「ねぇナルくん」

「なんだよ?」

「新年会やろうょ☆」

「新年会?」

「ナルくんのお友達も呼んでさぁ〜ババーッとやろうよヽ(=´▽`=)ノ」

「ババーッとねぇ…」

「だってナルくん、お友達今度紹介するからって言ったっきり連れて来てくれないんだもん!」

「…そういえば、忘れてた…」

「ね、だからやろ〜?絶対楽しいょ?」

「だけどアンタの説明どうするんだよ…」

「あ〜それならいい考えがあるんだ(*´∇`*)」

 

ごにょごにょ…

 

 

 

 

//暗部新年会//

 

 

 

 

「ここでいいのかな?」

 

一枚の紙切れを広げて子供たちはあーでもないこーでもないと悩みながら

漸く辿り着いた森の中の大屋敷。

数日前、下忍三班で合同任務を行っていた時に突然一羽の白い鷹が

落としていった一通の手紙。

その手紙には新年会の誘いと今広げている地図が添えられ、送り主には

暗殺戦術特殊部隊統括総隊長の名が刻まれていた。

参加者はサスケ、サクラ、キバ、シノ、ヒナタの五人。

ナルトは何か用事があるらしい。

猪鹿蝶は家の用事だとかで欠席らしい。

いつもなら張り切ってやってくる筈のナルトの欠席…それほどまでに重要な用事とは

なんだろうと皆が不思議に思ったが、何も聞けず…そして現在に至る。

子供たちの中で一番元気のいい少年−キバが屋敷の入口で声を張り上げる。

 

「こんにちわーーーーー!!」

「ワワーーーン!!」

 

はーい!という声と共に屋敷の中から同い年くらいの美しい少女…もとい少年が顔を出す。

 

「いらっしゃい(^-^)」

「すごい美人だ…///」

「ワワワン///」

「…キバ、よく見ろ…この人は男だ」

「え?!」

 

キバの驚きように少年はクスクスと笑いながら自己紹介をする。

 

「暗殺戦術特殊部隊四番隊所属、暗部名は琥珀<コハク>と言います。

一応れっきとした男ですょ(^▽^)」

 

そんな琥珀を見ながらサスケとサクラは首を傾げる。

 

「あの〜琥珀さん。どこかで会ったことないですか?」

「俺も同じことを考えていた。どこかで会わなかったか?」

「さぁ?どうでしょうね」

 

曖昧に返事を返し、琥珀は自分について来るように促した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

琥珀に連れて行かれた場所は屋敷の裏庭。

庭には特設ステージらしきものや、屋台が所狭しと並んでいた。

まるでお祭りみたいな光景に子供たちは目をキラキラとさせる。

 

「まずは総隊長殿にご挨拶しましょうか?」

 

子供たちは琥珀の言うがまま、ついて行った。

そしてステージの前に辿り着いた時、皆が一様に目を見開く。

目の前にはナルトと同じ金色の長い髪を項辺りで結った青年がステージの下に

敷かれた畳の上で胡坐をかいて座っていた。

 

「カッコイイvvねぇ、ヒナタ」

「う…うん///」

 

そんなサクラたちを一瞥すると琥珀に微笑む。

 

「よう琥珀、態々案内させてすまないな」

「いえ、ところで漸さんはどこです?」

「多分どっかの屋台…たしかお好み焼き屋だったと思うけど?」

「ありがとうございます、じゃ〜彼らよろしくお願いしますね」

「ん〜」

 

曖昧な返事の白狐を気にも留めず琥珀は漸と呼ばれる者を探しに行った。

 

「琥珀に漸…なんだかなぁ〜」

「どうした、サスケ?(やっぱ名前安直過ぎたかな〜)」

「え…俺の名前を知っているのか?」

「勿論。オレを誰だと思ってる?里の事でオレが知らないことなど殆ど存在しねぇよ」

「え〜じゃあ、私の名前も知ってます?」

「春野サクラ。その隣が日向ヒナタ、犬が乗っかってるのが犬塚キバで、サングラスが

油女シノだろ(知らねぇわけはねぇんだけどな…同じ下忍だから)」

「キャ…///」

「すげぇな!暗部総隊長って!!」

「ワンワンvv」

「うむ。それに美しい…///」

 

白狐は下忍たちにニッコリと微笑むとパンパンと手を叩き、皆を注目させる。

 

「おいお前ら、そろそろ始めるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

暗部の新年会というからには皆が顔を隠していたりするのかと思ったが、

そんなこともなく…その上楽しげな笑いが響いていた。

下忍たちは暗部に対するイメージが一転して、それまでの緊張など吹っ飛ばして

思い思いに楽しんだ。

その間、楽しそうに見知らぬ暗部に話しかけられ、たくさん話もした。

それが何かも知らずに…

 

「それじゃ、これから恒例のビンゴ大会をやるよ☆今回の司会は四代目火影と

特別ゲスト…」

「三代目火影で行います…( ┰_┰) なんで儂がこんな事を…」

『四代目火影に三代目火影?!』

 

驚く下忍たちにどう説明していいか判らず、暗部たちは誰一人として口を開かなかった。

まぁ、いずれ知る事になるだろう…と。

それよりも重要なのはビンゴ大会だ!

皆慎重にビンゴカードを選ぶ…下忍たちには何故そんなにまで必死になるのかわからなかった。

その賞品を知るまでは…

 

「今年の賞品は早いもん勝ち〜変な術使ってもわかっちゃうからね〜」

 

誰も三代目と四代目を騙せるとは思っていない…総隊長白狐を除いては。

だがその総隊長を含む四神は不参加。

つまりズル無し運任せの真剣勝負が此処に始まろうとしていた。

 

「それでは今回のゲスト!下忍の皆さんステージまでどうぞ」

 

子供たちはなんのことやらわからずステージ上に上る。

 

「各隊、ターゲットは決まったかのぉ?」

 

暗部たちが頷いたのを確認し、スタートの合図をする。

 

「それでは始めようかのぉ〜」

 

ジャラジャラジャラ…

 

「最初の数字は35!」

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

「続いて28じゃ」

「1番!」

 

『リーチ!!』

 

見事に五隊の隊長たちが揃い、戦いは白熱していた。

皆が一心に自分の隊に多く人が入りますようにと、しかも優秀な人が!

と一生懸命に願った。

全ては休みを得る為、一人でも多くの人材を獲得する事が各隊の最重要課題なのだ。

 

「18番!」

 

(▼∀▼)ニヤリッ

 

「ビンゴだ」

 

最初のビンゴは四番隊隊長魚市。

白狐の息が掛かった隊ということで白狐が何かしているかもしれないがそれは自分たちも

そうなので誰も突っ込めない。

 

「さぁ誰を選ぶ?」

『はい?!( ̄◇ ̄;)』

 

ここで驚いたのは当然選ばれる本人たちで。

 

「うちはまずうちはサスケを頂く。写輪眼は育てば最強だからな」

「ではうちはサスケくん、四番隊所属決定!!」

「え゙…」

 

訳もわからないという状態でおろおろしているサスケを魚市はまるでまぐろを

引き摺るようにズルズルと持っていった。

そんなサスケを見ながら、なんとなく自分たちが呼ばれた趣旨を理解してきた

子供たちは最後まで残ったらやだなぁ〜とか、でも選ばれたくない…とかいろ

んな思いでドキドキしていた。

 

「20番、っとおっとビンゴが出たみたいだねぇ!」

「またしても四番隊のようじゃのう」

 

やはり四神といえど白狐には勝てないのか…と会場中から溜息が漏れた。

ここで日向ヒナタが奪われた。

流石に青瀧と源武は焦ってきたようで、目はもうマジになってきている。

朱寂に関しては元々やる気がないのでなんとも…

白狐はというとフフンと暢気に茶を啜っていた。

こうしてサクラは三番隊、シノは二番隊に引き取られていった。

残るはキバ一人。

この時点で四番、五番を除いて全員が白旗を振った。

 

「16番」

「よっしゃ〜ビンゴだ!!」

 

元気良く声を上げたのは勿論派手な攻撃大好きな五番隊隊長劫火で…

 

「犬塚キバ、派手にやろうぜ!!最初っからお前を狙ってたんだぞ(o^∇^o)」

 

最後まで残ってしまい涙ぐんでいたキバを励ますようにバシンと背中を叩く。

キバは嬉しそうに笑い、赤丸もワンワンと嬉しそうに吼えた。

 

「んじゃ、賞品がなくなったところで〜次の賞品だよ〜!!」

 

実はこれを狙っていた輩も多いのだ!

何せ、この空クジなしのビンゴ大会…賞品は超豪華!!

武器やら禁術書やら流石暗部、貴重なものがゴロゴロなのだ。

ビンゴにならなかった者はそのままに、既になった者、不参加の者はここから参戦も可能だ。

勿論白狐も此処から参戦する。

そして一番の目玉!

 

「ナルくんの生写真〜超頑張って撮ったから期待してね☆

パパである僕のお墨付き、マジで可愛いよ〜〜〜〜」

「うむ、儂も欲しいわ///」

 

年初め、怒るのもバカらしくこの時ばかりは白狐も何も言わないのだ。

そして四神の面々も当然嬉々として参加する。

ナルトと聞いて賞品だったサスケたちも参戦を決めた。

長期任務に行かせた筈のカカシも、当然イルカも捕まってる筈のミズキも、

里抜けした筈のイタチに大蛇丸、音に居る筈のカブトまで…

更には我愛羅たちやら、自来也やら、森の動物たちまで参戦する。

この時ばかりはオールスター勢揃いなのだ。

こうして馬鹿馬鹿しいビンゴ大会は続いていく。

そんな中、不思議そうに呟く者が一人…

 

「何でナルトが出てくるの?っていうか四代目の息子なの?さっき白狐も息子

だって言ってなかった?てことは、白狐はナルトなの?」

 

サクラの言葉に下忍たちは白狐の方に目を向けた。

その視線を受けて白狐たちはニヤリと笑うと変化を解く。

 

『ナルト?!それに、シカマルにいのにチョウジまで!!』

「改めて、暗部統括総隊長白狐ことうずまきナルトです」

 

ニッコリと微笑む顔は正しくさっきまで見ていた総隊長と同じ美しい笑顔で

皆がポッと頬を染める。

そしてそんな彼らに見せ付けるようにシカマルはナルトの肩に腕を置いて寄り添う。

 

「ナルトの相棒兼恋人の朱寂です。めんどくせぇが宜しくな」

 

そんなシカマルの頭をポコッと殴りいのが口を開く。

 

「いつから恋人になったのよ、バカシカ。諜報担当の青瀧よ、

これから宜しくね、サクラ」

「もう、ずっと隠してたのね!今度いろいろ教えてよね」

 

サクラといののやり取りを楽しそうに見ていたチョウジも自己紹介する。

 

「僕が医療担当の源武だよ〜宜しくね、みんな」

「っつーことで…『今年も宜しくお願いします!!

『こちらこそ宜しくお願いします!』

 

ナルトに出来た新たな仲間たち…その様子を眺めながら四代目をはじめ

暗部の者たちも喜びを隠しきれないようで皆一様に微笑んでいた。

ね、旨くいったでしょ?とナルトの耳元で囁くと、四代目はステージへ上がって行った。

 

「よ〜し、自己紹介も終わったところでビンゴ大会続けるよ〜(*´∇`*)」

『は〜い!!』

 

楽しい楽しい新年会は続いていく。

明るく楽しい一年でありますように…

ナルトにとって良い一年でありますように…皆の心には同じ願いが灯っていた。