12月30日

任務を言い渡されてから数時間後…

自分には無理だと言われた任務を、少し時間は掛かったが無事にこなして里に

戻った木ノ葉丸は、報告の為に火影の執務室に向かった。

 

 

 

 

//BIRTHDAY 1230//

 

 

 

 

「六代目…上忍木ノ葉丸、只今戻りました」

「だ〜か〜ら〜固いって言ってんじゃん。昔みたいにナルト兄ちゃんって呼べよ」

 

執務室に入ると、数時間前には山のように積まれていた書類を全て片付け

たようで、ナルトが腰掛けている机の上には何もなかった。

流石今までの里長の中で最も優秀と誉れ高いナルトだ…

それにも拘らず腕組みをしてプンプンと怒るナルトは変わらず昔のままで…それがど

こか嬉しくて木ノ葉丸はニッコリと笑う。

 

「ったく〜そりゃ皆の前では煩い奴らがいるからしょうがねぇけど、二人の時くらい

大丈夫だって。な?」

「…わかったよ、ナルト兄ちゃん」

 

諦めたように嘆息した木ノ葉丸にフワリと柔らかい笑みを浮かべると、ナルトは

木ノ葉丸の肩に手を回し、耳元で囁く。

 

「今日は昔のオレとお前で話がしたくてな」

「昔の…俺とナルト兄ちゃん?」

「そ(*´∇`*) ちょっとついてこいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ナルトに言われるがままについて行くと、巨大な滝の前に辿り付いた。

 

「英雄の滝…」

 

と、ナルトがスゥ〜っと滝の中に消えた。

 

「な…ナルト兄ちゃん?!」

「な〜に驚いてんだよ?ほら、早くお前も来い!」

 

滝の中からヒョッコリ顔を出すナルトを見て安心すると、木ノ葉丸はナルトに従って

滝の中に入った。

水の壁の向こうは広い空洞になっていて、そこには明らかに生活できるだけの家具、

道具、食料が揃っていた。

 

「ここは…」

「俺の隠れ家。シカも知らないんだぜ!!(=`^´=)エッヘン」

「シカマルさんまで知らないって…」

「オレなぁ〜もう火影飽きたんだよね」

「兄ちゃん…飽きたって…( ̄Д ̄;;)」

「時々逃げて此処に来ると幸せっつーか、安心っつーかさぁ〜」

 

そう言いつつナルトは一本の巻物を取り出す。

そして最上級の笑顔で木ノ葉丸に微笑みかけた。

 

「つーことで、此処にサインしろ(=´▽`=)」

「Σは?!」

 

明らかにその文面には七代目火影の文字が見える…

 

「お…俺なんてまだ火影には無理だよ!!」

「何でだ?火影になりたかったんだろ?オレの次に火影になるのは自分だって

いつも言ってたじゃねぇか」

「そりゃ…なりたいけど…だけど!実力も何も俺には足りないモノが多すぎるんだ、コレ!!」

「実力なら問題ねぇよ。今回の任務はそれを確かめる為の物だったんだからな」

「だって…あれはたかだかSランクじゃないか!!まだ兄ちゃんたちのSSランクには届かない…」

「それが実はSSランクだったとしたら?」

「え…嘘だろ…」

「暗部の中でも一握りの人間しか出来ないSSをお前はやってきたんだ。

ちょっと時間掛かりすぎだけどな〜」

「だから…シカマルさん無理だって…暗部が二人もついて来たのもその所為?」

「そういうこと。そこまで気付いてるなら100点満点だな。それにお前はじいちゃんの

孫で里からの信頼も厚い」

「だけど…俺はまだナルト兄ちゃんには全然及ばない…」

「火影は実力だけじゃねぇんだよ。お前はじいちゃんから大切な物を受継いでるだろ?」

「でも…」

「大丈夫だよ。誰にも反対なんてさせないから(*´∇`*)」

「職権乱用だよ、兄ちゃん…そして俺にも拒否権なし…」

「当然!職権なんて乱用してなんぼだぞ?たまにはこうやってストレス発散しねぇと

頭おかしくなりそうだからな…火影なんて」

「うぅ…( ┰_┰)」

「いいじゃねぇか☆なりたい火影になれるんだぞ?」

「こんな形で…」

「なんか文句ある?(´∇`)」

 

悪魔の笑顔で迫られれば反論出来る筈も無く…木ノ葉丸は決意した。

こうして新たに七代目火影がひそかに誕生する事となる…

 

 

 

 

 

 

 

ボーーっと契約の巻物を見つめる木ノ葉丸−否、七代目火影にチャッチャと火影の

衣装を着せると、ナルトはポンポンと肩を叩き、頑張れよ!と囁く。

そしてどこにしまっていたのか超巨大な荷物を背負って滝から出て行こうとしたので、

木ノ葉丸はハッと我に返りそれを慌てて引き止めた。

 

「ナルト兄ちゃんどこ行くの?!っていうか何その荷物!!Σ(; ̄□ ̄)」

「何って…旅にはこのくらい要るだろ?」

「相変わらず欲張りだね…(-_-;) 山篭りでもする気…?」

「いんや〜世界一周しようかなぁ〜って」

「世界一周…へぇ…」

 

ちょっと疲れてきた木ノ葉丸にチャッと右手を上げて挨拶をすると、ナルトはニッコリ

微笑む。

 

「んじゃ、里は頼んだぞ〜木ノ葉丸☆それとシカマルに待ってるから追いかけて来いvv

って伝えといて!多分もうすぐ来るはずだから」

 

巨大な包みを軽々と担ぎなるとは飛び出して行く。

それと同時に滝の向こうから聞こえた声に、それまで強張っていた木ノ葉丸の顔は

フワリと綻んだ。

 

「ハッピーバースデーだってばよ、木ノ葉丸!!じゃなくて七代目火影サマ(o^∇^o)

頑張れよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

その後、隠れ家に辿り付いたシカマルによって上層部にこの事態が伝わると、

ナルトを知る者たちは口々にこう呟いた…

 

『とうとうやりやがった…』

 

と…。

シカマルは御意見番の座をウドンとモエギに引き継ぎ、早々にナルトを追って行った。

ナルトとシカマルの楽しい追いかけっこは始まったばかり…

木ノ葉丸は愛する祖父と師匠が座っていた椅子に腰掛け、これからの二人の楽しい

旅と今後の里の行く末に思いを馳せていた。