「ねぇ…いつになったら着くのよぉ〜」 「この辺りの筈なんだがなぁ…」 「結局ナルトもいないし、どうなってる訳?!」 「俺を睨んでも、いなかったもんはしょうがねぇだろ?そういえば… ナルトの気配もどこに行っても感じられなかったな…まるでこの桜みたいに…」
行けども行けども辿り着けない。 否、彼らは既に辿り着いているのだが…
//CHERRY TREE 03//No66000
ナルトの張った罠に、上忍であるはたけカカシや、奈良シカクたち親連中はまんまと引っ掛かっていた。 同じ場所をグルグルと回っている事に気付いたのはシカマルと上忍たちであったが、 幻術を破るにも、その方法が見つからず、緊急会議を行う事となった。
「おい、カカシ。お前、曲がりなりにも里でNO.1なんだろ?」 「どうにかならないのかい?」 「…曲がりなりにもが余計なんですけど…」 「グダグダ言わず、男ならば何とかしなさい!」 「はあ…まぁ、どうにもならないこともないんですが…時間が掛かりますよ?」
そう言うと、カカシはスッと座り込み、一気にチャクラを練り始める。
数分後… 待ちくたびれたチョウジが父親に食料を催促し、 またシカマルの父シカクが堪りかねて酒を飲み始め、一瞬で宴会へと発展した。
それから更に数分後…ドンチャン騒ぎが続く中 カカシが「できた!」と声を上げると皆がカカシに注目する。
「これとアレが同じならこれでいけるはず…」
カカシは一気に溜め込んだチャクラを放出した。
「解!!」
そして… 目の前に霧がみるみるが発生し、瞬く間に引いていった。 霧が晴れた先には、全員が瞠目するような眩い光景が広がっていた。
「すげぇ…」 「ワウン///」
桃色の花弁が舞う。 そして鳴り響く鈴の音。 まるで異世界に迷い込んでしまったような気分にさえなる。
「チッ…カカシが居たのは誤算だったな…」
そう思いつつも舞は止めない。 止めれば桜を止められなくなるから。
「ナルト?」
誰からともなく漏れた声。 否、皆が同時にそう感じた。 目は舞を舞う少年に釘付けとなり、ごくりと唾を飲み込む。 そこに居るのはナルトのようでナルトではない…とても神聖な者に見えた。 紅く染まった瞳を除けば、その金色の髪も、頬の印も全てがナルトであると証明しているのに 誰一人としてそれが自分たちが知るナルトであると認めることは出来なかった。 ボーっと、ただ舞が終わるまで一同は見つめる事しか出来ず、 少しも微動だにせず、その場に立ち尽くした。 そして舞が終焉を迎えた瞬間、まるで桜の樹が涙を流したかのように桜から水息吹が飛び、 その一粒が踊り子の胸元に向かってぶつかる。 それと同時に、周囲に目映い光が迸った。
サクラたちが目を開けると、目前には枯れた桜の樹があるばかりで さっきまでの光景はすっかり消え失せていた。
「夢…だったのか?」 「幻覚でも見せられてたのかしら…?」 「なんか、三代目や四代目とかも見えた気がしたんだけど…」 「…だよな…なんっつーか、どっかで見たことあるような連中も居た」 『うんうん』 「わけがわからんな…」 「でもさ……『奇麗な幻覚だったな(わねぇ)(よねぇ)…』
さっきまでの光景を思い出し、それぞれが恍惚とする。 それほど印象深く、特異な光景だったからというのもあるが、 正に噂に聞くこの世のモノとは思えないモノを目にした感動は深く胸に残った。
翌日… ナルトを見るなりハァ…と恍惚の溜息を漏らす下忍と上忍が見られたことを此処に報告しておく。 そして、その日を境にナルトは仲間たちの信仰の的になったことも追記しておく。
「ねぇ、ナルト〜ちょっと踊ってみてくれない?」 「ハア?!」
ついでに、ナルトに対する変な要求が急激に増加しちゃったりもしたりして…
なんだか…毎度毎度煮えきったんだか、煮え切らないんだかわからないものが… 散々待たせといて、これかよっ?!と思われるのも仕方ないです(汗) でも、結構頑張ったんです!! ホントはバレネタにしようとも思ったんですが、 神秘的な感じにしたいという勝手な願望でこんな形になりました。 ご満足頂けると嬉しいのですが… 勿論、いつも通り返品・苦情・書き直し…etc、謹んでお受けしますので、 お気軽にお申し付けください。 66000Hitsありがとうございましたm(_ _"m) とてつもなく遅くなってホントに申し訳ありませんでした… From ARKY_______________ |