シトシトシトシト
雨の日は嫌いだ…酷く孤独を感じさせる。 オレを責める様にたくさんの涙が降り注いで、オレを破壊しようとする。 逃れ様のない人々の苦しみに、自分が汚されていく気がする… こんな日は誰かの側にいたいと切に願う…
//雨の日//
ナルトはいつも雨の日は家になかなか帰りたがらない。 最初は雨に濡れるのが好きだ、なんて言葉を鵜呑みにしてたけど… どうやらそうではないらしい… 雨に濡れるナルトが俺には涙を流しているように見えたから。 今日もナルトは誰かを待つように任務を終えても森の中に佇んでいる。
「ナ〜ルト、何してるの?もう皆帰っちゃったよ〜?」
俺の言葉が耳に入っているのかいないのか… ナルトはただ忌々しげに口元を歪め目を閉じている。
「カカシせんせー」 「ん?な〜に??」 「カカシせんせー…カカシせんせー」
何度も何度も俺の名前を呼ぶナルト…一度も俺を見ようとしない。
「ナルト、こっち向いて?」 「カカシ先生…オレ、生きてていいのかなぁ?」
雨の音に掻き消されてしまいそうな程か細い声…今にも消えてしまいそうな程儚い気配… ナルトがこのまま居なくなってしまいそうな気がして、俺は我武者羅にナルトを抱き締めた。 驚いた表情で俺を見上げるナルトに、素早く口布を下ろし口付ける。 深く深く…ナルトの全てを喰らいつくす様に激しく口付けた。 いつもなら自分から求めるような事は絶対にしないナルトが、一生懸命に俺の舌を追い絡め取る。
「ナルト…」
俺はナルトの腰に手を掛け、一気に押し倒した。 僅かに草の香りが一面に漂う。
「ナルト…ナルト…」
今度は俺が何度もナルトの名前を呼ぶ。 ナルトが確かにそこに居る事を確認するように何度も口付けた。 ナルトの頬を流れるのは雨なのか、それとも涙なのか… 俺はそっとナルトの目尻を舐め上げると、ほんのり塩の味がした。 ゆっくり唇を離してナルトの顔を見つめる。
「ナルト…泣いてるの?」 「ねぇせんせー、もっとオレの名前呼んで?」 「ナルト?」 「…もっとオレの事愛して?」
俺は今度は優しくナルトに口付ける。 ゆっくりナルトの服に手を掛け、丁寧に上着を脱がす。 雨に打たれたナルトの白い肌を流れる雨の川はキラキラと光り輝いていた。
「やっぱりナルトはキレイ…」 「違う!!」
突然叫んだナルトに俺は一瞬瞠目し、すぐに目をスッと細める。
「ナルトはキレイだよ…心も身体も透き通るほどキレイ」 「オレはちっともキレイじゃない!たくさんの血で汚れたオレがキレイなわけがない!!」 「ううん…ナルトはこの里の誰よりも、この世の誰よりも純粋でキレイ…汚いのは俺」 「せんせー汚いの?」 「汚いの」
おどけた様に言う俺にナルトがちょっと笑ったような気がした。
「ならオレと同じだ」 「同じだね」
ナルトの手がスッと俺の頬に伸びて、ナルトのキレイな藍い瞳が俺を射抜く。
「カカシせんせーずっとオレの側にいてよ。お願いだからオレを独りにしないで…」
ナルトの叫びに俺はゆっくり頷き、優しく微笑む。 自分がこんな風に笑える事を俺は今日初めて知った。
「俺でいいの?」 「せんせーがいい…」 「俺もナルトの側に居たい…だからずーっとずーっと側に居る。絶対一人ぼっちにしない」 「ホント…?」 「ホ〜ント」
嬉しそうに微笑むナルトをギュッと抱き締め、耳元で囁く。
「ねぇ、俺の名前呼んでよ」 「カカシせんせー…」 「先生じゃなくってさ…カカシって呼んで?」 「…カカシ」 「もっと」 「カカシ…カカシ…」 「も〜っと」 「カカシ…」 「ナルト…ナルト…俺ナルトの事が好きだよ。だからもう独りなんて思わないで」 「ありがと、カカシ…オレも…オレもカカシが好きだ」
ナルトは啄ばむ様に俺の頬に、額に、顎に、瞼に口付ける。 二人の視線が絡み合い、ゆっくりと近付き重なり合う。 俺はそっとナルトの肌に指を滑らせると、ナルトはピクリと反応する。 我慢しきれなくなった俺はナルトの首筋を甘噛して囁く。
「このまましちゃっていい?」 「バカ…///風邪引くからダメ」 「え〜じゃあ、帰ってする」 「///」
この日以来ナルトは雨が少しだけ嫌いではなくなったみたいだ…
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