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Sorrow
// 01*
「た・・・・大変です!!!!!!!!!」 「どうした山崎?」 「あっ、副長!どうしたもこうしたも、あの桂と高杉の連中が三丁目の河原に 集まってるんです!!」 「なんだと?!おい、てめぇら全員聞いたな?」 「は、はい!」 「総悟、お前も一緒に来い」 「そんな楽しげなところ、あんたに言われなくても行きまさぁ〜」 「…いっそのこと地獄まで行って来い」 「さっさと行かねぇと置いて行きますぜ、土方さん。 いっそのことそのまま消えてくれりゃぁいいんですがね」 「てっめぇ…総悟、このやろう!待ちやがれっっ」
「ちっきしょ・・・総悟の野郎、何処行きやがった…ぜぇぜぇ…って、 なんだこの人だかりは…?」
河原に辿りついた俺たちを迎えたのははたくさんの人だかり。 そしてその人だかりは一様に息を呑んでその中心に意識を注いでいた。 どうやら中心には例の二人がいるらしい。 中心は人の山で見えないが、物音がしないところをみると、 まだ始めてねぇか、決着がすでについたか・・・。 この状況から考えれば恐らく前者だろう。 と、
「御用改めだ、野郎ども。お前ら一人たりとも動くんじゃねぇぞ? 特に中心にいる三人!てめぇらが動いた瞬間、主砲が火を噴くぜ」
--三人…?
ふと感じた違和感に首を傾げるが、総悟の登場により、 それは一瞬で吹っ飛んだ。
「お、とっつぁんじゃねぇですかい。とっつぁん、ここにも一発頼みまさぁ!」 「総悟…てめぇ…今までどこにいやがった!!」 「いや、ちょっと偵察に。そんなことより、土方さん「なんだか大変な事になってるな」
思い詰めたような表情で何かを言おうとした総悟の言葉は 思わぬ来訪者によって遮られる。
「近藤さん…あんた、とっつぁんとお上のところじゃ」 「いやあよ、行こうとしてたら山崎が死にそうな顔で組のほうに走って行くのが 見えてな。とりあえずお上にはちょいと顔出して早々に帰ってきたら、たまたま」 「って、結局たまたまかよっ!!いかにも意味ありげな言い方しやがって」 「いやいやいや、とはいえとっつぁんがいて良かったぜ」 「?」 「なんてったってよお、あの桂と高杉が相手じゃ、ちっと俺らも分が悪い」 「あの人ら、そんなに強いんですかい?」 「そりゃもう強え」 「一度手合わせしてぇもんでさぁ〜」 「やめとけ。ありゃあ〜お前でも荷が重いぜ」 「万事屋の旦那の時も同じ様なこと言ってやしたね…」 「そうだったか?」 「で、近藤さん。あいつらと旦那はどういう関係なんです?」 「あいつら?何言ってんだ、総悟?」 「いや、だって…あそこにいるのは紛れもなく万事屋の旦那じゃないですかい?」 「なんだって?」
総悟が指差す方へ近藤さんと俺は慌てて目を向ける。 よく目を凝らしてみれば、人込みの中にちらちらと銀色が揺れていた。 それはここ近辺では紛れもなくあの男しか持ち得ない色だ。
「なんであいつがこんなとこに…」
「お〜〜〜い、てめぇら聞いてっかぁ?そこの三人!人が話ししてる時は 人の方向けって親に習わなかったかぁ〜〜〜〜??って、うぉ…」
ドッゴーーーーーーーーーーーーーーン!!ボカーン!
「いきなりぶちこんだのは誰だ、このボケが〜〜〜〜〜〜!!!」 「人が懐かしい仲間と再会しとるっちゅうに無粋じゃのう」 「って、てめぇは坂本辰馬!!こりゃとんでもねぇ集まりになったじゃねぇか。 てめぇら四人集まって何企んでやがる?!って…」
ヒューーーン。ドッカーーーーーーーーン!
「…………てめぇ、総悟!何しやがる!!敵はこっちだろうが!」 「とっつぁ〜ん、四人、四人って何言ってやがんでい? 桂と高杉と坂本、合わせて三人しかいやせんぜ? それとも、とうとうイかれちまったんですかい?」 「まだまだ現役に決まってんだろうが。 そういやぁ、おめぇはまだガキだったから知らねぇのか? 二十年前…突如江戸に舞い降りた異人「天人」…彼らの台頭により…「って そっからかよ!!!!!1巻からやりなおしか?!!!おいっ! 俺たちが知りてぇのはなんで四人、四人って言ってるかだ」 「おお、なんだトシ〜てめぇもわからねぇのか?耳かっぽじってよく聞けよ? 二十年前…突如江戸に…『だから、それは知ってるっつてんだろうがーーーー!』
ドッカーーーーーーーーーン! by バズーカ×2 ひゅるるるるるるるるる〜〜〜〜ちゃぽん…
『ちっ…』 「……おめぇら、何やってんだ…」 「すいやせん、近藤さん。全部土方さんが悪いんでさぁ…」 「てめっ、総悟!元はといえばてめぇが先にぶっぱなしたんじゃねぇか!!」 「まぁまぁ…落ち着けトシ…とっつぁんが居ない以上、大人しく見守るしかあるめえ。 なぁに、万事屋がいるんだ。いざとなりゃあ、どうにかなる。あいつが俺たちに剣を 向けることはねぇだろ。まぁ、実際のところあいつがどっちにつくかはわからんがな…」 「近藤さん、あんた何か知ってるのか?」 「なんとなくな。ま、俺の憶測でしかねぇが。 昔、攘夷戦争の時に神みてぇに崇められてた四人組がいただろ? ほらトシ、てめぇも知ってるだろ?」 「…ほとんど伝説みてぇなもんだったけどな、俺にとっちゃ」 「俺は一度奴らに出くわしたことがある」 「マジかよ…」 「そのうちの三人はそこにいる桂小太郎、高杉晋介、坂本辰馬だ。 そして残りの一人なんだが…その男は四人の中で最も強く、その鬼神の如き 働きとその様から<白夜叉>と呼ばれていた。 敵はおろか、味方からも恐れられた武神… 銀色の髪、白い装束、返り血を浴びて戦場を駆るその男の目は あんなんじゃなかったがな…」 「まさか…旦那がその白夜叉だって言うんですかい?そりゃねぇでしょう」 「いや、間違いねぇよ。実際、ずっとどっかで会ったことがある気がしてたしな。 それに、それならトシが敵わねぇのも無理はねぇ」 「……あいつが白夜叉…?」 「ん、どうしたトシ。なんか顔色が悪ぃぞ?」 「いや、なんでもねぇ」
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背景素材;篝火幻燈サマ