「わかっていると思うが、今日は大事な集会がある。

お前には私の身辺警護を頼みたい」

「御意」

 

白い狐が部屋の中から消えたのを見計らって、綱手は大きく息を吐く。

今日は本当に大変な一日になるだろうと思うと、少し逃げ出したくもなるが、

それもあの愛する子供の為だと思えば、自然に笑みも零れる。

今日はあの子供の生まれた日。

そして…あの子供の運命を大きく揺るがす日だ。

 

 

 

 

最終話 * 就任 - INAUGURATION -

 

 

 

 

部屋に戻り一息つくと、ふと後ろに感じた気配に振り向くことなく言葉を発する。

 

「どうした?」

「ん〜いや、なんとなくだ」

「なんだよそれ」

「めんどくせぇが、俺にもわからん。なんか…今お前に会っとかないといけねぇ気がした」

「わけわかんねぇ…」

 

ククッとナルトの唇から笑いが漏れ、それにつられてシカマルも笑う。

今、この瞬間がもう二度と訪れない、ナルトが遠くに行ってしまうような…そんな気がして

シカマルは笑うのを止めた。

不思議そうに見上げてくるナルトにシカマルはゆっくりと顔を近づけた。

一瞬、ナルトの身体がピクリと反応したが、ナルトは顔を背けることなくそれを受け入れた。

驚いたのは寧ろシカマルの方で、てっきり避けられると思っていたナルトの唇に触れた瞬間

カーッと頭に血が上るのがよくわかった。

 

「な///なんで避けねぇんだよっ!!(/ω\)」

「…自分でやっといてなんだそれは」

 

自分でもメチャクチャな事を言っているのはよくわかる。

が、思考回路が無茶苦茶になったシカマルにはすぐに冷静を取り戻す事はできなかった。

肩で大きく息をしながらナルトにちょっと待てと掌を突き出すと、静かに目を閉じ

大きく数回息を吐いた。

 

「……てっきり避けられるかと思ってたから…」

「なんで?」

「いや、なんでって…俺ら男同士だし…」

「そうだな」

 

ナルトは表情を変えずそれだけ言うと、支度を始めようとスッと向きを変える。

シカマルにはナルトの言葉や態度ががとても冷たく感じられ、思わずナルトを後ろから抱き締めた。

 

「ナルト」

「…なんだよ」

「俺はお前が好きだ」

「オレもシカのこと大好きだ。だからずっとオレの傍に居ろ」

「え?」

「オレの傍で一生働け。死ぬまでこき使ってやる(*´∇`*)」

「……え゙、それって愛の告白??それとも死の宣告か?!Σ(; ̄□ ̄)」

「さぁ、どっちでしょう??w それよりも、時間だ。行くぞ」

「お、おいっ!ナル!!」

 

風のように消えたナルトを追ってシカマルはナルトの運命を変える場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は九尾が里を襲った日であり、通例通り今日もあの忌まわしい慰霊祭が行われる。

綱手の言う大事な集会とは即ちこれのことであり、白狐にとってはあまり気の進む仕事ではない。

これまでは自分に頼む事のなかった警護を何故、今回は頼むことにしたのか、

察しの良い白狐にはなんとなくだがわかっていた。

厳粛に執り行われる儀式の最中…

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…・・・

 

轟音と共に地中から現れたのは巨大なモグラだった。

そしてその上に鎮座しますは…どこかで見たことのある金髪で。

 

『あれはっ…鳥だ!』

『飛行機だ!!』

『いや、四代目だ!』

「……なんか、打ち合わせしたみたいに某読みだな…」

 

人込みの所々で漏れる声に呆れる白狐を尻目に、

周囲は死んだ筈の四代目が現れたことに対してザワザワと騒ぎ始める。

 

「わーーーーーーーっはっはーーーーーーーこんな祭りなど邪魔してやるーーーーーーーーーーー!!」

「Σ(゜Д゜) はあぁ?!何言ってんだクソおやじ…

「(ΦωΦ)ふふふ・・・・地底の国から帰ってきた僕と地底の王様であるこのモグたんの力をあわせれば

こんな里など一瞬にして吹き飛ばせるんだぞぉーーーーー!さぁ、恐れおののけ、わっはっはっは」

「…………これは止めるべきなのか…いや、寧ろ面白いから放っておくべきなのか…」

 

不謹慎な事を考えている白狐の頭をスパコーンと勢いよく殴ると、綱手は早急に四代目を

止めるよう白狐に命令した。

しょうがなく白狐は四代目に向かう。

モグたんと四代目の激しい攻撃に次々と吹き飛ばされていく部下たちを踏み越え、乗り越え

白狐は難なくモグたんの上で楽しそうに里を破壊する四代目の隣に立った。

 

「やぁ、ナルくん。や〜っと出てきたねぇ〜なかなか出てこなくてパパ焦っちゃったよ。

まぁとりあえず座ってお茶でも…」

「そうだな…って飲めるかぁっ!!ったく一体何してんだ、アンタは…」

「ん?何ってナルくんのお披露目会だょ☆」

「はっ?!」

 

訳がわからんと動きを止めた白狐の面を四代目はスッと外すと、大声で叫んだ。

 

「みんな見たよね?」

 

四代目の言葉で皆がコクコクと無言で頷く。

 

「この子ね、僕の息子なんだ。凄く美人さんだよね〜ホント、僕にソックリvv」

 

ところどころでキャーッ、ナルト様!!と黄色い声が上がる。

 

「この里をず〜っと守ってくれてた。この里の守護神で暗部の長なんてカッコイイよね」

『うおおおおおお!ナルト様万歳!!』

『総隊長万歳!!』

 

ところどころで黒い声が上がる。

キョトンとしているナルトの肩を引き寄せ、四代目はナルトの耳元で囁く。

 

「ナルくん、キミはこれまでたくさん辛い思いをしてきた。でもね、キミにはたくさん仲間が居て、

そしてキミを慕ってくれるこんなにたくさんの人たちがいるんだ。

ナルくん、僕が何を言いたいかわかるよね?」

「……」

「時は来たよ。この里はすでにキミの物だ…さぁ、世界制服の始まりだ!!ヽ(=´▽`=)ノ」

 

ボカッ…

 

「…阿呆…まったく…お前も大変だな、ナルトよ」

「そうでもねぇよ、おもしれぇし」

 

怪力で四代目を沈めると、綱手はナルトの横に立ち、民衆を見回す。

そして…スーッと息を吸い込み、そして高らかに宣言した。

 

「今日この日をもってうずまきナルトを六代目火影とする!皆のもの異存はないな?」

 

その言葉に会場から盛大な拍手が溢れた。

 

「…なんか、オレ…嵌められた?」

「まぁ、そう言うな…お前を火影にすることは里の人々か望んだことだ」

「ちぇっ…みんなグルかよ…」

「そういうことだ(^-^)諦めろ、イヤだと言ってもムダだぞ?」

「ハイハイ。んじゃ、しょうがないので六代目火影の任謹んでお受け致します」

「ったく、しょうがないが余計だよ…でも、ありがとうナルト…」

「?」

「縄樹とダンの夢をお前が叶えてくれた。礼を言うよ」

「…どういたしまして」

「ところでお前今日は…グハッ」

「えっ…おい、バアちゃん?!…綱手?!」

 

突然、倒れた綱手にナルトは慌てて駆け寄ろうとしたナルトの前に立つのは

ホゲーッとした顔の上忍…

 

「ナ〜ル〜トォvvvvvvvvvvvおた…え゙…あ…いやぁぁぁあぁぁぁっぁぁ・・・」

 

上忍はピュ〜〜〜〜ンという音と共にお星様にになった。

そして次に現れるは大好きな大好きな兄のように慕う先生。

 

「ナルト、今日はお前のた…「とぉぉぉりゃぁぁあああ!ナルトたん…え゙…こら赤丸お前何すんだよ!」

「ワワワン!!たワンじょウン」

「赤丸〜ワリィ…何言ってんのかわかんねぇよ…」

「キュ〜ン…」

 

赤丸は尻尾を丸めて帰っていった。

と、草葉の陰から一人の可愛らしい黒髪の少女が現れる。

 

「ナルトくん!…え…っと・・・おたん…きゃぁ///」

 

バタン…

 

「え…ヒナタ…ちょ…お前何でオレ見ると倒れるんだよ?!( ̄Д ̄;;」

「それはしょうがない事だ、何故ならお前は美しすぎるからだ…」

「…シノ…?お前、頭ん中にも虫飼ってんだろ?」

「…ナルト、人には言っていいことと悪い事が…グハッ…まだ、何も言っていないのに…パタ」

「ナ〜ルトvvおたんじょ…いったぁい!!なにすんのよ、このイノブタ!!」

「何ですって、このデコ!!」

「ぬあぁんですってぇぇえ?…覚悟しなさい、イノブタ!」

「そっちこそ…」

 

一瞬にして大乱闘会場と化したモグたんの上で訳がわからんという顔で、

ナルトは一番の被害者であるモグたんに少しでも被害が減るよう自分も含めピッチリと結界を張っていた。

その中にするりと侵入してきた黒髪の男にナルトは振り返るとニッコリと微笑む。

 

「よう」

「ったく…俺が最初に決まってんだろうが…なぁ、ナルト?」

「ん〜?」

「ナルト、誕生日おめでとう」

「ありがとう、シカ(*´∇`*)っつーことで、誕生日プレゼントはお前でいいや」

「……え?///」

「言っただろ?ずっとオレの傍に居ろって」

「ナルト…俺…」

「オレの補佐として、これから宜しくな〜御意見番殿」

「え゙…御意見番かよ?!」

「やっぱそうだろ?オレの一番傍に居て欲しいのはお前だから」

「///ナル…」

 

そしてナルトはシカマルとラブラブ平和に暮らしましたとさ、めでたしめでたし…

 

 

 

 

 

 

『って、んなわけあるかぁぁああぁぁぁぁあ!!ナルト(様)は俺のものだ(私のものよ)ーーーー!!』

 

穴の開いた結界の中で再び乱闘が始まり、ナルトは目をパッチリ開けてキョトンとしてはいるが、

とても楽しそうに目を細める。

そんなナルトの隣でシカマルも嬉しそうに笑う。

 

「お前も苦労が絶えねぇな」

「そうでもねぇよ」

 

一層笑みを強くするナルトを後ろから優しく抱き締める。

シカマルの引き締まった腕に触れながら、ナルトは小さく囁いた。

 

「オレ…いつの間にこんなに幸せになってたのかなぁ…?オレってすげぇ幸せもんだ…みんなありがとうな」

 

ナルトの美しい笑みを見て、皆も本当に嬉しそうに笑みを浮かべた。

これからはあんな冷たい視線のない、もっと明るくて楽しくて幸せな里になる…

そう里中が確信した瞬間だった。

その後…その平和はナルトがこの世を去るまで続いたという…

めでたしめでたし。

 

 

 

 

HAPPY BIRTHDAY NARUTO!!

いやぁ〜ギリギリセーフでした。

あ、でも多分絶対書き直します。

今回はとりあえず版で…自分が満足いかない作品を載せるのは気が進まないんですが(-_-;)

でもやっぱりナルくんの誕生日には間に合わせたかったんです(・_・、

書き直した暁には期間限定のフリーになります。

頑張ります!

ギャグが不調なんですが…<ナルくんに幸せになってもらいたい!>

そんなARKYの気持ちが伝われば幸いです。

ということで、書き直しました…が、実は全然変わってない(汗

とりあえず、火影就任ですべてのお話の最終話です!

今後は、気が向いたら抜けてるところを書いたり突然番外編書きます。

最後に、このお話は壱拾万打記念も兼ねておりますので

期間限定なしでフリーとさせていただきます。

もしよろしければ、貰ってやってください(o*。_。)o

お持ち帰り方法→

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報告などは特に必要ありません。

ここまで読んでいただいてありがとうございました☆