「う〜ん…どうしたものか…」

「な〜にうんうん言ってるの、ナルくん?」

 

フワリとどこからか現れた四代目は後ろからナルトを抱き締めながら問いかける。

ナルトは相変わらず驚きもせず、一枚のチラシを四代目にも見えるように持ち上げる。

 

「新春恒例かくし芸大会?」

「うん…ばあちゃんがエントリーしといたから出るようにって。ったく、新年早々ふざけやがって…」

「いいじゃない、別に出るぐらい」

「いいわけあるかっ!白狐としてならまだしも、下忍のうずまきナルトとしてエントリー

しやがったんだぞ!!」

「だから別にいいじゃない?」

「こんな新年のめでたい行事にオレが出てみろ…一瞬で面倒臭い事になるのが

目に見えてるだろ?」

「……そっか…ごめんね、ナルくん…」

「だから謝んなくていいって。オレは別になんとも思ってないし…っていうか、マジでどうしよう…」

「取り消しは出来ないの?」

「取り消しに行ったら、受付の男が口すら聞いてくれねぇし…ばあちゃんは頑固だし…」

「もう出るしかなさそうだね…って、ねぇナルくん?」

「なに?」

「これってナルくんの欲しがってた例の巻物じゃない?」

「んな馬鹿なこと…あっΣ」

 

優勝賞品の下に小さく書かれた文字…+四神天地之書白虎巻(限定版)

ナルトが集めていた四神天地之書、既に朱雀、青龍、玄武は揃った。

しかし白虎だけがどうしても手に入らなかったのだ…

まさかこんな近くにあったとはな…

賞品獲得の為ナルトは出場を決意した。

 

 

 

 

 

 

「どうやら餌にかかってくれたようですね、三代目」

「そのようじゃな( ̄ー ̄)流石は四代目というところかのぉ…」

 

その夜…火影執務室には妖しげな二つの笑いが木霊していた…

 

 

 

 

BANQUET

 

 

 

 

新年会当日…

普段は絶対に参加しない行事…されどその中の催しモノであるかくし芸大会に

出るからにはしょうがない。

かくし芸大会までの間は変化して、なるべく人込みを避けて行動した。

そしてその時はやってくる…

 

「これより新春恒例かくし芸大会を始めます」

 

優勝賞品を目指して、一般の里人から暗部までありとあらゆる階級の者たちが集結した。

これはかくし芸…忍とて里人に負けることもありうる。

ナルトは絶対に勝てる方法をその素晴らしい頭脳で導き出していた。

絶対に勝てる方法を…そして旨くすれば、自分が出た事で凶事となってしまった

吉事を更なる吉事に変えることが出来る方法を。

 

「エントリーナンバー15番はなんと四神の一人、朱寂さんです!!」

『おおおおおおお〜』

「…どうりで最近ずっと来なかったわけだ…シカの奴」

「滅多に会えない方なのでインタビューしてみましょう!こんにちは!!」

「こんにちは(^-^)」

『キャーvv』

 

朱寂の柔らかい微笑みに黄色い歓声が上がる。

審査員は観客の皆さん=これも朱寂の計算のうちなのだ…

 

「ちなみに今回はどうして参加を?」

「優勝賞品の一つ、四神天地之書白虎巻は総隊長白狐がずっと捜し求めていた

モノなんです」

「おお!とても隊長想いですねぇ〜」

「シカ…お前って奴は(T^T)」

「なんとしても白狐より先に手に入れて今度こそアイツを俺の物にしたいんです!」

『は?!Σ(; ̄□ ̄)』

「あの…え〜と…じゃぁお願いします!!朱寂さんで花咲か爺の舞です」

 

ポンと音を立てて赤い三角帽子に長い顎ヒゲ、爺ファッションに身を包んだ朱寂が

アラエッサッサと踊り始める。

 

『阿波踊り?!』

「恥を捨てたな…シカマル( ̄Д ̄;;)」

 

踊りつつ素早く印を組んでいるのが見えてしまうナルトは半分呆れながら見ていた。

これなら勝てるな、と確信しつつ。

そして

 

 

花遁 花咲か爺の術!!

 

 

『火遁?!』

『…舞はどうした…?!』

 

朱寂が術を発動した瞬間…会場を取り囲んでいた桜の木々が一気に花を咲かせた。

それには半ば詰まらなそうにしていた会場中が沸いた。

 

『うわぁ!!』

『キレイ…』

「これはポイントが高い!!素晴らしい、マーヴェラス!!流石は里の守護神です!

私、いささか興奮気味でございます〜!!」

 

風に乗って飛んで来る花弁を見ながら、ナルトは単純にキレイだな…と眺めていた。

そんなナルトを横目で見たシカマルはナルトの余裕ぶりに勝ったという満足感などすぐに

消え失せてしまったとか。

 

 

 

 

 

 

 

「エントリーナンバー16番。おお〜っとなんたる偶然、いや必然か?!続いても四神の

一人、最強の諜報部隊を裏で仕切る青瀧さんです!!」

『おおおおお!すげぇ美人だ(*´∇`*)』

「これまた場内からハートが大量に飛んでいます!青瀧さんは一体何故出場を?」

「白狐より先に四神天地之書を入手して、それをネタにお嫁さんにしてもらうのよ!!」

「…そんな事考えてたのか、いの…( ̄Д ̄;;)」

『……』

「またしてもですか…( ̄Д ̄;;)こうまでなってくると男女限らず愛される総隊長白狐に会って

みたくなりますねぇ…では、青瀧さんでキューティーハニー!!」

 

倖田○未バリの衣装に変化した青瀧のキューティーハニーに男どもはカナリの率で殺られた。

鼻血続出で年明けだというのに救護班が借り出され場内は一時混乱の渦に巻き込まれ、

青瀧は強制退場させられる事となった。

この時点で青瀧失格。

 

 

 

 

 

 

 

「非常事態が回復したところで大会を再開致します。いや〜危なかった…私も危ういところ

でした…」

 

鼻にティッシュを突っ込んだ状態で言われても説得力ねぇよ…と誰もが思った。

 

「それではエントリーナンバー16番…続いて出てきたのは同じく四神の源武さんです…

もうイヤ…」

「失礼だねぇ〜」

「(;゜〇゜)…失礼しました。あのぉ〜つかぬ事をお聞きしますが、皆さん一緒にお申し込みに

なられたんですか?こんなに重なっているとは…」

「ん〜皆五代目が勝手に登録しちゃったからね〜別に僕たちが望んで出た訳じゃないんだ」

「そうなんですか…その割には皆さんやる気満々な気がするんですが…」

「そりゃそうだよ。あの巻物が賭かってるからねぇ〜」

「そんなに凄い巻物なんですか?!私のような凡人にはただの巻物としか思えないんですが」

「ただの巻物さ。普通の読み物なんだけど、僕らにとって重要なことはあれを白狐が集めてる

ってこと。朱雀巻〜玄武巻までは揃ってるのに丁度最後の白虎巻が手に入らなくて困ってた

からね」

「ということは、源武さんは真面目に白狐さんの為に巻物を?(やっとまともな人が…)」

「そうだね。僕は山盛りの肉が食べたいな〜白狐と一緒なら尚美味しいし☆」

「…目的は優勝賞品の和牛一年分ですか…しかもおまけでやっぱり白狐さんと取引するん

ですね…」

「そりゃ勿論でしょ(o^∇^o)」

「なんてハングリーな人たちばかりなんでしょう…里を守っているのはこの人たちだと思うと…うぅ…

それにしても皆さんの口ぶりからすると白狐さんも取得の為に参加されているんでしょうか?

五代目に勝手にエントリーされているという事から考えると残りはたった一人なんですけど、そんな

わけないですよね…それではお願いします!源武さんで面白い事」

 

どこからか出てきたマイクの前…ちょこんと立って喋り始める姿はまるで某女性芸人を思い出す…

 

「面白い事を言います」

 

ゴクリ。皆が息を呑んで静かに待つ…どんな面白いギャグが出てくるのか…

 

「ニクはニクいね」

 

ひゅるるるる〜

 

『なんだか寒くなってきたな…』

『ああ…桜が散っていきます、母さん…』

 

五分経過…

 

「牛の白黒はパンダに似てると思う」

『ふぅ〜ε-(ーдー)』

「終わりです。ありがとうございました」

『やっと終わった…』

「源武さんでした…ありがとうございました〜此処まで苦痛の時間が未だ曽あったでしょうか?!

ある意味貴重な時間をありがとう!(T-T)」

 

 

 

 

 

 

 

「さて続いて参りましょう。次は白狐さんです!と言いたいところですが、皆さんご期待のところ

申し訳ない…この名簿には総隊長白狐の名は残念ながらありません。しかし彼もまた五代目

のご推薦です…期待せずに参りましょう。下忍のうずまきナルトくんです」

 

ナルトの名前が出た瞬間、会場はザワザワと騒ぎ始め、中には殺気丸出しの者もいた。

そんな騒ぎなど予想の範疇であったのだろう。

丁度良く綱手がやってきてステージの前にドンと座る。

ステージ前は下忍たち、カカシ、イルカ、四神とナルトの信奉者たちが集まった。

そんな豪華顔ぶれにナルトに向かっていける者など居る筈もなく、ナルトは安心してステージに立つ。

 

「キミはどうして参加したんですか?」

 

あれ、とナルトは五代目を指差す。怒りを向けるなら出したアイツに向けろとでも言うかのように。

 

「それはそうなんですが、それでも出るからには何か目的があるでしょ?やっぱりお肉かな?」

「まぁ、そんなとこだってば。オレとしては一楽の食券一年分の方がいいけどさ〜」

「キミらしいですねぇ〜では、がんばってください(*^_^*)」

 

司会者は優しくナルトの頭を撫でる。

 

「それではナルトくん、今日は珍しい特技を見せてくれるみたいです。張り切っていきましょう!!」

 

ナルトは真っ黒い布を頭から被る…自分の姿が少しでも見えない方がいいだろうという配慮も

込めて…そして自分の口の動きを読み取られない為に…

 

「オレってば、降霊やります!!」

『降霊?!』

「三代目と四代目をこの世に呼び寄せちゃうってばvv」

『えっ?!Σ(; ̄□ ̄A』

『ナルト(ナルくん)何を…』

 

一番驚いたのは他でもない呼び出される予定の二人である…

ナルトが芸をしている最中に乱入し、里人にナルトの秘密をバラしてしまおう計画

…まぁ、五代目に関しては初めての里行事を盛り上げたいというのもあり、その為に

四神を駆使したりもしたのだが…

そんな計画の準備中だった二人は慌ててステージ付近に駆けつけた。

そんな二人に気付いたのか、ナルトはニンマリと笑いながら言霊を飛ばす。

 

--考えるならもっと捻った計画にしろよ。

--ナルくんなんで知ってるの?!

--この旨く整いすぎた状況でわかるだろ…それに父さん、昨日計画表出したまま寝てたよ?

--この馬鹿シメ!!

--ごめんなさぁ〜い…(´・ω・`)

--まぁ良い…どちらにしろ皆の前に出れるのだからのぉ。

--っつーことで協力しろよ(*´∇`*)巻物の為だからな!これで貰えなかったら一生恨んでやる…

--が…頑張ります!!×2Σ(; ̄□ ̄)

 

交渉が成立したところでナルトは不可思議な言葉を呟き始める…

三代目や四代目を呼び出すと言われては里人たちも真剣だ。

愛する里長が狐の呼びかけなどに応えるものか!!と馬鹿にする者も居たが、次第に周囲の

雰囲気に巻き込まれ、信じてみたくなってくる…

 

「全能にして永遠なる神よ、すべての被造物に汝への賞賛と栄光と人間の救済を義務付けた

る者よ。われ汝に嘆願せん。われに太陽の霊団より彼の人を寄こしたまえ…ってばよ」

 

ポンポンと音を立てて煙の中から三代目と四代目が現れる。

単に移動しただけなんだけど…

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』

 

里は割れんばかりの歓声と拍手に包まれた。

朱寂たちは悔しそうに、やられた…と呟く。

それを見てナルトは勝ったな…と鼻で笑った。

 

「あの〜ホントに三代目と四代目ですか?ナルトくんの影分身とかでは…」

「な〜に言ってるの!ナルくんがそんなことする訳ないでしょ!!

僕の可愛い可愛いナルくんなのに!!(`へ´)プンスカ」

『僕の可愛いナルくん?!』

「そうだよ〜ナルくんは僕の息子だからね」

『なぬぅ?!Σ( ̄□ ̄)』

 

この時点でナルトはシマッタと思ったが時既に遅し…馬鹿父とじいさんが嬉しそうに

ペラペラと…そりゃもうペラペラと…なんてったって計画通りですから…

 

「ナルトは里の守護神白狐じゃて…こやつのお陰で里は守られておったというのに…

お主たちときたら…」

「そうだよ〜僕のナルくんが居たからこそ、キミたちは助かったって言うのに!!

ナルくんは九尾の器になってくれた里の英雄なんだからね!」

「これからは儂らが里に常駐して見張るからな!(これで木ノ葉丸たちにも毎日会えるぞ)」

「僕もナルくんを守るからね!!(これで任務にも一緒に行けるvvウフフ〜)」

「(ノ_-;)ハア…」

 

ある意味ナルトの苦労が増加した…面倒臭い暴力がなくなると思ったのに…

 

 

 

 

 

 

 

「それでは結果はっぴょーう!!今年は四神まで参加するという超白熱した戦いが

繰り広げられました。優勝者は観客の手で選ばれるのですが、今回は圧倒的多数

で勿論この方に決定いたしました!!」

 

ダカダカダカダカ…

 

参加者がステージに並ぶ中、スポットライトが一人の少年を照らす。

同時に会場から割れんばかりの歓声が上がった。

 

「それは勿論、四神及び暗部を束ねるそう若き総隊長、そして四代目と三代目をこ

の里に再び与えて下さった、里の英雄うずまきナルトくんです!!」

 

ナルトの周囲に四代目を始め友人たちが集まる。

そして待ちに待った賞品の贈呈…肉は勿論源武に丁重に進呈した。

 

「お前のずっと欲しがってた巻物だよ。ナルト、良い年をな」

「ありがと、ばあちゃん。どっちかっていうと面倒臭い年になりそうだけどな」

「…そうだな(-_-;)」

「それでは皆さんご一緒に!」

 

 

新年明けましておめでとうございます!!今年も何卒宜しくお願い致しますvv

 

 

「司会進行はARKYがお贈りいたしました〜皆さん良いお年を!!

そしてこんな駄サイトですが、本年もご愛顧の程宜しくお願い致しますm(_ _"m)」

 

 

 

 

 

 

 

「っていう初夢だったんだけどさぁ…」

「いいじゃん、なんとなくめでたくて?」

「…どこがだよ…オレはもっとまともな夢が見たかったよ…」

「例えば俺とラブラブしてる夢とか?」

「///バカか…」

「ま、確かに俺の隣で寝ながら見る夢じゃないよな…( ̄Д ̄;;)」

「うぅ…とりあえず、今年も宜しくな」

「こちらこそ宜しく」

 

結局、夢落ち?!

 

 

 

 

 

 

 

あけましておめでとうございますvv

書くのにとてつもなく時間が掛かってしまいました…

弐万打御礼&年賀フリー小説ということで書いてみたんですけど〜

まだ納得しきれない部分が多いんですが、ええい載せてしまえ!と

勢い余ってUPしちゃいました( ̄Д ̄;;)

そんなもんフリーにするなよって感じですが

日頃お世話になっている皆様に喜んで頂ければ幸いに御座います

最後の夢の話し相手は皆様のご想像にお任せ致します

お持ち帰り方法→

ソース内の<ここから〜ここまで>というコメントの間をコピペして下さい。

夢部分に限り、夢で終わらせたくない方は切り取っちゃって構いません(笑)

フリー期間:〜参万打御礼小説まで

報告などは別に必要ありません。

ホントに弐万HITS有難う御座いました!!

 

皆様が幸福な一年を過ごされる事を心からお祈り申し上げます

本年もARKISH ns+を何卒宜しくお願い致します<(_ _)>