Jealousy
// 03*
「お、気が付いたか?ハァ〜〜〜良かった…」
いまいち状況が飲み込めない俺は目だけで周囲の様子を伺う。 なんとなく見たことのあるような、ないような…
「ここ…は」 「万事屋。てめぇ、もうニ日も寝てたんだぞ?」 「二日…なん…でてめぇの家に…それに、あいつらは…高杉の野郎は…」 「ハァ…おめぇ、何も覚えてねぇのか?」 「?」 「あの後、新撰組に運ぼうとしたんだけどよぉ〜てめぇががっしり死後硬直みてぇに オレを捕まえたままビクともしねぇし、困ってたらゴリラがオレの家のほうが 近ぇからっつって、医者だけ遣して置いて行きやがった。 桂や高杉も騒ぎに紛れてどっか行っちまうし… 神楽たちはメシ目当てに新撰組に行っちまうしよ… お陰で銀さん二日ぐれぇ、寝てねぇっつーの…うだうだうだうだうだうだうだうだ」 「すまねぇ…」 「あぁ、別にてめぇが謝ることじゃねぇよ。オレを助けてくれたんだしな… っつーか、腹減ってるだろ?なんか食いもん持ってくるから待ってろ。 つっても、ろくなもんねぇだろうが…ったく、ついでにメシでも持ってこいよな…ブツブツ」 「あっ…ぉぃ…っつ…」
数分後、銀時が恐らく自分で作ったのであろうお粥を手に戻ってきた。
「…食えるのか?」 「お粥くれぇ誰でも作れ…や、若干例外はいるが…まぁ作れる。 いいから、さっさと食いやがれ!」 「……起こしてくれねぇか?」 「あ?!あぁ」
銀時は横たわる俺の背の下に腕を差し入れグイッと手前に起こそうとした。 が、俺の痛みを堪える様子に気を取られバランスを崩し、 俺はその流れで銀時の胸の中に倒れこんだ。
「悪い…って、おい…?」
銀時の胸に耳を押し付け、俺は静かに鼓動の音を聞いた。
「俺、生きてんだな…」 「あぁ、残念ながらな」 「てめぇの嫌味もなんだかすがすがしいぜ」 「あぁ?!お前だいじょうぶか?…頭が」 「……るせ…」
銀時の首に手を回すと、勢いを付けて身体を持ち上げる。 多少腹部に痛みが走ったが、それよりも何よりもそのうるさい口を塞ぎたかった。 己の唇で…
「なっ………」
驚く銀時の唇を割り、舌を差し込む。 銀時の唇から唾液が滴るほど激しく攻め立てた。 最初は抵抗していた銀時も、苦痛に眉を顰める俺の体勢を 抱き寄せることで整えつつ甘んじて行為を受け入れる。 生を求めるように口付けを止めない俺にさすがに痺れを切らしたのか、 銀時は俺を勢いよく引っぺがした。
「おいおい……一体いつまで続ける気だ、こら」 「……死ぬまで。っつ…てめぇ怪我人になんて扱いしやがる…」 「ざけんなっ!!ったくよぉ〜お粥冷えちまったじゃねぇか… ちょっと温め直してくる…って……おぃ…」
立ち上がろうとした銀時の腕はしっかりと握られていた。 俺はジッと銀時を見上げ、そしてすぐに顔を開いている手で覆う。
「な、なんだよ…」 「あぁ〜やべぇ。俺、お前のこと好きだわ」 「はぁっ?!」 「すげぇ、お前を犯してぇ…」 「…………(冷汗)ちょ、ちょっと待て…お前、ホントに頭大丈夫?」 「なぁ、お前を殺そうとした奴…あいつの兄貴としたのか?」 「は?お前、何言って…ていうか、オレの話は無視かよっ!」 「どうなんだよ、白夜叉!」 「…ハァ…なんなんだよ、ったくよぉ……」 「どうなんだ…」 「…したよ。どうしてもって懇願されて。オレも少しでも誰かと繋がってたかったから、 あの時は特に…な…」 「……そうか」 「おい…土方?…って……うわっ!!」
掴まれていた腕をぐっと引っ張り、銀時を組み敷いた。 上から銀時をじっと眺める。 真白い肌、銀色の髪…血に塗れた俺を浄化してくれそうな白… 多分…攘夷志士たちにとってもこいつはそんな存在だったんだろう…。
「お前、マジで白夜叉なんだな」 「昔のことだ。もう忘れた」 「そうかよ」
自然とよくわからな笑みが浮かぶ。 どうやら俺はこの状況が嬉しくてたまらないらしい。
「なぁ、俺に抱かれる気はねぇか?」 「…この体勢でその台詞はないんじゃねぇか…? っていうか、傷口が開いたらどうすんだよ…」 「そしたらお前と一緒にいられる時間が増える…」 「ハァァァァァァァァァ…ったくよぉ…なんでいっつも男なんだよ… オレは女にモテてぇよ…」 「ちゃんとモテてんじゃねぇか、チャイナに。あいつはいい女になるぜ?多分。」 「…ハァァァ…もう今日溜息何回目?! …っつーか、お前女にモテんだろ?なんだってオレ??」 「知るか。てめぇを抱きてぇと思っちまったんだからしょうがねぇだろうが。 銀時観念しろ。諦めて俺に抱かれとけ」 「観念って・・・。」 「心配すんな。責任は取ってやる。っつーか、もう誰にも触らせねぇ…あいつらにも…」 「だぁあぁあああああああ!!!そんな目でそんなこと言うなよ…もうイヤ。 もう勝手にしろ…但し、大人しく抱かれてやんのは今日だけだかんな。 ただの助けてくれた礼で抱かれてやるんだからな!!!!」 「ふん。まだ欲しいって言うまで調教してやる。時間はたっぷりあるからな…」 「やれるもんならやってみやがれ!っていうか、あんた一日中ヤる気ですかっ?!」 「今日だけっつったのはてめぇだろ。約束は守れよ?」 「……もうやだ…銀さんシワシワのじいさんになってるかも…」
観念した銀時に俺は柔らかい笑みと共に口付けた。
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背景素材;篝火幻燈サマ