「誰にでも秘密ってあるもんだよな…」

「…突然どうした…」

 

ナルトは時々、その容姿や普段の行いから想像出来ない程意味深な言葉を吐く。

いつも突然呟くナルト…その表情は酷く思い詰めていそうな時もあれば、何も映していない時もある。

俺は偶にこっちのナルトの方が本物なのではないのかと思う。

しかしナルトはすぐにいつものナルトに戻ってしまう為、結局あやふやになってしまっていた。

 

 

 

 

//誰にでも秘密がある//No.11611

 

 

 

 

ナルトはサングラスの奥にある俺の目を見て、ニッコリと微笑む。

可愛らしい笑顔に俺も自然と顔が綻ぶ。

といっても、俺が笑っている事など誰も気付いてはくれないのだが…

 

「いやさぁ、誰にでも秘密にしてる事ってあるだろ?例えば、お前のサングラスとか」

「俺は別に隠している訳ではない…」

「だったらさぁ、ちょっと取ってみてくれってばvv」

「…ダメだ」

「やっぱり秘密なんじゃねぇか…」

「そういう意味じゃない…タダではダメだと言っているんだ…」

 

俺の頭は珍しくフル回転していた。

どうやってナルトの気を惹こうか…どうすればナルトにもっと近付く事が出来るのか…

 

「ナルト…そういうお前には秘密があるのか?」

「ん〜」

 

ナルトはどうしようか困ったように暫く考え込むと、肯定するように微笑んだ。

その笑顔はどこか儚げで、今まで見た事もない美しい笑顔だった。

俺は何がナルトにそんな顔をさせるのか聞きたいと思った。

 

「それではこういう条件はどうだ?その秘密か、お前の貞操か…

どちらかと交換ならサングラスを取ってやってもいい」

「秘密か…貞操?!Σ(; ̄□ ̄)」

「そうだ。どちらを選ぶ?」

 

俺にとってはナルトがどちらを選ぼうと構わない。

どちらにしろナルトに近付く事が出来る。

それに…意地悪な質問を投げかけて、ナルトを困らせたいという気持ちもあった。

しかし、ナルトは即答で秘密を選んだ。

…そんなに俺に貞操を捧げるのはイヤなのか?!Σ( ̄[] ̄;)

 

 

 

 

 

 

 

 

オレはカナリ焦った…

だってシノってばいきなり貞操とか言い出すし…

シノってマジでいっつも何考えてるか読めねぇ。

まぁ、あの青瀧ですら謎だと言うくらいだからオレに判るわけもないけど。

とりあえず、オレの脳が秘密を選べと言うのでそうすることにした。

なんだかシノがショックを受けている感じがするけど、気のせいだよな…

 

「オレってば秘密いっぱいありすぎて、どれ言おうか迷っちまう…」

「どれでもいい。但し…それが俺のサングラスに見合わない様な秘密ならば、

迷わずお前の貞操を頂く」

「し…シノ…( ̄Д ̄;;)(ヒィィィ…気合入ってるぅぅぅ!!)」

 

オレは更に焦った。

どの秘密を言おうか…しくじればオレの貞操が危ない!!

いっそのこと、やっぱりサングラス取らなくていいってば〜とか言って逃げ…

…ああ…もう逃げられない…( ┰_┰)

シノ…なんでサングラス取っちゃうんだよ…

準備万端とばかりにシノはサングラスを懐にしまい、ナルトを見つめる。

ナルトは小さく嘆息すると顔を上げて、ゴクリと唾を呑み込んだ…

 

「ヒェ〜シノってばいい男…」

 

思わず口に出した言葉に、シノの頬が紅く染まる。

今までサングラスと服の襟で見えなかった部分が、今はハッキリと見える事で

シノの表情が良くわかる。

 

「シノってホントは結構感情が出やすいタイプなんだな(o^∇^o)」

「…///」

「しかもキレイな翠色の瞳かぁ…超キレーだってば」

 

オレはシノの瞳に引きずり込まれるように顔を覗きこむと、シノは恥ずかしそうに顔を背けた。

ちぇっとオレが不貞腐れると、シノはニッコリ笑って今度はシノがオレの顔を覗きこむ。

 

「では、聞かせてもらおうか」

「……何でしたっけ…(Σ忘れてた…)」

「秘密を話して貰おうか?(*´∇`*)」

 

急に表情豊かになったシノは心なしか饒舌になった気がする…

オレはそんなシノから一歩遠ざかると、徐に口を開く。

 

「オレの秘密は…オレの中には九尾が居る!!」

 

貞操を守る為、里で最も重要な秘密とされている事実を叫ぶ。

そのことで嫌われたらどうしよう…とかより貞操の方が重要だ!背に腹は変えられない!!

が、シノはすんなりと受け流すと、オレに近付いてスルリと腰に手を回す。

 

「え…なんで…」

「そのことは知っている…」

「なんで知ってんだよぉぉぉぉ!!シノのバカァァァ…(ノ><)ノ」

「里の者たちが良くお前を見て囁いていたのを聞いていた…」

「クソォ…そいつら皆殺しだ!!(T-T*)フフフ…」

「知っているものはしょうがない…それで終わりか?」

 

シノはどんどん顔を近付けてくる。

お願いだからその美顔で迫らないでくれぇい!!ヾ(>y<;)ノ

オレはヤケクソになった。

 

「オレの父親は四代目!!」

「それもなんとなく知っている」

「…なんでだよ…」

「ソックリだから」

 

ダメだ…もう突っ込めなくなって来た…

どれくらい秘密を公表しただろう…シノとの距離はあと数ミリ…

オレは最後の秘密を暴露する。

 

「オレは暗部だ!」

 

オレが叫んだ瞬間、シノの身体がゆっくりとオレから離れた。

 

「それは初耳だな…」

 

チッと舌打ちするとナルトの腰に回していた手を外し、サングラスを掛け直す。

解放されたオレは安堵の溜息を大袈裟に吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

ナルトが暗部…信じられないのが半分、納得したのが半分。

ドベでドジで悪戯ばかりしているナルトが時折見せ理知的な部分の謎が完全に解けた。

ドベを演じているのはなんとなく知っていたが、実力まで偽っていたとは…

ナルトの唇を奪えなかったのは悔しいが、それに匹敵する程の情報だった。

しかし気になるのは、ナルトのことをどれだけの者が知っているかだ…

ナルトを得るにはそれらを全て倒さなければならない!!←突っ走りちぅ…

 

「他に誰か知っているのか?」

「三代目のじいちゃんに、イルカ先生…それに今オレらの横を通り過ぎたおじさんに、

あそこに突っ立ってる狸の置物とあの甘味処から出てきたカップルと、あっちでジッとオレたちを

見てる怪しげな親子に、あそことそこの屋根にへばり付いてる黒い物体、お前の足元に

落ちてる砂の目の持ち主だろぉ〜あとここに猛スピードで向かってるバカ上忍とか」

「………」

『…やっぱりバレてた?』

 

その場に居たほぼ全員の里人とどこから出てきたのかたくさんの暗部がナルトとシノを囲む。

何人かはポンポンと煙を上げて変化を解いていく。

その中には見知った顔もちらほら居て、シノは目を剥いた。

 

「シカマル…いの…チョウジ。ネジにカカシ先生…」

『やぁ、シノ(*´∇`*)さっきはよくも俺(私)(僕)のナルト(総隊長)に迫ってくれたな(わね)』

 

Σ(▼ロ▼;)コ、コロサレル…そう思った時だった…

 

「ナルトは俺のだ!!」

「私のよ!!」

「ナルトくんは僕のなんですね…ゴホゴホ」

「な〜に言ってるの?ナルトは先生のだよねぇ〜vv」

「ナルトは俺のものだ!」

 

此処に第?次(もう何度目かわからない…)低レベルナルト争奪戦が開始された。

呆れる俺などまるで無視して馬鹿みたいな戦いが繰り広げられる。

その戦いの凄まじさと言ったら…ナルトの張った結界がなければ里が消滅しそうなレベル。

そして更に驚くべきは、同じ下忍であるシカマルたちが平気で参戦し、普通に殺り合っている事だ…

 

「シカマルたちも本当は強いのだな…まずは俺も強くならなければ…」

「じゃぁ、オレが鍛えてやろうか?」

 

争いを呆れたように見ていたナルトのその台詞に俺は即座に首を縦に振った。

 

「んじゃ、行こうぜ」

「ああ。だが…いいのか?」

「いつものことだから…ほっとけ」

「わかった」

 

それから数ヵ月後、自分もその争いに加わる事など露知らず、

ナルトとの修行に思いを馳せ、シノはナルトの後を追った。

 

 

 

 2005/12/14
___________For kaori
サマ

 

 

 

シノナル?なナルト総受…のつもりです(-_-;)

設定は猪鹿蝶ver.でやってみました。

っていうかなんだかナルト弱っちぃです…しかもシノナルか?!

ちなみにナルトの周囲に居た狸の置物とかカップルとか親子が誰なのかは

ご想像にお任せ致しますvv

11611Hitsホントに有難う御座いました。

From ARKY____________