人の運命ってやつは別に神様が決めるもんじゃない… そもそもこの世に神なんて存在すると信じているわけじゃないし。 少なくともオレは自分の運命くらいは自分で決めるもんだと思ってた。 でも時々自分の力ではどうしようもないような…運命ってやつを感じてしまうような出来事だって ホントに偶にだけど……起こる事があるみたいだ。
//占星術//
「な〜んか…腹減ったな…」
ギュルルルル〜と情けない音が腹から響く。 そういえば、昨日からずっと何も口にしていなかったことに気付く。 別に時間がなかったわけではない…ただ…なんとなく食べる気にならなかったのだ。 そしてフラフラと辿り付いた場所。 見上げると窓から明かりが漏れている。
「こんな時間までなにやってんだアイツ…」
現在、夜中の3時… こんな時間に出歩いている自分こそ何をやっているんだか。 当然そんなのは棚上げだけれど♪ 気が付けば既に部屋の前。 ホントに何やってんだろ…と思いつつも、躊躇いがちにノックしようとしたところで 目の前の扉が勝手に開いた。 ハッと顔を上げれば必然的に扉を開けた人物と目が合ってしまう訳で。
「こんばんわってば」
とニッコリ笑って見せれば、当然返ってくるのは不審げな瞳だけ。
「ナルト?お前、どうしたのよこんな時間に」 「え〜と…」
どう答えようか…流石に任務帰りです!なんてホントの事を言う訳にもいかないし… まぁ、言っても信じてくれないだろうけど… あ〜シカじゃないけど、めんどくせぇ…なんだってコイツの家になんか来ちまったんだ、オレ。
今何時だろう? ボーっと星を見ながらナルトのことを考えていた。 俺が星を見上げるなんて柄じゃない事はよくわかってるんだけど、なんだか今夜は 見上げたい気分だったんだ。 見上げてみれば、空にはたくさんの星がキラキラと輝いていた。
「星ってこんなにキレイだったっけ…そういえば昔誰かが言ってたな…」
人を愛すると星はこんなにもキレイに瞬き、風はまるで愛するあの人の囁きのようだと… その時はくだらないと思っていた…自分が誰かを愛する事などないと思っていたから。 愛する人が出来てやっと、そいつの言っていた意味が分かった。
「人を好きになるって凄いパワーだよね。ね、ナ〜ルト」
愛する人の名前を小さな声で呼んでみる。 もしかしたら風に乗って返事が返ってきたりして☆ あ〜俺っていつからこんなにロマンチストだったんだろうねぇ? と、部屋に近付いてくる気配を感じて俺は息を潜める。 案の定、俺の部屋の前で立ち止まった気配を探ってみる…そして意外な人物に慌てて 玄関に向かった。 気配はいつもより薄いけど…これは間違いなくさっきまで自分が思い浮かべていた人物。
「ナルト…どうしてこんな時間に…」 「え〜っと…」
ナルトは言い難そうにウンウン唸っている。 そんなナルトに僅かでも期待した自分が悪いのか?
「お腹空いたってば!!」 「へ?」
きっと俺は今呆れるほどバカな顔をしている筈だ。 先生に会いたかったから、来ちゃったってばvvとか笑顔で言ってくれる訳…ないよね(T-T)
「上がってもいいってば?」 「でももう遅いしねぇ〜」 「ダメだってば?」 「俺、自信ないよ?」
大好きなお前を前にして何もしない自信なんて全然ないよ?
「大丈夫だってば、元々先生の料理なんて期待してないし〜オレが作るってばvv」
なんだかスルリとヒドイこと言われた気がするけど…そもそもそういう意味じゃないんだけど… ナルトはドカドカと家に上がり込む。
「もう知らないからね…」
焦った…カカシの野郎、子供のオレ相手に何てこと言うんだよ… オレだってそのくらいの意味は分かるっつーの。 オレは冷蔵庫を漁りながら、火照る顔を冷やすと適当に材料を取り出し手際よく 調理する。 そんなオレをカカシは驚いたようにジーッと見ているけど、このくらいじゃバレないだろ… <ナルト>が嫌いな野菜も使ってないしね。 作ったのは豚肉のしょうが焼きと牛乳入り玉子焼き。 それにご飯と豆腐とわかめの味噌汁を付ければ立派な食事だ☆
「驚いたな〜ナルトって料理できるのか〜ラーメンしか作れないと思ってた」 「失礼だってば!伊達に一人暮らししてないってばよ。それより先生も食べるってば?」 「食べたい」 「なんか子供みてぇ…」
ナルトが作ったご飯を食べながら、なんだか奥さんみたいだねって言いそうになって 慌てて味噌汁を口に注ぐ。 それにしても本当に驚いた…あのナルトがこんなに料理が上手なんて… ナルトのことをホントに何も知らないんだな、俺って。 急にナルトのことが知りたいっていう欲求が湧き出してきた。
「ねぇ、ナルト。占ってあげようか?」 「占い?オレ、そういうの信じないってば」 「俺の占い結構当たるんだよ?」 「ん〜じゃぁ、お願いするってば」
カカシってば、突然何を言い出すんだろう… 占いなんて迷信をこの男が信じているなんて意外だった。 オレってコイツのこと何も知らないんだな。
「ナルト、こっちおいで」
カカシの側に行くと、腕を引かれてフワリと後ろから抱かれる形になる。 カカシの膝の上、トクントクンと心臓の音が聞こえるくらい近くに居ると思うと、 胸がドキドキと早く波打つ。 やっぱりカカシは大人だな…変わらない心臓の音…まぁ、意識してる方がおかしいか。
「ナルト、此処にあるカードを表の絵柄を見ずにこの紙の上に並べてごらん」 「わかったってば」
十二等分された円の中に十一枚のカードを順に並べていく。 並べ終えると一枚ずつカカシが開いていく。
「まず第一の部屋。ここはナルトの内面を表している。ここに冥王星か… ナルト、お前何か隠し事があるでしょ?」 「そんなのい〜っぱいあるってばよ。隠し事のない人間なんていないってば」 「確かにそうだね。でもこれは内面の部屋だからね…普通の隠し事じゃない、本当の自分を 封印しているってこと。つまり今のナルトは本物じゃない」 「……そんなこと…ない…ってばよ」 「図星、みたいだね」
こんなのは所詮占いだから、なんて馬鹿にしてた所為かもしれない… 次々と言い当てられていく内に次第に焦ってくる自分が居た。 全てをカカシに暴かれてしまう…知られてしまう…そんな気がした。
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