「よし!次こそ完璧だ(*´∇`*)」

 

その時、その場に居た者たちは何も聞かなかったことにしてその場から姿を消した。

 

「ちょっと里で試してみよ〜☆」

 

ナルトはウキウキと里に出かけて行った。

頭には黒い布を被り、口元は同じく黒の口布で覆い、漆黒のマントを羽織って…

どう見ても怪しい人…もとい占い師という格好で。

 

 

 

 

 

//占星術パートU//

 

 

 

 

 

 

最近里で有名な占い師が居る。

名を碧玉<ヘキギョク>と名乗るその占い師が一度占えば、それは必ず的中すると言われるほど

その的中率は高い。

噂を聞きつけて集まった里人たちの長蛇の列に碧玉、もといナルトは楽しそうに口を歪めていた。

 

--暗部の仕事するより儲かるぜ☆オレって天才だよなぁ〜やっぱw

 

ナルトが開発した占星術は単に星を見るだけではない。

諜報担当の青瀧から買い取った里人たちの情報を駆使し、

策謀担当の朱寂の先見によって、占った人物の先の行動を予測する。

あとはそれにちょっと手を加えれば…占いは確実に当たる。

その手を加える役は勿論源武だ。

様々な薬や薬草を当たり前に使用し、ついでに人体実験も出来ると大張り切りだ。

四神をフル活用したこのシステムは占いなどという非科学的なものではない。

まあ、人の運と星の動きは密接に関係しているというナルトの研究結果も踏まえているので

占いといえば占いだが…

そうとは知らず愚かな里人たちは大金を払っている。

そしてここにも愚かな里人が一人…長蛇の列から自分の番はまだかと飛び跳ねている男。

銀色の髪に、口布…その男の気配を察してからというものナルトは溜息を吐いてばかりだ。

そしてその男の順番が遂にやってきてしまった…

 

「何を占いますか?」

 

ナルトは柔らかく尋ねる…が、その心境は複雑である。

いっその事物凄い酷い占い結果を出してやろうかと思うほど、早くこの時間を終えたかった。

ナルトは小さく分からないように嘆息し、目の前の水晶を眺める。

この水晶に全ての情報が映し出される。

 

「俺と…好きな子がうまくいくかどうか占って欲しいんですけどvv」

「好きな子…?」

「そ、俺の担当してる下忍でぇ〜笑顔のキュートな太陽みたいな子なの(=´▽`=)」

「ほう…(そんな奴いたっけなぁ?)」

「いっつもセンセーvvって俺に抱きついて来るんですよ〜エヘヘ☆」

「まさか…(サスケやサクラがそんなことする訳ねぇ…そんなことするのはたった一人…オレ?!)」

「まさか?」

「その子の名はうずまきナルトというのでは?(まさかそんなことあるわけねぇよな…)」

「え〜すごい!!やっぱり当たるってホントなんだぁ〜なんか楽しみになってきたな〜」

「……(マジかよ…)」

「あれぇ〜どうかしました?」

「いえ…その子供とアナタがうまくいくかどうかですね…(いくわけねぇだろ…)」

 

ナルトはゆっくりと水晶に触れる。

自分の星の動きとカカシの星の動きを重ねていく…

人と人の出会う時、その人物同士の星の動きはキレイに重なる。

それは前回学んだ事。

人同士のアクシデントも朱寂との研究の結果、星の動きが重なる時期に起こることが分かった。

永遠に交わることがない人もいる…

ナルトはカカシと交わる事がない様心の底から祈った。

が、祈りは呆気なく壊されてしまう。

 

「三日後…」

「三日後?」

「三日後二人の関係に変化が訪れる」

「変化vvでもそれっていい変化〜?それとも悪い変化〜?」

「良い変化でしょう。その日から二人は互いに惹かれあう仲になる」

「ホントに!?やったぁぁぁぁぁぁ!!でもどうやってそんな仲になるの?」

「せ…」

「せ?」

「接吻が切欠になる筈…」

「ちゅう?!ナルトとちゅう?!あ…鼻ぢが…」

「…(もう助けてくれ…今回ばかりは当たらないでくれ…)」

「ムフフ…(o ̄ー ̄o)ありがと〜占い師さんvv」

 

カカシは大金を置いて、不気味に笑いながら去って行った。

自分で言っていて気持ち悪くなる…ナルトはその日の営業をそこまでで中止し、家に戻った。

家に帰ってからも頭を巡るのはさっきの占いの事…

しかしよくよく考えてみれば今までの占いは確かに裏付はあっても、最後はそれなりに手を加えていたの

だから、何もしなければ当たる訳がないのだ。

ナルトはそう思うことで気持ちを落ち着かせた。

しかし…翌日からカカシの口元ばかりが気になってしょうがない…

挙句の果てには夢にまで出てくるほどだ…

そして運命の三日後がやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝からカカシはニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべてやってきた。

しかも今日に限って時間通りに…

 

「雹とか槍とか降るんじゃないかしら」

 

皮肉をたっぷり込めて言うサクラにカカシはニンマリと笑いかける。

 

「雹とかは降らないと思うけど、なにかすごいことは起こっちゃうかもねぇ〜♪」

 

一瞬にしてオレの顔から血の気が引き、サクラの顔は引きつり、サスケのこめかみには青筋が浮いていた。

そのくらいその日のカカシは異常だった。

理由を知っているオレはその日一日カカシには一切近付かない事を心に決め、黙々と任務に励んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんとか何事もなく終わったな…」

「な〜にが終わったの?」

「げ…」

 

任務を追え帰宅しようとしていたオレの背後に降り立ったカカシは、後ろからニュッとオレの顔を覗きこむ。

耳元で微かにカカシの呼吸の音が聞こえる…

オレは一瞬にして顔が真っ赤になった。

 

--何意識してんだオレ!!Σ(; ̄□ ̄) マジありえねぇ…絶対ありえねぇ…

 

赤くなったり青くなったりするオレをカカシは不思議そうに眺めていた。

 

「ど〜しちゃったの、ナルト?今日全然俺と口聞いてくれなかったでしょ?」

「え…そんなことないってばよ?(避けてたんだから当然だ…)」

「ねえ、ナルト?」

 

オレの名を呼びながら、カカシはヨイショと木の根元に座りオレを抱き込み座らせる。

耳のすぐ側から聞こえる声にオレは身じろぎし、カカシの腕から抜け出そうとするがカカシはそれを許さなかった。

 

「ねぇ、ナルト?なんで今日先生のことずっと避けてたの?」

「避けてないって…」

「もしかして、占いのこと知ってた?」

 

オレは素直に頷いた。どうせ否定してもカカシにはバレてしまうだろうから。

 

「そっかぁ…でも当たらなかった…」

 

カカシはホントに悲しそうにそう呟いた。

 

「だけどこうやってナルト抱っこできたからいいや…俺ねぇ、ナルトが好きなんだ…」

「…知ってる」

 

オレの言葉に少し驚いた様だが、カカシはそっか…とオレの肩口に顔を埋める。

 

「ナルト…」

「なんだよ?」

「ナルトぉ…好きだよ」

「…///」

「ねぇ、キスしていい?」

「は?!」

「なんか今物凄くナルトとちゅうがしたい…」

 

オレは暫く考えた…別に考えずに即ノーと言えばいいのに考えた。

オレの事をカカシがどれくらい思っているのか分かりすぎて、オレは僅かに心が疼いた。

これはこの男に対する同情だと言い聞かせて、オレは何故か肯定の意思を伝える。

 

「…しょうがないから…ちょっとだけ…ならいい…」

 

何故肯定してしまったのか、自分でも分からなかった。

ただオレを好きだと言ってオレの名前を呼ぶカカシが可哀相だったから?

違う…オレはカカシとキス…したかったのかな?

あの日からずっと唇ばかり目で追って…いつの間にかそんな気持ちに…

 

 

 

 

 

振り返るとカカシは口布を下ろしてオレを見つめていた。

まるで獣の目の様にオレを射抜いて離さない。

ゆっくりとカカシの丹精な顔が近付き、オレは静かに目を閉じた。

触れるか触れないかの所で離れる温もり…オレはもっと欲しくてカカシの首に手を回す。

カカシは一瞬驚くが、ふわりと微笑みオレの唇をペロリと舐める。

僅かに開いた唇から入り込む舌が生き物のように口内を動き回り、オレの意識は次第に朦朧とし始める。

何度も何度も交わしたキスは黒砂糖の様に甘かった。

行為の後暫くしてオレは段々と覚醒し、今まで自分が何をしていたのかを頭の中で反芻して唖然とする…

 

「マジかよ…///」

「占いってホントに当たるもんだねぇ…」

 

カカシは恍惚とした表情で既に暗くなった空を見上げ呟いた。

空には満天の星…

占いというのは一種の暗示のようなものだと、そういえば書物に書かれていた気がする。

占いの内容を信じてそうなるそうなると思い込んでしまうと、人はその通りに行動してしまうのだと。

結果その占いは当たる事になる。

精密な計算の内に導き出されたナルトの占いは当たり過ぎた。

だからこそ自分もその内容を信じ、挙句その通りに行動してしまったのだ…

ナルトはもう二度と占いなどしまいと心に誓った。

その日からカカシを見ると頬を赤らめるナルトと

以前のようにナルトに纏わりつかず自然と側に居るカカシが巷で目撃されるようになる。