「そんじゃ、ワシはちと情報収集に行って来るからのぉ」 「…またいつものとこだろ…このスケベ!」 「フン、そんなの褒め言葉にしか聞こえんのぉ」
自来也はハッハッハと笑いながら足取りは軽快に歓楽街へと消えていった。 ナルトは大仰に溜息を吐くと、宿へ向かう。 宿屋で手続きを済ませ、ゆっくりと大好きな風呂に漬かり汗だくだった身を清める。 と、風呂から出たナルトの部屋をノックする者が… 知らない気配にナルトは警戒しつつ扉をゆっくりと開く。 そして突然の思わぬ来訪者にナルトは目を見開いた。
「アンタ誰だってば……(うちはイタチ?!)」
//抱っこ//
驚くナルトにニッコリと笑い掛けると、イタチはナルトと目線が合うくらいの高さに腰を屈め、 ナルトに向かってチョイチョイと手招きをした。 ナルトはその手招きに恐る恐る近付く… そして目の前に辿り付いた途端、イタチは何を思ったかナルトの腰に手を回し ナルトをギュッと抱き締めた。
「な…なにするってば?!」
クンクン…
「え゙?!」
イタチは一生懸命にナルトの首筋に顔を埋めて鼻をクンクンさせていた。 その表情は恍惚としていて、正に至福の時!と叫ばんばかりである。
「ああ…これが…」 「は?!Σ(; ̄□ ̄)」 「素晴らしい…vv」 「イタチさん、次は俺の番ですvv」 「鬼鮫、煩い…月読!!」
ぶくぶく…
「仲間じゃないのか…(汗)」 「あんなのいいんだよ…それよりも…ナルトくん、お色気の術とやらをやってくれないか?」 「ハイ?!…別にいいけど…それにしてもお色気の術ってそんな有名なのか?!」
何故里抜けした筈のイタチが、それも里でもごく少数の人間しか知らない術を知っているのか ナルトは不思議そうに首を傾げた。 と、そこに自来也が丁度良く(イタチ曰く、間の悪い事に)帰って来る。
「ナルトを放せイタチ!」 「チッ…アディオス、ナルトくん!」
自来也を見止めるとイタチは派手に舌打ちして名残惜しそうにナルトを離し、即座にその場から消えた。
「何なんだ一体…っていうかペット(鬼鮫)忘れてるし…」
唖然とするナルトを見つめながら、自来也は安堵の息をこっそりと吐いた。
「危うくナルトにバレるとこだったんじゃのぉ…にしてもお色気の術まで調べ上げているとは… 暁はカナリ注意が必要じゃのぉ」
またある日。 やっとこさ綱手を発見したナルト一行は綱手との遭遇を果たす。
「おや、自来也じゃないかい。ということは、その子供が…」 「綱手様…この子に間違いありません!」 「お前、名前は?」 「うずまきナルト」 「そうかい。あーナルト、ちょっとこっちに来な」 「何だってば?」
ギュ…
「ほぅ…確かに柔らかく抱き心地がいい」 「……(またかよ…)」 「綱手様!次は私の番です!!さ、ナルトくん?」 「もうちょっといいじゃないか」 「ダメです。さぁ、ナルトくん」
綱手とシズネに交互に抱き締められながら、ナルトは小さく嘆息した。
「…何なんだよ…マジで」
そして1週間後… ナルトに再び魔の手が迫る…
「ナルトくん…まさかキミまでここにいるとは…」
カブトは嬉しそうな…そして困ったような表情でナルトを見つめる。 そしてとうとう蛇と再会… 大蛇丸の粘っこい視線がナルトに撒きついた。
「あら、ナルトくんじゃないvv」 「……もしかして…」 「ナルトくん、こっちへいらっしゃい?」 「…イヤだってば…アンタはイヤ…」 「失礼ね、だったらこっちから行くわ」 「げ…」 「危ない!ナルト君!!」
カブトは大蛇丸の腕が使えない事をいい事に素早くナルトの側に移動し、 手を伸ばす大蛇丸から颯爽と奪い去る。
「た…助かった」 「な…何をするのカブト」 「ふ…ナルトくんは僕のものです」 「…はい?!」
キュ
「ああ…これは確かに…心地いい///」 「…カブトさんまで…一体何なんだよ…」
旅の途中、自分に向けられる好奇の視線や熱い眼差しに普段のナルトなら 有り得ないほど怯えつつもどうにかこうにかナルトは無事里に帰還する。 しかし里に帰還してもそれは変わらなかった…
「お帰り、ナルト。さぁ!」
手を広げて待つイルカ先生は最上級の笑顔だ…
「どうした、さぁ来い」 「…」 「ほら、下忍のナルトなら来ないとダメだろ?」 「…い…イルカ先生、ただいまってば…」
ナルトは少し引き攣りつつも、下忍のナルトがいつもするようにイルカに抱きつく。
ギューーーーーーッ
「ああ、こんな感じかぁ…///こうやって抱いてみるとなんだかいつもと違うなぁ〜」 「イルカ先生まで…」
「おい、うずまき」 「…な…なんだってば?」
ギギギと音がしそうなほどゆっくり振り返る。
「よいしょ」
アスマは軽々とナルトを抱き上げ、その首元に顔を埋める。
「…こいつもか…」 「ん?なんか言ったか?」 「なんでも…」 「にしても、ホントに抱きごこちいいなぁ、これで女だったら最高だぜ」
スリスリ。 ゾワゾワ…
「お髭が痛いってば…」 『なんかその台詞萌え…///』 「え…」
微妙にアスマとユニゾンした声に振り返ると、紅が目をキラキラさせながら立っていた。
「お帰り、うずまき」 「紅先生、おひさしぶりってば」 「そうだ、ちょっとこっち来なさい」
ナルトを呼ぶと紅はハイ、とポケットからお菓子出す。 それを下忍のナルトとしては受け取らない訳にはいかず、ニッコリとお礼を言いつつ受け取る。 その様子に紅の目は更にキラキラと輝いた。
「ありがとうってば」 「///可愛いじゃないか…」
ギュ☆
「…やっぱり?」
かれこれ何人この様に抱き締められただろうか… そして遂に親玉が出現した。 親玉、もといカカシはニヤニヤと締まりのない顔でナルトの顔を覗き込む。
「ナ〜ルトvv」 「来ると思った…で?」 「ナルト、抱っこさせて?」 「イヤだ」 「なんで〜?」 「もう十分だ!!一体何だって言うんだ、どいつもこいつも!」 「ん〜教えてあげるから抱っこさせて?」 「知ってるのか?!教えろ!!」 「これ」 「…」
それは何でもない、自分の師匠が執筆した大人向け本<イチャイチャパラダイス>の最新刊… その名も<イチャイチャエロティック>だった。 ナルトは恐る恐るページを捲る。 内容はよくあるネタで、平凡な少年だと思っていた子供が本当は超美少女の変化した姿で、 その後はちょっと内容は話せないが、まぁよくある展開だ。 それはいい…だが、その設定に問題がある… 主人公は金髪碧眼の少年暗部… 名前こそ違うが、面の下に隠れた素顔は正にナルトそのものだった… そしてご丁寧にもヒゲは付いている上に… その少年の真の姿である美少女はナルトがお色気の術で変化した姿の丸写しだった。
「じゃ約束の抱っこねvv」
鼻の下を伸ばして、嬉しそうにナルトに頬擦りするカカシに ナルトは熱中して読んでいる為、反撃せず… それに調子に乗ったカカシはいつの間に口布を下ろしたのかナルトの首筋に口付ける。 ナルトはそんなことすら気にならないほどに集中し、その手は強く本を掴んでいた。 そしてその本の中に気になる一文を発見する。
--その柔肌の触り心地は正に子供のようにプニプニと柔らかく、その首筋からは甘い甘い香りが漂っていた--
「全ての原因はこれか…」
と、ナルトはワナワナと震え、本をグシャッと握り潰して投げ捨てると、 怒りの余り拳を振り上げ、それが見事にカカシにクリーンヒットした。
「ふざけるな!!」
ピュ〜ン(カカシが飛んでいく音)
「ナ〜ル〜ト〜!!(TДT)」
飛んで行ったカカシに目もくれず、ナルトはその犯人のもとへ急行する。 耳を研ぎ澄まし、ゲヘゲヘと不気味な笑いが聞こえる場所を探す。 そしてとある温泉にその声を発見したナルトは風の様にその場所に舞い降りた。 相変わらずな白髪の大男を殴り飛ばし、ナルトは強い殺気を発しながら男に近付く。
「犯人はてめぇか…」 「エヘ(●´ω`●)ゞ」 「エヘじゃねぇよ…」 「だって…ワシのもろ好みだったんじゃのぉΣ(=∇=ノノ」 「ふざけんな!!」 「まぁ、そういきり立つな!ワシはお前の為にだのぉ…(必死)」 「……オレの為だと?」 「里人のお前を見る目が変わったと思わんか?(;゜∇゜)」 「……そうだな」
どいつもこいつもイヤラシイ顔でオレを見る。 その中には以前の様な冷たい視線は含まれていなかった…が、しかし…
「こんな気色悪い視線を受けるくらいなら、前の方がマシだ!!」 「うっ…煤v 「体よく誤魔化そうったってそうはいかねぇぞ?」 「な…ナルト、待て!!(焦)」
ウッギィャーーーーー!!
自来也はナルトの手によって、地中の奥深くに埋められた…
「当分出てくんな…」
ナルトは忌々しげに呟くと、その場を後にした。
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