「オレ強くなる。じいちゃんにも凱亜にも、オレの父さんにも心配掛けない様に強くなりたい!!」
弐 * 自来也 - JIRAIYA -
「自来也、只今参上いたしました」 「うむ」 「して、何用でございますか。」 「うむ…お主を呼んだのは他でもない、四代目の遺産についてじゃ」 「四代目の遺産?」 「ついてきなさい」
自来也は三忍と称される優秀な忍であり、三代目火影はこの人物をナルトの師匠に選んだ。 九尾来襲の際、里に居らず、家族も居なかった。 それ故に里人の様にナルトを恨むことはないだろうと考えた。 それに何より、自来也はナルトの父 - 四代目火影 - 注連縄の師匠なのだ。
「ナルト、入るぞ」
扉を開けると真白な部屋の中央に丸まる様にして金色は眠っていた。 見覚えのある金色に自来也は目を見開く。
「この子供は…」 「そうじゃ、四代目の息子じゃよ」 「では、この子供に九尾が…」 「そうじゃ。その九尾が先日この子を守るために目覚めてしまってな」 「…」 「…1週間前、里の者供がナルトを死の森へ連れ出し殺そうとした」 「急に立ち入り禁止になったのはその為ですか…」 「ナルトを守ろうと九尾も必死じゃったんじゃろう…見事に周辺一体は火の海、里人は灰と化しておったよ」 「この子は無事だったのですか?見る限り無傷のようですが」 「いや、発見した時には、里人の暴行による複雑骨折及び内臓破裂で瀕死の状態じゃった。 恐ろしきは九尾の回復力じゃ。そのおかげでナルトは助かった」 「して、ワシを呼ばれたのとどう関係しているのです?ワシに子供を殺せというわけでもあるまい」 「そう言ったらお主は殺せるか」 「くだらんことを…ワシは殺せと言われてもこんな幼子を殺す理由がない。ましてや弟子の息子だ。」 「そう言うと思ったよ。じゃからお主に頼もうと思ったのじゃ」 「??」 「これからナルトを里の外へ連れ出し、修行をつけてやってくれ」 「師匠になれと?」 「頼む自来也。これはナルトの望みでもあるんじゃ。 九尾や、四代目や儂に心配掛けない様に強くなるんだと言いおってな…」
そう言って、三代目は顔を綻ばせる。 その顔に自来也も決心した様に頷いた。
それから二年後 -- ナルト 5歳 「じいちゃん、オレを暗部に入隊させて欲しい」 「?!」
自来也と旅に出て二年。 ナルトは帰ってくるなりそう言った。
「オレは自来也のお陰で強くなった。じいちゃんとの約束を守りたいんだ」 「しかし…お主暗部がどのようなものか理解って言っているのかっ?!」 「わかってるよ…でもオレが沢山の里人殺しちゃって、人手不足なんだろ?オレはじいちゃんの役に立ちたい」 「三代目…ワシからもお願いします」 「自来也…」 「こやつの強さはワシのお墨付きです。もうワシですら敵わないのですから・・・」 「それにオレが力持ってると、いつ暴走して謀反を起こすかわからないだろ? それを未然に防ぐ為にも、何かの契約で縛り付けといた方がいいと思うんだ…」 「…わかった。ナルトの暗部入隊を許可しよう…だが、決して謀反を防ぐ為などではないからな!!」 「うん、わかってる。ありがとう…じいちゃん」
そしてここに後に木ノ葉最強と呼ばれる暗部“白狐”が誕生した。
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