「ナルトくんvv」

 

任務からの帰り、急に呼びとめられたオレは足を止めた。

本当ならば足を止める必要などない…寧ろ、足を止めるべきではないのだが…

 

「やっぱりナルトくん、キミなんだね?」

「よくオレだってわかったね、イタチさん」

「当たり前じゃないか!愛があればなんだって乗り越えられるものだ!!」

「…愛?!…(やっと分かった…この人カカシ系だ…( ̄Д ̄;;))」

 

溜息を吐きつつ、オレは面に手を掛け紐を解く。

面の下から現れた成長したらそうなるであろうナルトの顔にイタチは一瞬ドキリとするが、

すぐに普段では見せることのない柔らかい微笑を浮かべた。

 

 

 

 

* お見合い - MEETING -

 

 

 

 

「さぁ、ナルトくん!レッツお見合いだ☆」

「本気でお見合いする気なんだ…」

 

嬉しそうにニコニコと微笑むイタチは、寧ろ怖いくらいだ…

お見合いに向けられる情熱が痛いほど伝わって来る…

ナルトは少し引きつつも、人手不足解消の為…と微笑んだ。

 

「とりあえず、ここじゃなんだから…うちに行く?」

「ナルトくんの家…///まだ心の準備が!!いや…据え膳食わぬは男の恥!しかし…

あぁ…俺はどうしたらいいんだ?!」

「……何の心配だ、何の…(ーー;)」

 

イタチは何かの決意をしたように呆れるナルトの手をギュッと握り締めると、

痛くしないからね!と宣った。

 

「……お見合いだろ?…いてぇのか?!」

 

訳が分からないと首を傾げるナルトとニマニマと不気味なイタチはナルトの家へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着!」

「ふむ…良い屋敷だな。これなら子供五人でも、十人でも…」

「……だから何の話だ…っていうか、オレは子供は産めねぇぞ…」←わかってんじゃん…

 

ボソボソと呟くイタチを放って、ナルトはスタスタと屋敷の中へ入って行った。

イタチも慌ててナルトの後を追う。

そして通された和室を見回し、イタチはポンと手を叩く。

 

「ナルトくん」

「なんだよ?」

「やはりお見合いと言うからには正装をせねば…」

「そういえばそうだな…」

「ということで着替えよう」

 

着替えると言っても忍者であるこの人たちは変化をするだけなのだが…

ポン!と小気味のいい音を立てて煙の中から現れたのは、ブラックスーツのナルトと

何故か結婚式ムード満開白タキシードのイタチ…

 

「なぁ、イタチさん。それは違うだろ…」

「ナルトくんこそ…(やっぱりナルトくんは純白のウェディングドレスでないと!!)」

「そうかなぁ?イタチさんよりはマシだと思うんだけど…」

「それでは改めて…」

 

 

ポン!

 

 

次に現れたのは紋付袴のナルトと色は変わったが相変わらずタキシードのイタチ…

 

「……だから…タキシードは結婚式でしょ?これはお見合い!!」

「む…そういうことか!!了解した!」

「ホントに分かったのか…?」

 

ボフンと音を立てて煙の中から現れたイタチの姿にナルトは一瞬笑い死ぬかと思った。

黒い髪はそのままにド派手な振袖、フワフワ付き…その唇には真赤なルージュ…

瞼の濃い目のシャドーが気持ち悪さを助長していた。

ナルトは腹を抱えて大爆笑したために、息も絶え絶えにイタチに訴える。

 

「なんで…女装なんだよ…ゼイゼイ…頼むから…紋付袴にして…」

「しかし…見合いとは男女で行うものだ。ならば、女装しなければならないだろう?」

「…そういう結論にどうやったら辿り着くんだよ…大体だったら見合いしなきゃいいじゃん…」

「見合いは絶対だ!何せ、ナルトくんはゆくゆくはうちは家の嫁になるのだからな!!」

「いやいやいや…オレ男だし…まぁ、とにかくそれだけは止めて下さい…」

「しょうがない…ならばナルトくんが女性役をしてくれ!」

 

ナルトは渋々お色気の術をミックスして、美しい少女に変化した。

流れる長い金髪は高く結い上げられ、仄かに見える項が色っぽい。

細身の真白な身体に艶やかな赤い蝶で彩られた振袖がよく似合っている。

心なしか桃色に染まった唇には薄っすらと紅が差してある。

 

「美しい…それでこそうちはの嫁に相応しい!」

「だからオレは男だ!!」

 

少しだが雰囲気は良くなってきた感じがしたので、イタチとナルトのお見合いがやっとこさ開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの…ご趣味は?」

「対人用の兵器開発を少々///」

「素晴らしいご趣味をお持ちですね!!」

「イタチさんは?」

「貴方に比べたら大した事はないんですが…暁を少々」

「暁って趣味だったんですかっ?!」

「98%趣味です。あのマントが気に入っているんですよ!木ノ葉の忍服はダサすぎますからね…」

「そんなことで里抜けを?」

「ええ」

「しかし何故家族を殺してまで…」

「実は家族を殺したのは私ではありません」

「なんですと?!Σ(; ̄□ ̄)」

「たった一人の夜盗によってやられたのですよ…その男を探し出す為に俺は暁に居るんです」

「それが残りの2%ですか…(家族の仇探しが2%…)」

「はい(ああ、家族の仇探しなんて…俺はなんて男らしいんだ!これでナルトくんも///)」

「ところで…その顔の線はトレードマークなんですか?」

「ナルトくんのそのヒゲの様なものです」

「?ということは、イタチさんも何かを飼っていらっしゃるんですか?」

「サメを一匹ほど///」

「まぁ、サメを…そのサメとはこの金のサメですか、銀のサメですか?それともあの普通のサメですか?」

 

イタチはナルトが指差した方向を見て眉間に皺を寄せる。

 

「鬼鮫!!何故ここに居る?!確か英雄の滝に重石付けて突き落とした筈!」

「なんてことすんだよ…」

「イタチさん…やっぱり騙したんですね!!すぐに帰ってくるから、

ここでいい子にして待ってるんだぞ!って言うから待ってたのに…」

「…騙されんなょ…それ動物捨てる時の常套句じゃねぇか…

っていうか水の中で待ってたのか?!Σマジでサメ??」

「サメの分際でナルトくんと会話するんじゃない!またしても邪魔をする気か…」

 

 

月読!!

 

 

「ふ…俺とナルトくんの見合い中だ。静かにしていろ!!と言っても聞こえないだろうがな…」

「イタチさんって結構残虐非道なんですね…(なんかいい展開になって来た感じ?)」

「いや…こいつに対してだけだ!!誤解しないでくれたまえ!(必死)」

「ねぇ?サメさんのこと要らないの?(サメさんゲットだぜ(*´∇`*))」

 

ナルトは可愛く首をコテンと傾げて、イタチに問いかける。

内心では事が思い通りになりそうな予感で笑いが止らないが、それは尾首にも出さない。

ナルトの可愛らしい様子にイタチは頬を染めながら口を開く。

 

「ああ、必要ないとも!///いつもナルトくんと俺の間を邪魔するサメなど必要なものか…

俺にはナルトくんさえ居ればいいvv」

 

この瞬間、ナルトはしめたとばかりにニヤリと口元を歪めた。

 

「じゃぁさ、サメ頂戴?」

 

最上級の微笑み、そしてナルトの初めてのお願いにイタチは快く鬼鮫をプレゼントした。

ありがと、とお礼を言うとナルトは指をパチンと鳴らす。

そして現れた一人の暗部が鬼鮫をズルズルと引っ張って連れて行った。

 

「鬼鮫さん…なんと憐れな…」

 

その暗部の呟きはナルト以外誰にも聞こえることはなかった。

 

「一匹捕獲完了」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔者も居なくなったところで見合いを続けようか」

「見合いよりもさ、もっと面白いことしない?」

「お、面白い事?!そ、そんな気の早い!///」←イタチさんの頭の中はピンク色。

「早い事なんてないってばよ?本当なら出会ってすぐでも良かったんだけどね」

「出会ってすぐだなんて…そんな///ナルトくん、キミは意外に早いんだな(手が)///」

「そうかなぁ〜?いつもやってることだからわかんねぇ」

「いつも?!誰とやってるんだ?!」←激しく勘違い中

「暗部とか暗部見習いとか、いろいろ」

「いろいろ〜?!なんと羨ましい!!寧ろ憎らしや〜!」

「羨ましい?そんなにしたいのか、オレとしょう『いけません!!』

 

オレと勝負が、と言おうとしたナルトとイタチの間に一人の男と一匹の狐が立ちはだかった。

 

「あれ〜凱亜に父さんじゃん。今までどこ行ってたんだよ?」

「ただいま、ナルト」

「九ちゃんとねぇ、お散歩行ってたの」

「ふ〜ん。珍しいな」

「ついでに温泉に漬かって来た。っていうか九ちゃんって呼ぶな、シメ!!」

「九ちゃんこそシメって呼ばないでよ!!シメちゃんvvでしょ〜?」

「……」

「っていうか、そんなことよりもナルくん!ダメでしょ、僕が居ないからってそんなイカガワシ→事しちゃ!」

「イカガワシイ事?何それ??」

「だってさっき…」

「ああ、あれはオレと勝負しようって話」

「勝負?!あ〜んな事やこ〜んな事ではないのか?!」

「突っ込むとこはそこかよ…父さんの事は何も言わないんだな…っつーかあ〜んな事って何?」

「ナルくんは知らなくていいんだよ?それよりキミ、もしかしてうちはのイタチくんかなぁ?

僕のナルくんに手を出そうなんざいい度胸じゃないの」

「……ふん。既に死んだ人間に俺は負けない!」

「やっぱり四代目だって認識はしてたのか…なんで驚かねぇんだよ…」

「僕を四代目火影だと知っていてそんな事が言えるとはねぇ…」

「な…四代目火影?!」

「…今気付いたのかょ…遅っ!…っていうかさっきまでなんだと思って話してたんだよ…」

 

そんなこと構って居られるかと、開き直ったイタチと楽しそうに笑う四代目の戦いが始まるまであと少し。

レフリーであるナルトが条件を提示する。

 

「もし父さんが勝ったら、イタチさんオレの部下になってよ(=´▽`=)」

「ナルトくんの部下?」

「いやぁ?」

 

潤んだ可愛らしい瞳で上目遣いに見れば堕ちない者など存在しない…

 

「そんな約束なくとも俺はいつだってナルトくんの僕だ!!///」

 

イタチ捕獲完了。

でもとりあえず戦いは勃発するらしい…

何故なら勝者には<ナルくん抱き締め券一年分>が与えられるから。

決めたのはあのお方なので、ナルトがそれをくれるか否かは謎だけど…

あやふやな賞品を掛けた戦いの勝敗は如何に?!(続きません…)