最近、ナルトが面白そうに読んでいる巻物がある。 それは定期的に運ばれてくる密書だ。 誰が持って来たのか、いつ来たのかもわからないが、 それはいつの間にかナルトに読まれている。 しかも、密書であるにも関わらず、ナルトはご丁寧にも引き出しの中にしまっているのだ。 ナルトに訊ねてもただの調査報告としか教えてくれない。 ただの調査報告でそんなに面白そうにするのかよっ!と心の中で叫んでも、 声に出せる事は無かった…
閑 * 手紙 - LETTERS -
そんな或る日のこと… ナルトが一日任務もなく休みだというので遊びに行くと、出かける用があると言って断られた。 俺は夜は任務が入っているし、それまでナルトの家にある巻物でも 読み漁ろうと思いながらナルトを見送った。 一本の巻物に手を掛けた時、ふとナルトの机が目に付いて手を止める。
「密書…か……」
ダメだ、危険過ぎる…と俺の頭脳は囁いていた。 それでも脳裏に浮かんだものを払拭する事が出来ず、俺は恐る恐る机に近付く。
「確か二段目の引き出しだったよな…」
ナルトの机が普通に開くはずが無いことはわかっている。 慎重に、ゆっくりとトラップをクリアしていく。 まず、普通に開けようと取っ手に触れた時点で発動するトラップ…勿論、予想の範囲内だ。 ダミーの封印術を解くと発動する幻術も俺にとっては容易いものだった。 そしてメインに取り掛かろうとして俺は手を止めた…
「何だよ…このオドロオドロしい術は……」
タラリと額から汗が流れ落ちる。 そういえば、この前…ナルトは音から新術を仕入れたと言っていた。 それは確か封印術の一種で、解除に失敗すると呪いが掛かるとかいう…
「まさか…」
そこまで考えて俺はぞっとした。 それほど危険な思いをしてまで見る価値のあるものなんだろうか… だが、それにも勝る勢いでその封印術を解除してみたいという好奇心が沸いてくる。
「失敗できねぇよな…っつーか、これ禁術レベルじゃねぇかよ… 一体どうやって音から手に入れたんだよ…そういえば、その術が書いてあった巻物 がどっかにあった筈…」
ブツブツ言いながら、ガサゴソと周辺を探る。
「やべぇ…何にもねぇよ…何もヒントなしっつーのは結構無謀だよなぁ〜 いっそのこと術掛け直して諦めちまうか?めんどくせぇし…」
とその時、ナルトの机の上に置いてある巻物が目に入る。
「あんなのあったっけ?」
確かにさっきまではなかった気がするのだが… 俺は首を傾げつつその巻物を紐解いた。
「ん〜?これ、なんかあの術と似てねぇか??これの応用だとして… んで、蛇の性格を考慮すると…よしっ!これで呪われたらナルトに謝って助けてもらおう!!」
都合良すぎないか?とは微塵にも思わず、俺は慎重に印を組んだ。
「うりゃ!…………………と、解けた…」
ホッと胸を撫で下ろし、俺はドキドキしながら引き出しを開けた。 中には……
「…何もないっ…って、んなわけねぇだろ!」
自分に突っ込みを入れながら、イソイソと結界を解除する。 それほど簡単ではないが、先ほどの恐ろしい術に比べればなんのその! 漸く現れた巻物に手を掛けた瞬間…
「シカちゃん?(*´∇`*)」
ビックゥゥゥゥッ!!
その声色に騙されてはいけない… 俺の後ろには冷たい風が吹き荒んでいる。 俺は音がしそうなほどゆっくりと声の主を振り返った。 予想通り、そこにはニッコリと微笑を纏ったナルトさんが…
--ヒィイィィィィΣ(=∇=ノノ…こ、殺される…
「念のため、最後の術が発動したら俺に連絡が入るようになってたんだよね、残念っ!!」 「……すびばせん………( ┰_┰)(それにしては帰ってくるの早かったような…)」 「勉強になっただろ?」 「へっ?!」 「まさかこんなに早く解いちゃうとは…やっぱりシカは天才だな、うん」 「え?怒らねぇの??」 「ん〜だってこれはお前を成長させる為にやったことだし☆」 「罠だったのか…じゃあ、あの密書も俺を食いつかせる為に?」 「ん、あれは本物の密書だ。ただシカがあれに一番興味示してたからな〜 ま、これが解けたご褒美に内容教えてやるよ」 「マジ?」 「ちなみにこれは火影も知らないことだからな!ちょっと結界張れ」 「お、おう…」
俺はウキウキしながら、ちゃっちゃと結界を張った。
|