「あぁ〜気持ちいい(*´∇`*)っていうか、何でこんなところに温泉が…しかも露天風呂?」

「それはな…」

 

禁忌の森…そこは何でもありのパラレルワールド。

此処に存在している物を全て把握しているのは持ち主であるナルトと諜報の名手であるいのぐらいだろう…

そんな森の中で唯一暗部の誰もが知る場所…それがこの巨大な露天風呂である…

ナルトの住む巨大な屋敷のすぐ隣にこの露天風呂は存在する。

裏木葉に通じる道が屋敷内に存在している為、裏木葉に行くついでに入浴していく者も少なくない。

その暗部たちの間で囁かれる噂がある…この露天風呂がどうやって作られたのか…

 

 

 

 

 

* 露天風呂 - OPENAIR BATH -

 

 

 

 

 

 

「露天風呂っていいよなぁ〜欲しいな〜」

「はぁ?!」

「温泉出ねぇかなぁ…なぁシカちゃ〜ん」

「…Σ(冷汗)」

 

そそくさと逃げようとする俺の首根子を引っつかみ悪魔は囁いた。

 

「ねぇ、温泉掘って(*´∇`*)」

「え゛…やっぱり?( ̄Д ̄;;)」

 

ナルトは以前三代目に連れられて行った砂の露天風呂が大層お気に入りらしい。

しかし連日の任務で行ける訳もなく、こういう結論に至った訳だ。

ちなみに自来也様ともいろいろな温泉に行った事があるが、まともに風呂に入れた例がないので、

どうも印象が薄いそうだ。

そんなこんなで俺は今温泉を探している。

元々火山が多い木ノ葉において、禁忌の森は正に出そうな場所。

俺がIQ200をフル稼働して計算して出した結論…家の真下にありそうなことが判明。

 

「しかし…家の真下なんてどうしたらいいんだ…」

「ここの下にあるのか?」

「多分な。でも家があるからなぁ〜」

 

屋敷の前で頭を抱えていた俺の前に気配無くナルトが降り立つ。

俺は驚く素振りも無く、ナルトを見上げた。

そんな俺を見てナルトは満足そうに微笑むと、屋敷に目を向ける。

 

「そんなの問題ねぇよ。ちょっと待ってろ」

 

そう言ってナルトは印を素早く組むと手を地面に当てた。

 

「土遁、地滑りの術!!」

「え゙…Σ(; ̄□ ̄)」

 

家が流れるように30メートル程移動して行った。

そして里の方から悲鳴やモノの壊れる音がした…周辺の木々が所々真っ二つになっている…

が、それは気にしないでおこう…俺も随分成長したものだ…

 

「もうなんでもありだな…( ̄Д ̄;;)」

「よし☆さぁ掘れヽ(=´▽`=)ノ」

「はいはい…」

 

俺は諦めてスコップで地道に掘った。

 

「ねぇまだぁ?」

「まだ」

「ま〜だ〜?」

「そんなすぐに掘れるわけねぇだろ」

「死ぬ気で掘れょっ!(*´∇`*)」

「掘ってるっつの」

「ねぇ〜土遁とか爆弾とか使ってやっちゃダメ〜?」

「ダメに決まってるだろ。高熱の湯が一気に噴出したら火傷どころの騒ぎじゃねぇぞ」

「む〜ヾ(*`Д´*)ノ"…オレ寝る!あと頼んだ〜」

「…へいへい」

 

俺は夜を徹して掘り進んだ。

これも修行だと言われてしまえば、俺に逆らう術はないのだ…

朝日が森を照らしていく。俺は明るくなった空を見上げ、額の汗を拭う。

と、屋敷の玄関からナルトが食事を持って出てきた。

 

「シカちゃん、ごはんだよ〜」

「おう」

 

ナルトと二人、朝の清々しい森の中で朝食をとり終えた俺は再び作業を再開する。

 

「結構掘ったな…まだ出ないのかぁ?」

「もうちょっとで出るはずなんだけどな…?!」

「あっ!出たぁぁ!!さすがシカ〜よくやったなぁ(o^∇^o)」

「やった…俺はやったぞ、ナルト!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうして朱寂副隊長が温泉を掘り当て、今の露天風呂が出来たらしいぜ」

「愛する総隊長の為に温泉を掘り当てるか…ここはつまり愛の温泉だな!」

『愛の温泉かぁ〜』

 

ぽかぁ〜んと酔いしれる暗部たちの中で一人激しく首を左右に振る男が居た。

なにを隠そうこの男は愛の温泉を掘り当てたとされる朱寂、その人であった。

実は露天風呂に入ろうとやって来たら自分の名前が聞こえたので慌てて変化したのだった。

しかし、その話の内容に朱寂は驚愕していた…

 

--違う!!Σ(; ̄□ ̄) なんだってそんな話になってるんだ?!この温泉は…

 

 

 

 

言うなれば、九尾温泉だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

三年前…

「なあ、シカちゃん」

「な…なんだよ…」

 

--ナルトが俺をちゃん付けで呼ぶときはろくな事じゃねぇ…に…逃げてぇ…( ┰_┰)

 

「凱亜を外に出そうと思うんだけど…なんか方法ない?」

「凱亜って…九尾?出す??…ここに?(滝汗)」

「そうだけど?あ〜大丈夫だって☆多分里壊さないと思うから〜」

「多分って…アンタ…」

「んで、なんか方法ない?(*´∇`*)」

 

--あぁ…その笑顔で言わないでくれ…///

 

「う〜ん…封印ちょっと弄って口寄せの原理で呼び出せばいいんじゃねぇか?」

「口寄せ…そっかぁ〜全然思いつかなかったぜ…っつーかどうやって契約すりゃいいんだ…」

「そういえばそうだな…」

「ああ、出せばいいんじゃん!」

「へ?!Σちょ…ちょっと待てーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

俺の制止も空しく、物っ凄い量のチャクラを込めてバババっと素早く組まれた印…

 

--俺死んだ…カモ…( ┰_┰)

 

「解!!」

 

もくもくと上がる煙の中から現れた巨大な生き物…

 

「でけぇ〜〜〜」

 

--でけぇ〜〜じゃねぇよ…(T-T)…ん?…え…

 

「あれ〜?地面が沈んでる…?」

 

地面が心なしか沈下している…しかもゆっくりとその沈下速度は加速している気がする…

次の瞬間…

 

 

 

ドオォォォォォォォォォン!!

 

 

 

巨大な音と共に地面がまあるく口を開け、湖の様なものが出現した。

ここで慌てたのは他でもない、丁度そこの上にいた生き物…九尾の狐−凱亜だった…。

 

「ナルトーーーーーーーー!!!助けてくれぇぇぇ〜〜〜..・ヾ(。><)シ」

 

助けを呼ぶも助けは来ず…壁に手を掛けようにも手は届かず…憐れ凱亜はそのまま湖に落ちて行った…

 

 

 

ボッチャーーン

 

 

 

「あ…落ちた…」

「落ちたな…」

 

俺たちはそーっと湖を覗き込む。

 

「凱亜〜生きてる〜?」

「なあナルト…これ湯気じゃねぇか?」

「湯気…だな…」

「九尾…茹で上がってたらどうする…?」

「…どうしよっか…」

「下に行ってみるか?」

「そうだな…」

 

恐る恐る下りた俺たちが見たもの…水面にプカプカ浮いている真っ赤に茹で上がった小さな狐…

 

「あ゙…ちっちゃくなっちゃった…」

「なっちゃったって…」

 

ナルトは茹で狐をそっと抱き上げると、素早く地上に戻った。

 

--ナルトもなんだかんだ言って九尾が心配なんだな…

 

そう思った俺が馬鹿だった…

ナルトは地上に戻るとすぐに巨大な巻物を取り出し、九尾の小さな手?の指を小さく傷つけた。

 

「ナルト?!」

「時間がないからな…封印長時間解除してると、オレ死んじゃうし〜(*´∇`*)」

 

指から溢れる血を九尾の手?に塗りたくり、ペッタリと判を押す。

そして契約者の欄に自分の名を記し、同じ様に自分の指を傷つけ、そこから溢れる血を塗って拇印を押す。

最後に契約の印を結び、九尾はナルトの腹の中に戻っていった。

 

「よし、完了!」

 

--九尾…なんか物凄い被害者だな…今までも苦労してるんだろうなぁ…

 

遠い目をしている俺を不思議に思いつつも、ナルトの瞳には大量の星がキラキラと光っていた。

 

「よ〜〜〜し、試しに呼び出してみよ☆」

 

 

ポフン

 

 

「大成功だぁヽ(=´▽`=)ノなぁシカマル〜見て見て〜〜」

「…」

 

そこに転がるのは茹で狐…紛れもなく口寄せは成功しているのだが、喜べないのは何故だろう…

 

「凱亜〜〜?凱亜ってば〜起きろ!」

 

スパコーン、と小気味いい音で殴られた凱亜はゆっくりと目を開ける。

 

「ナルト…またも主は助けてくれてたのか…」

「…そうだってば(*´∇`*)」

 

--違うだろ!!Σ(; ̄□ ̄)

 

「そうか…ありがとうナルト…」

 

--九尾さん…アンタ騙されてます!!しかも、ナルト…お前悪気もなくそんな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偶々封印を解かれて九尾が出現した場所の丁度真下に温泉が溜まった地下湖があり、

偶々その上に乗っかった九尾の重さで湖の上に辛うじて残っていた薄い地表が耐え切れなくなり崩壊…

そうしてこの温泉が発見され、ナルトが俺と凱亜を駆使して作り上げたのがこの露天風呂だ。

そして、この日以来凱亜は小さな狐の姿で俺たちと暮らすようになった。

俺と凱亜の間に強い友情の絆が結ばれたのは言うまでもない…