「俺が忠誠を誓うのはお前だけだ、ナルト」

 

ネジは跪き、ゆっくりとナルトの手の甲に口付ける。

 

「只今この瞬間より、日向ネジ−暗部名、青瀧の暗殺戦術特殊部隊所属とする」

「御意」

 

それにしても…と三代目は呆れたように嘆息する。

 

「火影を目の前にして言ってくれるの…」

「…申し訳ございません」

「構わぬよ。儂はナルトに仲間ができた事が本当に嬉しいのじゃ。

だがちょっと大事な孫を取られたような気分じゃて…」

「三代目…」

「ナルトの良き味方になってやってくれ。儂は火影という立場上出来ぬ事が多すぎる…」

「御意に…必ずナルトを守ります」

「頼んだぞ、ネジ」

 

三代目は満足そうに微笑んだ。

 

 

 

 

 

//敬愛//

 

 

 

 

 

 

不可触の高貴なる神…俺を暗闇から救い出してくれた愛しき光。

俺はナルトの隣でナルトと常に共に在りたいと願った。

ただそれだけで俺は救われると…

しかし…日増しにそれだけでは満たされなくなっていく自分に俺は焦っていた。

額の咒印の様に俺とナルトが確かに繋がっているという証拠が欲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ナルト、俺と契約しないか?」

「契約?」

「この咒印の様にお前と俺を繋ぐものが欲しい」

「そんなものオレたちに必要あるのか?」

「あるさ」

「なんだよ?」

「お前はすぐにどこかに飛んで行ってしまうからな…」

「オレはどこにも行かねぇよ」

「それにお前の隣に立てるのは俺だけじゃないからな…俺とお前だけの特別が欲しいんだ」

「それって独占欲?」

「そんなものだ」

「クク…お前つくづく変わった奴だな…」

 

そう言ってナルトはキレイな微笑を浮かべる。

湖に反射した月光がその笑顔を照らし、俺はそのナルトに見惚れた。

 

「ナルトはキレイだ…」

「キレイじゃねぇよ」

 

そっぽを向きながら俺に左の掌を向けて差し出す。

 

「手ぇ貸せ」

 

俺はゆるりとその掌の上に右手を重ねた。

ナルトは自分の右手の親指をカリッと噛み、溢れた血で俺の手の甲に不思議な記号を記し、

俺の右手と自分の左手を使って見た事もない印を組む。

組み終わると手の甲の不思議な記号はスッと消えた。

 

「ナルト、これは…」

「お前がどこに居ても、お前が危険な時はオレが助けに行く。

何かあったらオレを呼べばいい…寂しい時、悲しい時、どんな時でもオレはいつでも側に飛んで行く」

「…ナルト…」

「オレはいつでもお前の側に居られる。これじゃだめか?」

 

そう言ってナルトは俺の手の甲に口付ける。

その姿はとても神聖なものに見えて、俺はクラリと眩暈がした。

 

「今はこれで我慢してやる」

 

ナルトが口付けた場所に俺も唇を寄せる。

 

「可愛くねぇ奴…」

「お互い様だ」

 

嬉しそうに笑うナルトの横で、俺は満足げな笑みを浮かべた。