先生たちは漸くこちらに向かう二つの気配に気付いたようで、ゆっくりとナルトを囲むように警戒する。 二つというのは、シカマル自体は気配を完全に消しているので中忍程度では読めないからだ。
(ナルト、追い込み完了したぜ。あとはお前の腕の見せ所だ) (了解。サンキューシカマル) (どういたしまして。お前には卒業してもらわねぇと困るからな)
肆 * 海豚2 - IRUKA2 -
現れた二つの影−雨隠れの忍だ。 その一人は先程話題に上っていた<封印の書>を背負っている。
--しっかし、シカマルの奴よくこんなタイミング良く敵探し出してきたなぁ… --あぁ、そういえばこの前いのに何か調べさせてたっけ…ったく、いつからこれ計画してやがったんだ…
「お前たちが<封印の書>を盗んだ本当の犯人だな!」 「フン、だったらどうだっていうんだ。見たところお前ら中忍二人とただのガキ一人か… 雨隠れの上忍二人に勝てると思ってんのか?」 「クッ…イルカ先生!」
ミズキのアイコンタクトにイルカは頷き、ナルトを自分の後ろに追いやる。
「ナルト、お前は下がっていろ…」 「イルカ先生!(シカマル…これレベルに差がありすぎるぞ…)」
気付かれない様にシカマルに視線を向けると、シカマルはバツが悪そうに人差し指でこめかみを掻いていた。 そうしている内にも、ミズキとイルカの傷は増えていく。 これまでか、とイルカが思った時…ナルトはもう見てられない、といった面持ちでイルカたちの前に立ちはだかった。
「ナルト?!」 「ここで分身出来たら卒業させてくれるってば?(*´∇`*)」
この場に似合わないナルトの満面の笑みに驚きながらも、イルカたちは肯定する様に頷いた。
「交渉成立…つーことで、あんたたちもう用無しね」 『ナルト(君)?!』
ナルトはイルカたちには見えない速度で印を組む。
「多重影分身の術!!突っ込め…」 『ラジャ!!』
しかし影分身で突っ込むもののそれだけで倒れる程、敵は柔ではなかった。
「チッ…やっぱ影分身だけじゃダメか…ならば」
急に雰囲気の変わったナルトから繰り出される攻撃をイルカたちは口を開け固まったまま、ただじっと見つめている。 シカマルは木の枝の上で笑い転げていた。 そのシカマルに向けてイルカたちには見えない速さでクナイを投げる。 大人しくなったシカマルに満足すると、ナルトはイルカたちに向き直った。
「イルカ先生?」 「…ハッ!!ナルト…今のは」 「分身の術だってば。これで卒業出来るってば?」 「あ…あぁ…( ̄Д ̄;;)」 「良かった〜オレってばどうやって卒業しようか悩んでたんだよねぇ…先生たちのお陰だってば」 「ナルト…お前は一体…」 「ん〜その前に…朱寂!」
ナルトが名前を呼んだと同時に現れた暗部に再びイルカたちは驚く。
「これ始末して。あ、それとこの巻物じいちゃんとこに持ってっといて。今大慌てだろうから☆ なんてったって九尾の封印書だからねぇ…」 「わかった」
朱寂はイルカたちの方を一瞬気にするが、何もなかったかの様に目の前から煙の様に消えた。
「さてと〜んで、オレが何かだったっけ?」 「あぁ、その前に…お前は九尾の事を知っているのか」 「知ってるよ、小さい頃からね」 「そうなのか…」 「なんで先生が辛そうな顔するんだよ?」 「いや…」 「オレは九尾を悪いものだと思ってないから。あいつはオレの最初の友達だし」 「?!」 「まぁそれはいいとして、先生たちにお願いがあるんだけど?(*´∇`*)」 「なんだ?」 「なんだい?」 「まずミズキ先生、さっき燃やしちゃった敵の代わりに犯人として捕まって欲しいんだ」 「え゙…」 「大丈夫☆命の補償はするし、自由に出られるようにするから」 「どういうことなんだい?」 「ここ数年木ノ葉の里が人手不足なの知ってるよね?」 「あぁ…」 「んで、監獄の方も何かと不正は多いし、融通は利かないし、いろいろ問題があるわけ。 だからそのシステムの改革をして人手不足の改善をしようと思うんだけど、なにぶん中の情報が少なくて。 そんなホイホイ入れる場所でもないしさぁ…まぁ忍び込むのは楽勝だけど☆」 「それでオレが中に潜入し、調査して来いという事か…」 「話し早いね〜ミズキ先生☆所属は暗部一番隊−諜報部隊所属ってことで」 「暗部だって?!…さっきから何を言ってるんだナルト…」 「まぁまぁ、イルカ先生落ち着いてってば(*´∇`*)先生にもお願いがあるんだ」 「…これが落ち着いていられるか!説明をしろ説明を! さっきの攻撃といい、暗部と言い…一体何がどうなってるんだ…」 「これから話すから…まず自己紹介からかな… 今日付けで暗殺戦術特殊部隊統括総隊長に就任した白狐です。以後お見知りおきを(=´▽`=)」 『暗部総隊長…?!』 「ちなみにさっきのは総隊長補佐の朱寂。ついでにこれ里の超重要機密☆」 『…』 「てことで、勿論協力してくれるよね〜先生たち(*´∇`*)」
--悪魔だ…悪魔がいる…
イルカはふと浮かんだ疑問を恐る恐る口に出してみる。
「もし…もしもだ、拒絶したらどうなるんだ?」 「記憶消去か、死ぬかどっちがいい?」 『Σ(=∇=ノノヒィッッー!!謹んで協力させて頂きます!』 「(笑)…てことでイルカ先生にはオレの代わりにアカデミーの改革に協力してもらいたいんだ。 勿論実行内容はオレが指示するし、その為に必要な先生の力UPにも協力するからさ」 「改革…?」 「さっきも言ったけど、里は人手不足の余り、さっさと忍を育てようとしてダメ忍者ばかり増やしてるんだ。 教育の場を見直さないと、これからどんどん死亡率も上がるし、人手不足は悪化してしまう… オレはそれを阻止したい。里がダメになるのも嫌だけど、なにより何も出来ずに死んでいく忍たちが可哀相じゃんか」 「お前はその為に…里の為にアカデミーに通ってたのか…?」 「じいちゃんの大事な大事な宝物だからさ。守ってやりてぇじゃんヽ(=´▽`=)ノ」 「ナルト…わかった、協力させてもらうよ。俺も里を守りたい!それに少しでもお前の役に立てるなら…な(*^-^)」 「そういうことなら僕も協力しよう」 「イルカせんせ〜ミズキ先生もありがとうってば(*´∇`*)」 『…///』
ナルトは満面のなんとも可愛らしい微笑みを浮かべた。 ナルト本人はこれが最強の悩殺スマイルだということにまだ気付いていない…
報告を終えナルトの元へ帰ってきたシカマルは、一部始終を見てチッと激しく舌打ちした…
--どうにかあの笑い方をさせない方法ねぇかなぁ…このままじゃ敵が増える一方だぜ…
そう…ナルトファンは着々と増加の一途を辿っている…
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