさかバレたんじゃねぇだろうな?)」

「趣味悪いってば…シカマル(オレがそんなヘマすると思うか?)」

「たまには頭使え、頭!(思わんが、だったら何故奴はこっちをじっと見てやがるんだ…)」

『やだ(さぁ…)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカデミーに辿り付いたカカシはすぐに目的の子供を発見する事が出来た。

目立つ金色の髪、太陽の様な笑顔、そして高めの良く通る声。

予想した通りの、いや寧ろ予想外だった。

その子供が腹に飼う化け物の所為で里人からどんな仕打ちを受けているのか知っている。

果たしてその子供がこれ程明るく真っ直ぐに育つものだろうか?

寧ろ里人に復讐する為に力を付け、自分の様に冷めた人間になるのではないか…

だがそれはすぐに答えが出た。

 

「おいナルト〜お前また試験落ちたんだってな」

『やい、落ち零れ〜落ち零れ〜』

『やめろよ(やめなさいよ)!!』

「なんだよお前ら…こいつに味方するのか?!」

『俺たち(僕たち)(あたしたち)はいつだってナルトの味方よ!』

「忍法、影真似の術!」

「うっぎゃぁぁ、なんだこれ…体が勝手に…おっおい逃げるぞ…」

『うわぁぁぁぁぁ』

「フンッ…もう二度とやるんじゃねぇぞ、めんどくせぇ」

「みんなありがとうってば(*´∇`*)」

 

子供は満面の笑みで友人たちに礼を述べた。

 

--ふ〜ん、そういうことね。自分の味方で居てくれる友達が居るから笑っていられるのね。

--こんな子があの暗部なわけないか…

 

カカシは妙に納得してしまった。

 

--にしても…・・・・・・・・・・・・

 

「…可愛いな…(鼻ぢ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、シカマル〜オレってばなんか異様な気配を感じるんだけど…」

「……これは…おい、いの!チョウジ!」

『うん…』

「なんだってば?」

『ナルトは気にしなくていい(いいんだよ)(いいのよ)』

 

--はたけカカシ…強敵出現の予感……そのうち暗殺!!

 

「??まいっかぁ〜んで何して遊ぶってば?」

「じゃぁ、鬼ごっこ〜あたしがナルトを捕まえる役〜♪」

「役…鬼ごっこってそんなのないってば…」

「じゃぁ、鬼三人対ナルトっていうのはどうだ?」

「ナルト捕まえた人が一回ナルト独り占めできるんだね」

『のった』

「…わけわかんねぇよ」

「ナルト逃げないと捕まえちゃうぞ〜」

「フンッ、捕まえられるもんなら捕まえてみな」

『へ?!』

 

恐ろしい事を考えながら子供たちは無邪気に遊んでいる。

そう無邪気に…

 

ちゅど〜ん!!

 

「ゼイゼイ・・・卑怯だぞ!こんな所で禁術ぶっ放すんじゃねぇよ…」

 

--くそぉ…カカシの奴いつの間に居なくなりやがったんだ…

 

「大丈夫だって、結界張ってあるし☆」

「そういう問題じゃないわよ…ハァハァ…」

 

--カカシが居るから安全に鬼ごっこできると思ったのに…

 

「死ぬかと思った・・・」

 

--鬼ごっこ…ナルトと焼肉が…

 

「お前らが言い出したんだからな〜せいぜい頑張ってオレを捕まえるんだな( ̄ー ̄)」

 

--くそぉ!全部カカシの所為だ…覚えてやがれ(覚えてなさいよ)(覚えててよね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、カカシは三代目に頼み込み=脅し、暗部の任務と両立する事を条件に下忍の担当上忍に

なる事になった。

理由は簡単…下忍になったナルトの担当上忍になる為。

それ故、カカシ班ではナルトがアカデミーを卒業するまで合格者は一人も出る事はなかった。

そしてナルト卒業と同時に再び三代目に頼み込み=脅し(しつこい!)ナルトの担当上忍にしてもらうの

はまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ*勝手に次号予告

 

ナルトの担当上忍を勝ち取ったカカシは受け取ったナルトの成績に愕然とする…。

しかし!その時カカシは!!

 

「ま…バカな子程可愛いっていうしvv」

 

ナルトまっしぐら。

どこまでヘタレるカカシ?!乞うご期待!!