「ナルト…主に永遠の忠誠を誓う……」

 

 

* 凱亜 - GAIA -

 

 

一年前

自来也と旅に出てから一年。

オレは凱亜と出会った。否、ずっとオレの中に居たんだから出会ったっていうのも変だけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃナルト、わしはちと周辺調査に出掛けて来るからの」

「どうせ呑み屋かヤラシイところだろぉ…」

「う…(冷)とにかく行って来るから戸締りきちんとして、先に寝ておけ」

「りょ〜かい」

 

エロ仙人が宿から遠ざかったところを見計らってオレは外へ出た。

 

あっ、エロ仙人って言うのは自来也のこと。あのおっさん…どこに行っても覗きはするわ、女は口説くわ…

子供が居るってこと忘れてんじゃねぇかと時々思う。

ちなみにオレが一番最初に教わったのは覗きだ…まぁ、気配の消し方を教えるのが目的だったみたいだけど…

んでもって、『イチャイチャパラダイス』なる大人向けの本を書いてるらしい…

とことんエロ親父で、しかもガマ仙人だからエロ仙人ってわけ。

 

オレがやってきたのは町外れの森。

ああいう騒がしいのもいいけど、やっぱり森みたいな静かなところが一番いいよな。

こう自然の中に居ると、なんか落ち着くんだよなぁ…

木の枝に腰掛けて空を見上げる。

 

「綺麗な満月…ちょっと美味そう?(笑)……ふぁぁ…なんか眠くなってきたな」

 

--ナルト…

--?!誰だ…?

--ナルト

 

気付かないうちに眠っていたらしい…目を開けるとそこはさっきまで居た森ではなかった。

目の前には大きな鉄の柱が何本も連なっていた。

 

--なんだこれ…夢?

 

「やっと出会えたな、ナルト」

 

突然現れた白銀色の髪を首に巻きつけた青年の言葉にオレは眉を顰めた。

 

「オレを知っているのか?」

「勿論知っているとも。ナルトが産まれてから今までずっと…そしてこの日を、この満月の夜を待っていた」

「?!どういう…」

「満月の下でしか我は現れることが出来ない」

「へぇ…ついてねぇな

「…なぁ、ナルト?ここから出してはくれないだろうか」

「勝手に出ればいいだろ?何でオレに許可を取るんだ」

「それは…」

「まぁ、別にいいや。んでお前は此処から出て何するんだ?」

「それはまず主を喰らって身体を乗っ取り、にっくき木ノ葉を潰す!!」

 

--てか、どうやったら脱出できるんだろう…幻術かなぁこれ(無視)

 

オレは踵を返し、柱とは反対方向に向おうとした。

 

「まっ…待ってくれ!!」

「…」

「わかった主は喰わないから!!」

「んで、此処から出たら何するんだ」

「それはまず主の身体を乗っ取り、にっくき木ノ葉を…」

「お前…阿呆だろ?誰がそんなこと言う奴を出すかボケッ」

「…くそっこうなったら実力行使だ!!」

 

青年はみるみるうちに巨大な狐に変わり、オレを襲ってきた。

長い九本もある尻尾を揺らめかせ、そのうちの一本をオレに向かって振り回した…

が、見事柱に当たり、俺の方まで届かなかった。

 

--あぶねぇ…今の当たってたらヤバかったな…

 

第二撃!! 避けるまでもなく再び柱に当たりオレまで届かない。

 

--にしても、この柱強いなぁ…何で出来てるんだろう?

 

第三撃…第四撃…いい加減呆れてきた。

 

「お前やっぱり阿呆決定」

 

少し飽きてきたオレは、奴を最近覚えた術の実験台にする事にした。

中には禁術を呼ばれる部類のものもあるが、空間的に周辺の物を破壊する心配もなさそうなので、

遠慮なくぶっ放すと、狐は小さくなって動かなくなった。

近くまで見に行くと何とか息はある様で、小さく丸まって震えていた。

 

--こんなにやっても生きてるなんて、こいつ只者じゃないな…

 

いろいろ実験台として使えそうだ、と思って回復してやると、

 

「主を襲ったのに、助けてくれるとは…」

 

どうやら、改心したようだ。

そして狐は感動の涙を流しながら、何かを決意したようにナルトを真っ直ぐに見つめて言った。

 

「よし!我が力を主に貸してやろう!!」

「なんでそんな偉そうなんだょ…(ムカ)」

 

もう一つ試したい術があったので、やってみようと印を組もうとした時、狐が可笑しな事を言った。

 

「我を殺すと主も死ぬぞ!! (焦)」

 

話を聞いてやると、どうやらこいつは"九尾"と言って、五年前に木ノ葉の里を襲い、オレの父 - 四代目火影

によって産まれたばかりのオレの臍に封印されたらしい。

 

「やっと意味がわかった。だから自分の意思ではここから出れない訳だ…」

「…故に主の精神を喰らい、主の身体を乗っ取り、里に復讐しようと考えたのだ…すまぬ…」

「里にどんな恨みがあるかは知らないけど、里を襲うってんなら出してやるわけにもいかないよなぁ〜」

「もういいのだ。我は先にも言ったように主とともに生きようと思った」

「?」

「この力を復讐などに使うのではなく、主を守る為に使おうと思った。

主が我の所為で受けた仕打ちを我はずっと見てきた。我は主を守りたい」

「…(言えねぇ…実験台の為に生かそうとしたなんて言えねぇょ…( ̄Д ̄;;))」

「これからは我が力自由に使うといい」

「そっかぁ…あ…ありがと(冷汗)」

「ナルト…主に永遠の忠誠を誓う…」

 

 

 

 

 

 

 

 

"偶然”使えるようになった九尾のチャクラのおかげで、今まで使えなかった術も全て使えるようになった。

時々修行(という名の実験台)も付き合ってもらって、亜空間忍術とか聞いたことのない術まで知った。

自由に会話もできるようになったので、独りで居ても寂しくなくなったし☆

こうして理由はどうであれ、九尾 - 凱亜はオレの最初の友人?になり、最強のパートナーになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一年後

オレはその力のおかげで、暗部になった。

オレの任務成功率は100%、里一番なんて囁かれたりもする。

オレの大嫌いな暇もないし、お金は貯まるし、いっぱい褒められるし、なんかこれがシアワセっていうのかな?

とにかくオレは今、暗部の任務を思う存分満喫している(*´∇`*)