雪の舞散る中、木々を渡る忍が二人…

 

「吹雪いてきたな…急ぐぞ、カカシ」

「そうだね、ナルトvv」

「真面目に、やれ…」

「はーい…ごめんなさい…」

 

任務は至って簡単だった。

雪の国に訪問中のとある大名の暗殺及び大名が雇った抜け忍集団の即時抹消。

暗殺はカカシに任せ、抜け忍たちの相手は自分が請け負った。

しかし、その帰り道…二人は激しい吹雪に巻き込まれてしまった。

前も見えない程の激しい吹雪に、自分の五感を最大限に研ぎ澄ませながら先に進んでいく。

目の前には広く開けた大地…間もなく見える筈だった街の明かりは一向に見えない。

そして二人が一歩踏み出した先…そこは断崖絶壁だった。

 

 

 

 

//弐−カカナルヘタレver.//

 

 

 

 

頭を振り、なんとか意識を取り戻した白狐−ナルトの顔は一瞬にして青褪めた…

 

「カカシ!カカシ!!」

 

自分を庇って崖から落ちた時に出来たのだろか…身体の至る所が傷つき、

真赤な血を流していた…

頭を打っているかもしれない…慌てて後頭部を確かめるが、怪我はしていないようで

ホッと息を吐く。

と、少し先に古い小屋を発見し、ナルトはそこまでカカシを引き摺って運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

小屋の中には自分たちを暖める事の出来る機材も物も何もなかった。

相当古いのか、強い風に吹かれる度にミシミシと音を経て、

隙間から冷たい風が侵入する。

一通り手当てをし、自分の血も与え、怪我自体は回復したものの

カカシは一向に目を開けることなく、ただブルブルと震えていた。

チィと舌打ちし、ナルトは自分たちの周囲に小さな結界を張り、風を凌ぐ。

だが、カカシの震えは止まることはなかった。

風がなくなったとはいえ、極寒の雪の国…

ナルトは考え込むように、カカシをジーッと見つめた。

そして、決心した。

 

「身体暖めるには、これしかねぇよな…多分…」

 

ナルトは自分の衣服とカカシの衣服の前をはだける。

ピタリと肌と肌を密着させ、自分たちを包むように衣服を身体に巻きつけた。

ハァ…と白い息を吐きながら、カカシをギュッと抱き締める。

 

「結構暖かいんだな…」

 

そのままナルトは眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝…

先に目を覚ましたのはカカシだった。

目の前には自分よりも幼い、幾分か痩せた、筋肉質な割りに柔らかい子供の肌。

カカシは自分が何故今このような状態に置かれているのか、記憶の糸を手繰ってみた。

 

「……ナ…ルト?」

 

見上げれば、自分を抱いて眠っていたのは予想通り大好きなナルトであり、

カカシはクッと唇を噛んだ。

 

「なんて…もったいない事を!!」

「……」

 

自分の肌に頬摺りするバカ男をいつ止めようかと、ナルトは困っていた。

なんとなくこんな事をした自分が恥ずかしくてカカシを見ることが出来なくて…

回復してくれたのは嬉しいが…

 

「ああ、ナルトゥ…ナルトの素肌…ゲヘゲヘ…ウフフ〜」

 

ああ…流石に限界だ…と、その時、

 

ゲシッ

 

「グハッ…誰、誰なの?!」

「ったく…油断も隙もねぇ…」

「ゲッ…シカマル!!」

「ゲッ…じゃねぇよ、このバカカシ…」

 

カカシを足でゲシゲシと鬼のように蹴っているシカマルにナルトはプッと噴出す。

シカマルはそうだった…と本来の目的を思い出して、ナルトの方を見た。

 

「ナルト、大丈夫か?いろんな意味で」

「?大丈夫だぞ、オレは。傷も何もねぇ…そこのバカカシのお陰でな」

「俺のお陰なんてそんなぁ…///ナルトーーーーーーーーーーーーvv」

「行かせるか、ボケ」

「グハッ…」

「まぁまぁ…(-_-;)とりあえず、帰ろうぜ?また吹雪になったら大変だし」

「そうだな」

「俺はもう一回くらい…ウヘ…」

 

バキッ x2

 

『この変態がっ!!』

「勝手にもう一泊でも、二泊でもしとけ…」

「うぅ…ナルト…( ┰_┰)」

「ったく…おら、置いてくぞ?バカカシ」

「///ナルト!!」

 

小屋の外には真白な雪が太陽の光を浴びてキラキラと輝き、

木ノ葉隠れの里に向かう二人の少年と一匹の犬の間には楽しげな笑いが零れていた。