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その男はキッと里人たちを睨みつけると、直ぐに三代目に向き直り哀しげな瞳をした。
「すまぬ…凱亜。儂らが非力なばかりに、お主をも苦しめてしまった」 「良いのだ、猿飛…もう終わったことだ」
閑 * 木葉崩壊4 - COLLAPSE4 -
「揃ったところで行くわよ」 「そうじゃな」 「うん…」 「カブト、案内なさい」 「はい。みなさん僕について来て下さい」 「音か…久しぶりじゃのう。あそこは美人のお姉ちゃんがおらんからのぉ…どうしたものか」 「あら、私が居るじゃない?」 「Σ…遠慮しておきます…」
ハハハ、と笑いながらゆっくりと歩き出すナルトたちの後ろから追従するものが五人…
「音って結構遠いよなぁ〜めんどくせぇ」 「音か…行くのは初めてだ。虫は居るか?」 「虫なら珍しい虫がいっぱい居ますよ」 「音は自然が豊富だからな…」 「あら?うちに来たことがあるの?」 「当然だ。俺に知らないことなどほぼ存在しない」
「ねぇナ〜ルト、肩車してあげようか?」 「うん!」 「くれぐれも落とさないで下さいね」 「イルカ先生心配し過ぎ〜」 「ナルト〜これは心配じゃなくて嫉妬って言うんだよ」 「え…」 「カカシ先生…まぁ敢えて否定はしませんけどね」
穏やかに進む雰囲気の中、ナルト一行の前に数人の忍たちが立ちはだかった。 よく見れば旧家、名家の者たちだ。
「おいおい、俺ら置いて行く気かよてめぇら」 「おぅ親父」 「おぅ!じゃないでしょ…全く母さんを置いて行こうなんて百万年早いわ」 「ハイ、すみません…」 「シノ、お前もだ」 「…ごめんなさい」 「ネジ兄さん」 「ヒナタ様…」 「勿論私たちも連れてってくれるんでしょ?ナルトくん」
ナルトはゆっくりと友たちを振り返る。
「どうする?」 「ほら、い〜の。あんまり悩んでるとパパたち置いてっちゃうぞ」 「え…」 「いの、行くんでしょ?」 「チョウジ…」 「行こうよ」 「うん、そうね」 「俺も!俺も行く!!行くぞ赤丸、親父たち!」 「俺も行く」 「私も行く」 「サスケ、サクラ…」 「ネジ、私たちも置いていかないでよね」 「青春だ!!」 「はい、ガイ先生!!」 「ま〜なんだ、俺も行くぞ」 「そうね。私も行くわ」 「アスマ…紅…お前らいつの間に…」 「カカシ〜お前ナルトに夢中過ぎて気配も読めなくなったか?」 「……熊の癖にうるさいんだよ!」 「ひでぇな〜」 「総隊長様、我々もお供させてください」 「お前ら…」 「我々は貴方に忠誠を誓いました。何度も命も助けてもらった…お願いします」 「硬いねぇ…いいんだよ、来たい奴は来れば…めんどくせぇ」 「よし!オレに付いて来い。一緒に行こう」 『はい!』
里を離れて暫くすると、目の前に見覚えのある二人を見つけてナルトはボソッと呟く。
「あ…再不斬たち忘れてた…」 「それは酷いですね…」 「全くだ」 「ごめんごめん、でもここが良くわかったな」 「シカマルくんが教えてくれました」 「たく、危うく置いていかれるところだったぜ…ん?何だ」 『生きてたの(か)?!』 「あぁ、波の国で会ったガキどもか…」 「僕たちはナルトくんに助けられて、木ノ葉で暗部として暮らしてたんです」 「へぇ〜そうなんだ」 「白…だっけ?また手合わせしてくれるか?」 「えぇ、勿論」 「これからよろしくな」 「はい」 「にしても大所帯になったわねぇ」 「大引越しだな…」 「ねぇ、うちの家族忍者じゃないんだけど…どうしようか」 「アスマに三人、暗部に一人ずつ背負って走ってもらえばいいんじゃない?」 「てめ、カカシ。なんで俺が三人なんだ!てめぇが担げ!!」 「だって俺はナルトがいるも〜ん」 「オレ降りるよ…」 「ナルト、降りたら今すぐ押し倒すよ」 「…カカシのバカ///」 『カカシ(先生)!!』
火影、里の守護神、旧家・名家を一度にして失った木ノ葉隱れの里はこの日一日にして崩壊した。
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