「シカマル〜これどういう意味だってば?」

「あぁ、見せてみろよ。ったく、めんどくせぇ」

 

俺はナルトから受け取った巻物を見て目を見開いた。

それは俺でも解けるか判らない暗号の羅列。

なんでこうこいつはめんどくせぇモノばっか引っ張ってくるんだ、と半ば呆れながら尋ねる。

 

「ナルト…お前これどっから持ってきた」

「あぁこれ〜?じいちゃんとこからだけど?」

「ハァ…お前って奴は…」

「何だってばよ〜」

「これはお前じゃ無理だ、やめとけ」

「え〜なんでだってば?オレだってこんな暗号の練習問題くらいとけるってばよ!!

シカマル、オレがバカだからってバカにしてるだろ」

「あ゙?ちげぇよ!ていうか、お前これ練習問題だと思ってんのか?!」

「違うのか??」

 

バカも此処までくると…

泣きたくなるのを堪えながら、ナルトの目の前に巻物の表紙を突きつける。

 

「此処よく見てみろ、此処!『禁』って赤い文字見えるかぁ?」

「見えるってば。んでそれがどうしたんだってば?」

「ハァ(-。−;)…つまりだな、これは禁術書だ。オレたちが見ていいもんじゃねぇ。

まぁ、見てわかるもんでもないけどな…だぁ、めんどくせぇ」

「(冷汗)…オレ、じいちゃんところに返してくるわ」

「あーおい待てナルト」

「なんだってばよ?」

「それちょっと貸してくれねぇか?」

「はぁぁ?」

「ちょっと見てみたいなぁなんて…な。禁書なんて滅多に見れねぇだろ?」

「オレと同じくらい成績悪いシカマルが読めるわけねぇじゃんか」

「頼む!一生のお願い(--)」

「・・・わかったってば…一晩だけだってばよ?」

「サンキュー、恩に着るぜ」

 

そのときナルトが小さく笑った事に気付いた者は誰一人としていない。

 

 

 

* 鹿丸 - SHIKAMARU -

 

 

 

 

オレは授業が終わるとそわそわしながら帰宅し、そこらじゅうから巻物という巻物を取り出して、

暗号解読に専念した。

部屋に閉じこもって出てこないのはいつものことで邪魔は入らなかった。

IQ200の頭脳を駆使し、今までの経験と知識から徐々に暗号を解読していく。

 

 

 

 

解読してみて判った事が三つある。

一つ、これはナルトが言っていた通り暗号の練習問題であった事。

つまり禁書の<禁>という文字は大嘘だった…どおりで簡単に解読できた訳だ。

ご丁寧に問題までしっかり暗号を変えて記されていた為、解読には時間が掛かったが。

二つ、オレは何かに合格したらしい事。

最後に大きく合格と記されていた(勿論これも異なった暗号で)。

三つ、これが何より驚きだが、この作者は…

 

 

 

--うずまきナルト--

 

 

 

優秀な頭脳を働かせこの不測の事態に対応しようとするが結局は同じ結論に辿り着いてしまう。

誰かに書いてもらったのかとも思ったが、あいつの周りにそんな奴は居ない事をオレは知っている。

こうなれば本人に聞くのが一番早いと思い、そそくさと出掛ける準備をする。

出掛けてから気づいたが、現在深夜2時。

さすがにもう寝てるだろうと思ったが、ありがたい事にナルトの部屋には電気が灯っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな時間に来るなんて非常識だよなぁ…とノックするのを躊躇っていると、

内側から扉が開き、そこから不機嫌丸出しのナルトが顔を出した。

 

「遅い」

「はぃ?」

「今何時だと思ってるんだ」

「わりぃ…こんな夜遅くに来ちまって」

「違う!何であの程度の暗号でここまで時間が掛かるんだ!!」

「はぁ、すんません…ってなんで訳わかんない事で怒られた上に謝ってんだオレ?!

てか、あれマジでお前が書いたのかよ?つーか言葉遣いちげぇ。だぁも〜めんどくせぇ」

 

もう何を言っているのか判らなくなったオレを見てナルトは嘆息する。

 

「とりあえず、近所迷惑だ。入れよ」

 

部屋に入って更にオレは驚いた。

今まで何度か遊びに来た事のあるナルトの家だが、今日はなんだかいつもと違った。

普段物に対して興味を持つ事のないオレでも興味を持ちたくなるような物が所狭しと置いてある。

と言うより、至る所に散らかってる。

そして見たことのない扉が一つ。

 

「あんな扉あったっけ…」

「付いて来いよ」

 

ナルトに付いて扉の向こうに行くとそこには更に驚くべき光景が待っていた。