ナルト 七歳

「行くのか?」

「そんな心配そうな顔をするな…俺は必ず帰ってくる」

「ウソツキ…」

 

暗部に入隊したオレはうちはイタチという男に出会った。

過保護なじいちゃんが心配して付けてくれた。

暗部の中でオレに最も年齢が近く、新人にしては優秀だったこの男はオレの事を知っても

何をする事もなく、ただ普通に側に居てくれた。

ただ普通に…それがオレにとってどれだけ救いになっていたか…

 

 

 

 

 

//慈愛//

 

 

 

 

 

「オレを置いて行くのか?」

「これは任務なんだ…そして俺がやらなければならない事なんだ…

あの男を…俺の両親を殺した男を俺は必ず探し出し、殺す!」

「一人より二人の方が…」

「ダメだ!…わかってくれ、ナルト…」

 

辛そうにイタチは顔を背けた。

そのイタチに縋り付く様にナルトはイタチの腕を握る。

 

「オレを…一人にしないで…」

「三代目や自来也様がいるだろう?」

「でも…オレにはイタチが必要だ!!」

 

イタチは困ったようにナルトの頭を撫でながら、ニッコリと微笑む。

普段殆ど笑う事のないイタチもナルトには優しい笑顔を見せてくれる。

その笑顔に緩くなる自分の頬に、ナルトは慌ててイタチを見上げる視線をキツくする。

 

「お前は強い子だ。きっとお前の側に居てくれる仲間もすぐ出来る」

「仲間?」

「そうだ。この腐りきった里の中にもキレイな芽が少しずつ吹き出しているのがわからないか?」

「わからねぇよ…オレには…仲間なんて出来るわけがない!!」

「大丈夫だ」

「何が大丈夫なんだよ!」

「俺の弟を知っているだろう?」

「サスケ…だっけ?」

「そうだ。アイツも俺と同じ様にお前に惹かれている…アイツがきっとお前の側に居てくれる」

「オレは代わりなんて必要ない…」

「そういう意味で言ったのではないんだがな…」

 

ナルトはプイと顔を背ける。

 

「わけわかんねぇ」

「そのうちわかるようになるさ」

 

そう言ってイタチはナルトの頬にふわりと口付ける。

その行為に驚いた表情でナルトはイタチに目を向けた。

 

「祝福のキスだ。俺が居ない間お前を守ってくれと神様にお願いしたんだよ」

「なんだよそれ…そんなの必要ないよ…」

「俺はどこに居てもお前を思っている」

「オレはイタチにここに居てほしい!!」

「お前を愛しているよ、ナルト」

 

そう言ってイタチは風の様に消えてしまった。

追いかけようと思えば追いつく事は出来た…でも、足が動かなかった。

ナルトはそっとイタチの唇が触れた頬に手を当てる。

 

「しょうがないから待っててやるよ…っていうか、人の話少しは聞けよな…」

 

ナルトは大きく嘆息し、その場を後にした。