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「マズイな…他の者たちから離れてしまったか…」
ナルト、キバ、ヒナタと共に任務に出たシノは、突然の猛吹雪に阻まれナルトたち を見失ってしまった。 おまけに雪は一向に止む気配がなく、前方は何も見えない… この猛吹雪では虫たちに追跡させることも出来ず、シノは偶然見つけた洞窟に 身を寄せた。
//肆−シノナルver.//
「おーい!!」 「?!」
これからどうしようか、と思案していた矢先、どこからか自分を呼ぶ声が聞こえた。 気のせいかとも思ったが、その声は途切れることなく自分の方へ向かっている。 シノは声を張り上げて、その声に応えた。
「おーい!シノーーー!!」 「俺は此処だ!!」
その声の主は、シノの声に気が付くと直ぐに洞窟の前に現れた。
「良かったぁ〜シノ無事だったってば(*´∇`*)」 「ナルト、一人なのか?…他の二人はどうした?」 「キバたちは近くにあった小屋に置いて来た」 「何故、俺を探しに来た」 「なんでって、だって心配だろ?」 「……」 「仲間じゃねぇかよ、オレたち」 「……仲間…か」 「それより、さみぃよ…もっと奥に行こうぜ?」 「ああ」
洞窟の奥の方は、風が多少は入ってくるが暖かかった。 が、それはあくまで外に比べてということであり、寒い事には変わりはなかった。 何か燃やせる物がないかと探してみたが、転がるのは石ころばかり。 荷物の中にもたいしたものはなかった。 ナルトはいそいそと大きなリュックサックの中から食料を取り出す。
「まずは腹ごしらえだってば」
ナルトはシノに食料を投げ渡す。 それを受け取ると、シノは礼を言ってそれを口に含んだ。
「しかし、お前が食料を用意しているとは思わなかったな…」 「そうか?」
いつもならば、もっと突っかかってきそうなものだが、 ナルトは短くそう言うと、それ以上は何も言わなかった。
「それにしても寒いな…」 「そうだな…どうやら今夜はここで野宿しないといけねぇみたいだし…」 「なんだか、今日は大人しいな」 「オレ、寒いの嫌いなんだよ」 「そうか。俺も……寒いのは余り好きではない」 「そっか…」
ナルトはボーっと何かを考えているようだったが、一つ嘆息すると上着を脱いで、 中に来ていたシャツも脱ぐと、そのシャツをくしゃくしゃと丸めた。 何もなかったように上着を着直すと、ナルトは徐に見知らぬ印を組む。 すると、小さな炎がそのシャツに引火し、周囲が仄かな暖かさに包まれた。 しかし、所詮薄いシャツ一枚では燃えられる時間は限られており、 直ぐに炎は消えてしまった。 チッと舌打ちすると、本当に忌々しそうにナルトはその燃えカスから目をそらした。
「しょうがねぇな…シノ、服を脱げ」 「?!」 「最終手段だ。身体温めねぇと、そのまま寝たら死ぬってばよ?」 「いや…しかし…」 「お前も寒いだろ?」 「ああ……わかった」
シノはガバッと服の前面を開放した。
……ウッギャーーーーーーーーーーーーーーー!!(_TдT) ←注:ナルトです。
「だから言っただろう…」
さてここで問題です。 一体何が出てきたでしょうか?
@超ムキムキボデー A大量の虫がうじゃうじゃしているボデー B胸毛ボーンボデー
正解は… 勿論A番!!
シノは身体をうねうねと這いずっていた虫たちで結界を作ると、 未だに怯えているナルトを自分の腕の中に抱き込んだ。
「暖かいか?」 「うん、暖かいってば……てか、良かった…普通の身体でε-(;ーωーA」 「何を想像していたのだ…」 「……聞くなってば…」 「それにしても…よく俺の居場所がわかったものだな…」 「オレってば天才だからvv」 「…そうか…それにしてもあの雪の中を見つかるかどうかもわからないのに 飛び出すとは、勇気というより寧ろ無謀だ!でも、良かった…」 「?」 「俺一人ならば、今頃どうなっていたか…お前が居てくれて良かった」
ナルトは驚いたようにシノを見上げ、シノはそんなナルトにニコリと微笑んだ。 相変わらずサングラスはしたままだが、服で隠れていた口元がはっきりと孤を描いたのだ。
「シノも笑うんだな…」 「お前は俺をなんだと思っているんだ…」
プッ…と、どちらからともなく笑う。 一頻り笑い終えると、適当な石を枕にして二人は寝転がる。 寝転がると、肌蹴た服の間から互いの身体のつくりがよく見えた。
「思ったより綺麗な筋肉をしているな…」
シノは興味深そうにナルトの肌に掌を滑らせる。 ナルトはくすぐったいと身体を捩りながら、オレは鍛え方が違うんだってば!と笑った。 鍛え方の違い…そんな簡単な言葉では説明がつかないほど綺麗で、 そして質の良い筋肉に違和感を覚えたが、ナルトが自分に擦り寄ってきた為に 身体の観察が不可能になり、諦めてナルトを抱き締めるとシノは眠りについた。
翌朝。
「シーノ!シノってば!!」 「ん…」 「起きろってばよ!」 「なんだ…朝か…?」
ムックリと起き上がると、ナルトに見えないようにサングラスの下の目を擦り、 服を調える。
「外はいい天気だぞ?多分キバたちもオレらを探してる、早く行こうぜ?」 「ああ」
洞窟の外に出てみれば、昨日の事が嘘だったかのように空は青く澄み渡り、 降り積もった雪がキラキラと輝いていた。 同じくらい輝くナルトの髪にサングラスを掛けているというのに眩しくて目を細める。
「綺麗だな…」 「?……ああ、なんか一面がキラキラしてて綺麗だよな」 「…そういう意味ではないのだがな…」 「……なんか言ったか?ま、いっか。行こうぜ」 「行くと言っても、一体どこへ行くのだ…」 「多分こっち」
曖昧なナルトに呆れつつも、シノはナルトの隣を歩いた。 真白な雪の上に二人並んだ足跡がついていく… なんとなく…ナルトはそれが嬉しくてフッと笑みを漏らす。
「どうした?」 「いや…なんでもねぇよ」
少し歩いた頃、向かいから誰かがこちらに向かってくる気配がした。 警戒する俺とは正反対にナルトは堂々とまるで誰がやって来るのかわかっているかの ように前へ進んだ。
「おい、ナルト…」 「ヒナターーー、キバーーーー!!シノ居たってばよ!!!」
躊躇いもなくナルトが大声で叫ぶと、さっきまで警戒していた向こうの気配が 速度を上げて自分たちに近付いてきた。 近くまで来てみれば、その気配が誰だかはっきりとわかり、シノは警戒を解く。
「良かった…ナルトくん急に居なくなるんだもん…シノ君も無事でよかった」 「?…ああ。ナルト、お前何も言わずに出てきたのか?」 「出て行くも何も、さっきナルトがこっちだって急に走り出して、 いきなりどっかに消えちまったと思ったら、目の前から二つ気配がこっちに向かってくるし、 マジで焦った…」 「ワワン…」 「さっき…?さっきまでナルトはお前たちと一緒に居たのか?!」 「ああ、そうだけど?何だよ、お化けでも見たような顔しやがって…」
シノはナルトに目を向けた。 ナルトはヒナタに急に居なくなって悪かったと謝っている…ということは本当にさっきまで ナルトはヒナタたちと一緒に居た事になる。 そうなると昨夜自分と一緒に居た人物は誰なのだろうか… 深刻な顔をして考え込むシノに一瞬、ナルトが目を向けてニヤリと笑った…気がした。
「いろいろ…聞かなければならないことがありそうだな…」
シノはこの後、ナルトに何を聞こうか…どうやって聞き出そうか…と楽しそうに頭を巡らせた。
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