いつもいつも…ナルトは俺の為に料理を作ってくれる。

ナルトの作る料理はどれも本当に美味い…

俺は時々こんなに幸せでいいのかと思う…ナルトの手料理を独占して、

ナルトを独占して…本当に俺は幸せだと思う。

でも、そんなこと簡単には口に出せないから…だから俺は決心した。

 

 

 

 

//お食事//

 

 

 

 

長期任務で出掛けていたカカシ班が今日の夕方には帰ってくる。

きっと疲れているだろうし、絶好のチャンスだと思った。

時間はたっぷりある。

材料は全部揃えた。

イルカ先生にちゃんと作り方も教わった。

後は俺の気持ちを込めて、ナルトの為に作るだけだ。

 

「よしっ!」

 

気合を入れて俺は台所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

悪戦苦闘の末出来上がった料理に我ながら上出来、と微笑みながら、

俺は卓上にセッティングを始める。

 

「そろそろ帰ってくる頃だよな…」

 

ウキウキと高鳴る胸を押さえながら、ナルトが帰ってくるのを待つ。

喜んでくれるかなぁ…少し不安も過ぎる。

こんなにも人を待ち遠しいと思ったことがあるだろうか…

と、コツンと何かが窓を叩く音がして、俺は窓に目をやる。

叩いていたのは総隊長専用の真白な鷹。

何かあったのか、と不安な面持ちで鷹からメモを受け取る。

 

 

--シカマルへ

悪い、急な任務が入ってちょっと遅くなる…

オレの手料理は明日までお預けだな。今日は適当になんか食ってくれ。

                                   ナルト--

 

 

「クソッ…やっぱ慣れねぇことはするもんじゃねぇな…」

 

ボーっと側にあった椅子にストンと力なく座ると、目の前にある自分が作った料理を眺める。

バカみたいだ…と、泣きそうになる自分を本当にバカみたいだと思った。

一瞬卓上の料理を捨ててしまおうかと思った。

けれど、ナルトの為に一生懸命作った料理がなんだか可哀相に見えて…

我武者羅にその料理を食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。シカ〜?なんでこんなとこで寝てんだよ…」

 

卓に突っ伏すように眠っているシカマルの髪をサラリと撫で、卓上の有様に目を見開く。

 

「なんだよ、これぇ…ったく」

 

卓の上の至る所に食べ物が散らかっていて、まるで獣が食い漁ったみたいだった。

しょうがねぇ奴…と嘆息してシカマルに掛ける為の毛布を取りに行こうとして、

ふと、台所の様子がいつもと違うように見えて立ち止まる。

調理道具の置き場所や、調味料の置き場所がいつもと違う。

それは自分以外の誰かが台所を使った証拠…

ナルトはハッとシカマルの方を振り返る。

 

「そっか…そういうことね…」

 

妙に納得しつつ、ナルトは取ってきた毛布を掛けると食い散らかされた料理に手を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

自分を包む柔らかい感触と自分の側で聞こえる小さな物音に、

シカマルは薄っすらと目を開け、目の前の光景に我が目を疑った。

 

「ナ…ルト…?なに食ってんだよ…」

「お、起こしちゃった?悪ぃ…遅くなってごめんな。それとただいま、シカマル」

「おかえり…っつーかお前なに食ってんだよ!!」

「何って、食べちゃダメなのか?」

「そういう訳じゃねぇけど……冷たくて…美味くないだろ?」

「いや、美味いよ?」

「それに…いろいろグチャグチャになっちゃってるし…」

「そうか?別に美味いからいいんじゃねぇの?」

「そういうもんかよ…」

「そういうもんだよ」

 

話している間にもナルトはパクパクと冷めた料理を口に運んでいく。

本当に美味しそうに食べているナルトを見ながら、ナルトもこうやって俺が

食ってるの見てたのかなぁ…なんて考えたりして。

 

「なんだよ…気持ち悪ぃな…」

「うるせぇ///」

 

いつの間にかニヤニヤと笑っていたらしい俺を箸を止めたナルトがジッと見ていて、

赤くなった顔を見られたくなくてナルトから顔を背けた。

そんな俺を見て、ナルトは面白そうに笑いながらまた手を動かし始めた。

結局、卓上の冷え切った料理たちはナルトの腹に全て収まることになった。

一通り片付け終わり、ナルトがソファーに座ってボーっとしている俺の隣に腰を下ろす。

ただそれだけの事が嬉しくて…手元にあった本を取って、何もなかったように読み始める。

ナルトはまたニコリと今度は嬉しそうに微笑んだ。

なんとなくナルトも自分と同じ気持ちでいてくれるんじゃないかって思った…

 

「…シカマル、その本…上下逆だぞ?」

「…え…あっ…」

「相変わらず、シカってバカだな…」

「うるさい…」

 

慌てて本を戻してみても、結局滑稽なままで…俺は大人しく本を元の位置に戻した。

と、ソファーに深く凭れ掛かる俺の肩にナルトが自然に頭を乗せる。

 

「シカ…今日、ありがとな」

「……何がだよ…」

「メシ。美味かった」

「///そっか…」

「オレ、イルカ先生以外誰もご飯作ってもらったことなんてないだろ?なんか…

愛されてるな、って感じがした。オレってすげぇ幸せ者だと思った」

「…当たり前だ。俺の愛がいっぱい詰まってんだからな」

「そっか///」

「いつも、いつも…俺はそう思ってきた。お前の作る料理食いながら、俺ってマジで

すげぇ幸せだって。だから、それをお前にも知って欲しかったんだ」

「…そっかぁ…うん、すげぇわかった」

 

キレイな、本当にキレイな微笑を浮かべながら頷くナルトを俺は急に抱き締めたいと思った。

 

「ん?どうした〜シカ??」

「…俺さ、お前が好きだ。凄く…物凄く好きだからな」

「そんなこと、ずっと前から知ってる…オレもシカが大好きだから。凄く大事だから…」

「俺も知ってた」

 

二人で顔を見合わせ一頻り笑い合うと、どちらからともなく唇を合わせる。

何度も何度も口付けを交わす。

乱れる呼吸の中で、ナルトが呟く。

 

「寝よっか…」

「そうだな…」

 

ナルトを簡単に抱き上げ、寝室へ向かう。

 

「お前、やっぱ軽いよな…もっとメシ食えよ」

「だってオレ、お前が美味そうに食べてるとこ見てる方が好きなんだもん」

「お前なぁ…」

「いいじゃん、今日みたいにシカが作ってくれたらさ〜

そしたらオレいっぱい食べるし、一石二鳥?」

「…もう作らねぇよ」

「なんでだよぉ…ちゃんと言っといてくれれば、オレ何があっても飛んで帰ってくるよ?」

「……別に、今日遅くなったから作らないとか言ってるんじゃなくて…

やっぱり俺はお前が作った料理が食べたいから」

「///そっか…じゃぁさ、偶には一緒に作ろうぜ?それならいいだろ?」

「そうだな。それならいいかも…エプロン姿のナルトと一緒に料理か…」

「………変態」

「チガッ……」

 

言い訳しようとするシカマルの唇にチュッと音を立ててキスすると、

ベーッと舌を出して、ナルトは冗談だよ、と呟いた。

 

「ニャヤロウ…」

「えっ…シカ…ちょっと待て…オレ任務で帰ってきたばっかりなんだけど…」

「お前が誘ったんだろ?」

 

ニヤリと美しい笑みを作ると、シカマルはナルトと共にベッドに埋もれていった。

 

 

 

 

言い訳:手違いで消してしまって…書き直しました。ちょっと違う話になってしまった感じですね…(汗