「天才」とは、正にこやつの事を言うんじゃろう。 齢五つにして、里で己に敵う者など居ない子供。 腹に巣食う妖狐故か、はたまた父親の才を余す所無く受け継いだ故か… こやつの潜在力は計り知れぬ。
零 * 鳴門 - NARUTO -
力を手に入れることがこやつにとって吉じゃったのか、凶じゃったのか。 いや、吉じゃったのじゃろう… あの事件がなければ、力を手に入れることもなく、永遠に幽閉されていたのかもしれないのだから。 事件は、今から二年前に遡る。
ナルト 3歳 妖狐九尾が里を襲撃し、四代目火影が命を賭して彼奴を封印してから4年… 里の救世主である筈のナルトは、里人の恨み、怒りといった負の感情の的となり、しばしば命をも狙われる。 故に、この子供が少しでも影響を受けず暮らせる様、火影邸で保護しておった。 表向きは危険回避の為の監禁ということもあり、侵入してまで命を狙おうとする者もおらず、里人の怒りもこのまま 薄れていくはずじゃった。
十月十日。 ナルトが産まれた日であり、そして多くの里人の命が消えた日。
慰霊祭の為、火影としての役目を全うする為、この日は儂にとって多忙極まりない一日であった。 その最中に事件は起きた。
|