恋は盲目?

 

アカデミーを抜け出してシカマルと遊びに行った帰り道…

もちろん、分身は置いてきた☆

なので、別に下校時間にあわせて帰る必要もねぇんだけど、

あの二人に見つかったらヤバイので

オレたちは何事もなかったように下校する奴らに紛れ込んだ。

あの二人っていうのは、太っちょのチョウジ(デブとは言わない)と

最近サスケ、サスケと色気づいた風を装っている<いの>のことだ。

二人ともシカマルの幼馴染で、オレたちはひょんなことから

暗部なんてやっている。

と、とぼとぼ歩くオレたちの後ろから不穏な空気が近付いてきた。

ポンッと肩に置かれた手がぎゅぅうぅっと置いた場所を圧迫する。

ハハハ…

とオレたちは乾いた笑いを浮かべながら顔を見合わせた。

すると、見合わせた顔の間からニョキッとしかめっ面のチョウジが

顔を出す。

 

「ちょっとひどいんじゃない?二人だけで抜け出すなんてさ」

『やっぱバレてたか…(-_-;)』

「バレるに決まってるでしょ?僕を誰だと思ってるの??」

「や、オレはチョウジも誘った方がいいって言ったんだけどさぁ〜

シカマルが「きったねぇぞ、ナルト!

俺だけのせいにするつもりかよ?!」

「なぁ、チョウジ?いのはいっしょじゃねぇの?」

「え、俺無視?虫ですかっ?!」

「知らない。そういえば、僕も探してたんだよね」

「なっ?!チョウジ…お前まで…ブツブツ

 

うまくはぐらかしやがって…などとブツブツ言っているシカマルは

放っておいて、チョウジと一緒に周囲を見回す。

ふと、校舎の影に白金の髪が見えた気がした。

 

「悪い、オレちょっと行って来るわ」

『?どこに(だよ)?』

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、止めてよ!人呼ぶわよ!!」

「呼んだって来るのはただの下忍ですらねぇガキぐらいだろ?

中忍の俺に勝てると思ってるわけ?」

「……」

「それよりさぁ、いい加減俺と遊びに行こうぜ?」

「…いい年してそのガキに手ぇ出そうとしてるのは誰よ……」

「あぁん?なんか言ったか?」

「別に…」

「ったく、たまんねぇなぁ〜その表情。おら、こっちこいよ」

「だから止めてったら!触んないでよ!!」

 

自分の手を掴む気持ち悪い手を

いのは精一杯力を込めて振り払おうとするが

所詮女の子の力ではどうすることもできない。

と、男の手の力が急に抜けて、いのはスッと腕を引き抜いた。

その勢いでしりもちをついたいのの前には一人の少年が

守るように立ちはだかっていた。

そして、その向こうには前かがみに蹲る男が見えて、

いのはざまーみろと舌をべっと出した。

 

「おっさん、ちょっとおイタが過ぎるんじゃねぇの?」

「くっそ…てめぇいきなり何しやがる」

「だってこいつ嫌がってるってばよ」

「てめぇ、このクソガキが!!!!!!!」

 

男がクナイを少年に向けて投げる。

当然少年にとってはあまりにも動作が鈍すぎて、

本来なら避けるまでもなく片手で止めることも出来た。

が、生憎今はアカデミーに通う忍者の卵で

アカデミー一バカなおちこぼれの身なので、

しょうがなくクナイを受ける事にした。

もちろんいっちょ前に狙ってきた急所は外して。

でもってついでに

クナイを受けた衝撃を和らげる為に後ろに倒れてみた。

 

「ナルトっっっ!!!(何もそこまでしなくてもっ…)」

 

いのは慌てて少年−ナルトに駆け寄る。

 

「いくらなんでもやりすぎじゃない?」

「別にこの程度すぐ直るってば。オレってば痛いの慣れてるし」

「…あんた結構マゾ?」

「そうかもな(笑)」

 

場違いなほど和やかな雰囲気を醸し出す二人に

いつの間にか復帰した男は苛立ちを募らせる。

 

「おい…お前ら!何楽しそうに話してんだ!!」

「あぁもう、うっさいわね!」

 

ガコン!

 

何故か手元にあった鉄の桶をいのは思いっきり投げつけた。

そして見事にクリーンヒットし、いのは満足げに笑う。

 

「まったく。人が下手に出てれば、つけあがって!」

 

実のところ…

いのは言葉では冷めているが、内心ナルトが自分のせいで

傷ついたのが腹立たしかったのだ。

ナルトの傷を手当てする為に、傷口を見てより腹立たしさを

感じ、それは徐々に膨れ上がっていった。

 

「お、おい…いの?」

「あ〜なんかムカついてきた。こいつブッ殺す!!」

「え、いいいいいの、ちょっと待てって」

「何よナルト、止めないでよ!もう我慢の限界よ!!」

「いや、だからってお前…」

 

 

 

 

 

ナルトといのがあーだこーだとやっている最中、

シカマルは壁の向こうから一部始終を覗いていた。

チョウジは助っ人してくる!とどっかに消えた。

 

「ナルト…なんでいのなんか助けるんだよ…(←ヒドイ)

あんなにいのとくっつきやがって…俺だって、俺だって…」

 

爪が食い込むほどに手を握り締めると、

シカマルは決意したように頷き、変化すると現場へ向かった。

 

 

 

 

 

「てめぇら、忍者でもねぇ奴がふざけやがって…」

『あ…(・o・)復活した』

「中忍の俺に逆らったらどうなるか教えてやる!」

 

と、勢いよく飛び出そうとした男は急に引っ張られたせいで

前のめりに倒れこんだ。

 

「な、なにしやがる?!」

「ちょっと子供相手にやりすぎじゃない?」

『その声は、シカマ…………Σ( ̄[] ̄;)!』

 

シカマルも来たのかぁと見上げたナルトといのは絶句した。

 

『…シカマル…何故に女っ?!Σ( ̄Д ̄;;)!』

 

シカマルは何故か女に変化していたのだ。

呆気にとられる二人をよそに、前のめりに倒された中忍が

ムクリと起き上がる。

そして、自分を引っ張った存在を見て、急にデロ〜ンと

カカシみたいにだらしない顔になった。

 

「へぇ、姉ちゃん美人じゃない?俺と遊ぼうよ〜」

「あら、子供の方が好きなんじゃないの?」

「こんなクソガキどうでもいいからよぉ、遊ぼうぜ」

「え…でも、困ります」

 

(…Σな、なにがしたいんだシカマル…Σ(; ̄□ ̄A)

(これって私たちに逃げろってことじゃないかしら?)

(自分が犠牲になるから?)

(そうそう。にしても、さっきからクソガキクソガキって…

挙句の果てどうでもいいですってぇぇぇっ!!)

(お、落ち着け<いの>…だぁ〜もうめんどくせぇ

(なんか言った?(-"-))

(…い、いえ…(-_-;))

 

「なぁ、いいじゃんよ〜ほんっとキレイだね。食べちゃいたい。

ちょっと味見させてよ…」

「や、止めてください!!(ナルト!さぁ、早く俺を助けろ!)」

「逃げないでよ〜」

「ち、近寄らないで下さい!!(ナルト、俺の危機だぞ?

貞操が危ないんだぞ?さぁ、いののように助けてくれ!)」

「うへへ〜」

「いやぁぁぁぁあああぁぁ!!(寧ろいのより激しく助けて!)」

「ふふふ」

「触らないでよ!!(マジで勘弁してください!ていうか、

本気で助けてくれ、ナルト!!!!!!!!!)」

 

((きもっ…))←ヒドッ

(たぶんオレたちが逃げ切った後で男だってバラすんだよな?)

(たぶんね…)

(なんか楽しそうだな。もしかしてシカマルそっちの趣味アリか?)

(それはさすがにないでしょ。何よ、心配?)

(いや、オレたちを逃がす為にやってくれてるだけだろうし…

あ〜なんかめんどくせぇし、逃げるか)

(そうね)

 

『じゃ、シカマルありがとな(ね)』

「えっ?!( ̄△ ̄;)んなぁぁぁああぁぁぁああああ?!

なんでそうなるわけっっ?!」

 

去っていく二人の姿を見つめながら、まるで逃避行のようだ

とシカマルはしみじみ思った。

そして残されたシカマルがどうなったかというと、

結局腹癒せに目の前の気持ち悪い男をボコり、

ナルトたちの後を追っていったとさ。

 

 

 

 

恋は盲目。

頭のいいシカマルでも計画が失敗する事ってあるんだね。

ナルトが王子様のように必ず助けてくれるって

信じていたんだろうけど…

でもそれじゃぁ、シカマルくん<受け>になっちゃうよ?

 

...END