満月の夜…里の奥深く、誰も立ち寄らない場所にその桜の樹はあった。 人々が<<狂乱の桜>>と呼ぶその桜の樹の下には此の世の者ではない者たちが集うと言う。
//CHERRY TREE 01//No66000
「く…くだらねぇってばよっ!」 「そんなこと言ってアンタ、ホントは怖いんでしょ?」 「そんなこと…ない…ってばよ!!」
口を尖らせてみれば、サクラはやっぱりと呆れたように嘆息し、 そしてイタズラっぽい笑みを浮かべる。
「じゃ、ナルトも怖くないって言ってる事だし〜今夜皆を誘って行ってみましょうよ!!」 『いいんじゃない(ねぇの)?』 「え゙…?」 「諦めろ、ナルト」
肩に置かれた手に振り返ればそこにはよく見知った面々が任務の報告を終えて出てきたところだった。
「めんどくせぇが、俺もこんな寒い冬に咲く桜には興味がある」 「めんどくせぇなら行くなってばよ…っていうか、オレを巻き込むんじゃねぇ!!」 「あらぁ〜やっぱりナルトくんは怖いのかしら?なんなら私が守ってあげるわょ??」 「こ…怖くなんかねぇよ!!っていうか、いの…それ普通男のオレの台詞だってば」 「いいじゃん、ナルト〜行ってみようよ!冬に咲く桜の下で宴会なんて、なんかいいと思わない?」 『…チョウジ…お前(アンタ)そればっかりだな(ね)…』 「勿論!!」 「…突っ込む気にもなんねぇってばよ…っていうか、オレは止めた方がいいと思うってば…」 「もう…皆で行けば怖くないわよ。諦めなさいって、ナルト」 「だから怖いんじゃねぇって!オレはただ…」 「ただ、なんなのよ?」 「…何でもねぇ…ってば。とにかくオレは今日はパスだかんな!!」 「あっ、ナルト?!」
ナルトは一目散にその場をから姿を消した。
「ナルト、わかってんだろうね?」 「わかってるよ。今夜は狂乱の桜が目覚める夜だ…忘れてたりしねぇよ」 「だったらいい」
先ほどの騒ぎは既に五代目火影の耳に入っているらしい。 ナルトは小さく溜息を吐く。
忘れる訳がない…今夜はあの桜が目覚める夜。 それを鎮めることが出来るのは九尾の力を宿す己だけだ。 それは産まれ堕ちると同時に授かった使命… それまでこの地を治めていた九尾を封印した事によって発生した人々の罪。
「さて、どうしたものか…ったく、シカマルじゃねぇがめんどくせぇな…まぁいいか…」
「じゃぁ、私いろいろ誘ってくるわね〜」 「うんお願い、いの」
手を振りながら離れるいのを見送ると、サクラはグイッと伸びをする。
「さてと、私は今晩のお弁当作ろ」 「あ、僕も手伝うよ。ね、シカマル」 「ハァ?!オレもかよっ?」 「じゃ、行きましょ」 「はぁ…俺もナルトみたいにずらかれば良かったぜ…」 『なんか言った?』 「い…いえ…なんでもアリマセン…なんでこんな目に…」
二人はウキウキと、一人はめんどくさげに嘆息しながらサクラの家へ向かった。
大変遅くなってしまい…申し訳ありません…… なんか、物凄く長くなります…ハイ。 もしよろしければお付き合いくださいm(_ _"m) |