//24 Hours//○○の24時間
Middy 12:00....
「訳がわからない…」
そう呟いてこの場をナルトが立ち去るのを見届けると、シカマルはふぅ…と一度呼吸を整え、 とりあえずは三代目にナルトが戻った事を伝えるべく、執務室へと足を向けた。
「おい、じじい…どういうことだ?」 「何がじゃ、ナルト」 「何がじゃねぇ!!なんで…なんでオレが知らない暗部がいる?!答えろ…」 「はて…お主の知らない暗部などおらん筈じゃがのぉ…」 「そんなわけはない…現実、これが発動しなかった」
よく目を見開いて見ろ!とばかりに三代目の眼前に先ほどの巻物を開く。 その内容を見て三代目は声を上げて笑った。 ますますわけがわからないとナルトは怒りを増幅させる。
「何故笑う…」 「ハハハ…儂は嬉しいぞ、ナルト!お主も粋な冗談を言えるようになったとはのぉ…」 「ふざけんな!オレは冗談なんか言ってない!!」 「?…これが冗談でなければなんだと言うんだ?」 「そんなのこっちが聞きてぇ…だから…さっきから説明しろと言ってるだろ!!」 「…お主本気なのか?この奈良シカマルという少年はお主のパートナーとして長年お主と共に 戦場を駆け回った友だぞ?いや…友以上……だったかもしれぬな」 「?!オレのパートナー?オレの友?…ふざけるな!オレの友は…オレの仲間はチョウジといのと… …?………いのだけだ!(オレは今何を言おうとした…?)」
自分が知っている筈の知らない事… 頭の中をチロチロと赤い舌をちらつかせながら蛇が蠢いている。 見えそうになるのに…そこに手を伸ばした瞬間、その蛇がオレの腕に絡みつく…
「ダメだ…訳がわからん…」
そう呟くと、ナルトはその場で気を失った。
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「どういう…ことだ…?」
三代目に報告しようと訪れた先でナルトが三代目と話していた。 大方、あの暗部は誰だと三代目を問い詰めに来たのだろう、と話が終わるのをじっと待つ。 だが、次第に違和感が駆け巡る… ナルトと話す三代目…普段であれば別段変わったところはない…普段であれば、だが。
「なんで・・・三代目はあんなに普通に話してる…確かに今朝報告した筈だ、ナルトが行方不明になったと…」
おかしなことだらけだ…これが夢ならば早く醒めて欲しいと願っても、現実はそうもいかない。
「シカマル、そこにいるんじゃろう?」 「?!」
気付かれていないとは思っていなかった…寧ろナルトが自分の存在に気付いていない方が驚きなほどだ。 スッと扉の隙間から執務室に入り込む。 気を失ったナルトを腕に抱き、シカマルに向かって三代目はニコリと笑みを浮かべる。
「よかったのぉ、シカマル。ナルトはこの通り戻ってきた」 「…そう…ですね…でも俺のことは覚えていない」 「そのようじゃの」 「三代目、ひとつお聞きしても宜しいですか」 「なんじゃ?」 「何故、そんなに冷静なんですか?今朝俺は確かにあなたに報告した筈です。 ナルトが何者かに連れ去られ、行方がわからなくなったと」 「そうじゃ。そしてナルトを連れ戻す為、部隊を派遣した。それからすぐにナルトがあの森のすぐそばの 泉の淵に倒れているのが発見された」 「ならば、何故俺に報告して下さらなかったんですか!!」 「じ…時間がなかったんじゃよ。それに…お主のことも忘れているようじゃし…」 「さっきは俺のことを忘れているナルトに驚かれていたようですが?」 「あ…あれは、ナルトと話を合わせるためじゃよ。シカ…」 「もう結構です。俺はこれで失礼します」 「これシカm…」
これ以上話していても時間のムダだ。 この老人が何か隠しているのは確かだし、ナルトが俺のことを忘れているのも事実だ。 なんだかどうでもよくなってきた…なんかめんどくせぇし。 ナルトが戻ってきたならそれでいいじゃねぇか、ナルトが俺のこと忘れてんならまた友達になればいいじゃねぇか。 今までの思い出はなくなるけど、また作ればいい…それにいつか思い出すかもしれねぇ。 ナルトがナルトじゃなくなった訳じゃあるめぇし、俺があいつを好きなことに変わりはねぇし… 俺があいつを「好きなこと」……って、俺結局認めちまってるし… だぁぁあぁぁぁぁぁ…俺はあいつが好きだ!悪いかよ!!俺は…俺はナルトが好きだ。 本気で、いやマジでナルトが好きだ。 あいつの声がいつも聞きたいし、あいつにいつも触れていたいし、 純粋にあいつを抱きたいって思う…かも///
「なんかマジでどうでも良くなってきた…」
シカマルは欠伸を一つ漏らすと、仲間たちが任務を行っているであろう場所へ足を向けた。
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