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「アスラン、私を抱け!」 「え…あ…カガリ?!」 「何故抱かない…私のことが好きなのだろう?」 「…カガリっ?」
突然泣き出したカガリをそっと抱き寄せる。
「すまないカガリ…俺はお前が好きだ。でも…」 「キラがいいのだろう?」 「カガリ…」 「いつかはこんな日が来ると思っていた…一度だけチャンスをやる。 それで断られたら私のところに戻って来い!」 「…わかった…ありがとう、カガリ」
「キラ、一緒に寝ても構いませんか?」 「え?あぁ、うん…いいよ」 「暖かいですわね」 「そうだね」 「キラ…キラは私に何もして下さらないのですね…」 「え?何もって…///」 「私はいつも望んでいるというのに…」 「ラクス…」 「やはりアスランが良いのですか?」 「…」 「…わかりましたわ。一度だけチャンスを差し上げます。それでダメなら私のところに帰って来て下さい…」 「…ごめん…ありがと、ラクス」
//君がくれた機会//
「では行って参りますわ」 「家のことは頼んだぞ!」 「ああ」 「うん」
カガリとラクスは一週間の旅行に出掛けるそうだ。 あの夜の翌日…何もかも計算されていたと言う事か… 俺は小さく溜息をつく。 カガリが挨拶をするフリをして俺の耳元で囁く。
「頑張れよ」 「バーカ」
元気にキラに向き直り、カガリは挨拶のキスをする。
「カガリさん、行きましょうか」 「そうだな。では、行って来る」 「いってらっしゃい」 「気を付けてな」
二人を見送り俺とキラは居間に戻り、ソファーに腰掛ける。
「行っちゃったね…」 「そうだな。…寂しいか?」 「ううん。だってアスランが居るじゃない?」 「…///」 「何しよっか…どっか行く?」 「映画、見ないか?」 「いいよ」
俺は部屋から溜め込んでいたディスクを持ち出してくる。 それをどれにしよう?とあーだこーだ唸っているキラを可愛いな…と思いながら眺めていた。
「あ、これにしよう!」
キラが取り上げたディスクに俺は唖然とする…
「<死霊のはらわた>…キラ…」
恋愛物やちょっとスリリングなアクションを期待していた俺はちょっと落ち込んだ。 まぁ、これも恐怖系だし…コワイ!と言って抱きついてくれるかも…と思った俺はバカだった…のか?
「あははははは…おんもしろぉい、これ!!」
--そこは笑うところか?…そうなのか、キラ?!いや、そもそも笑う映画じゃないだろ…
突っ込むに突っ込めない俺は現実から目を背ける事にした。 可愛らしいキラを見つめている内にどうやら俺は眠ってしまったらしい…
「あ〜おもしろかった☆あ…アスラン寝てる…」
キラはアスランの顔をまじまじと眺めた。
--うわぁ…睫毛長い…鼻も通ってるし、やっぱりアスラン格好いいよな…唇の形キレイ…
吸い込まれるようにキラはアスランの唇に自分の唇を寄せる。 アスランの唇から伝わる仄かな温もりにハッと我に返りキラは慌てて唇を離す。
--僕…なにしてるんだ…
ふと視線を感じて顔を上げると、驚いた表情のアスランがキラを凝視していた。
「キ…ラ……?」 「ごめ…」
慌てて立ち上がろうとするキラの腕を引っ張ると簡単にアスランの元へ崩れ落ちた。 そのキラを引き倒すと、すかさずアスランはキラの上に跨りキラを見下ろす。
「アスラ…ン…なに…」 「キラ…しよ?」 「え…?!ん…んんんん…アス…ぷはっ…アスラン?!」 「キラ…も…限界…」 「アスラ…んぅ…やぁっ…は…」
何度も何度も口付ける…それこそキラが融けてしまうほどに…
「キラ…好きだ」 「アスラン…」
とろん、としたキラの瞳はアスランを嫌というほど挑発する。 キラは何かを決めたように数回瞬きをすると、真っ直ぐアスランを見上げる。
「アスラン…僕もアスランが好き///」 「キラ///」 「だから…その…///」 「…いい…のか?」 「うん…いいよ…」
二人の影は漆黒の闇の中に融けていった…
その頃、ラクスとカガリは温泉に浸かり二人して溜息を付いていた…
「いつかはこうなると思ってましたけど…なってみると『寂しいものですわね(だな)…』 「なんだか娘を嫁にやる父親の気持ちってこんな感じかなぁ?」←なんだか違う… 「そうですわね…さぁ!もうあの二人の事は忘れて、合コンですわ!ご・う・コン!!」
ラクスは勢いよく立ち上がると、恥ずかしげもなく腕を振り上げガッツポーズを形作った。
「そうだな!よし、頑張るぞ!!」
カガリもそれに倣って立ち上がり、同じ様に腕を振り上げた。 いつの世もやはり強いのは女性である… ちゃっちゃと着替えると彼女たちもまた夜の闇に消えていった…
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